【完結】王妃を廃した、その後は……

かずきりり

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「あぁ、パウラ。やっと一緒に居られるんだな」
「嬉しいわホセ様。どれほど、この時を待ち望んだ事か」

 朝日が差し込む国王陛下の私室。
 そのベッドの上で、産まれたままの姿でシーツに包まっている二人は、甘い時間を過ごしていた。

「王妃の部屋も早くパウラ好みに変えなくてはな」

 ホセは睨むような目つきで、隣接された王妃の私室へと視線を向けた。
 ラウラを部屋から追い出した二人だが、王妃の部屋はラウラの好みに合わせられている。
 そんな所でパウラを過ごさせたくはないと、ホセは自らの部屋へと招き入れたのだ。

「ありがとうございます。ホセ様」
「パウラが苦しまなくて良いように、ラウラの痕跡は全て消し去ろう」

 ホセはパウラの額に軽くキスを落とすと、ベッドから下りて上着を羽織る。
 それに倣うようにパウラもガウンを纏った。
 するとそこへ、ドンドンと力に任せて扉を叩く音が響き渡った。
 
「ホセ! いるんでしょう!? ホセ!!」

 無視をしようか。
 眉間に皺を寄せて扉を見つめるホセ。
 怯えたようにホセへと身を寄せるパウラは、一体何事かと小さくホセを見上げて不安そうな表情を見せる。
 その愛らしさに、頬を緩めたホセはパウラの顔へ触れようとした。

「……パウラ……」
「ホセ!」

 その瞬間、バタン! と大きな音を立てて扉が開いた。
 そこに立っていたのは、声から分かった人物そのもので――ブランカ・フェルナンデス王太后。つまりホセの母親だ。
 王太后は自分の視界へと飛び込んできた光景に理解が追い付かなかったのか、一瞬動きが止まったが、すぐに理解すると顔を真っ赤にして仲睦まじい様子の二人を睨みつけた。

「あんた……何をやっているの!!」

 ブランカ王太后は怒声をあげながら二人へと近づいていく。
 それをホセは面倒くさそうに眺めながらも、パウラを自分の後ろへと隠した。

「ラウラを追い出したのは本当なの!? そんな娘と何をしていたの! ……まだ喪も開けていないのに!!」

 悲痛な声を絞り出すブランカ王太后は、その目を潤ませた。
 この国では、喪に服す期間が一年と定められている。慎ましやかに、祝い事を裂け、故人を偲ぶのだ。

「うるさい! お前には関係ない!」
「母にお前など……!」

 しかし、ホセはそんな事どうでも良いと言わんばかりに、暴力的な言葉をあげた。
 国の事を、国王となった者が自ら破るとは……。
 ブランカ王太后は怒りで赤く染めていた顔を、今度は真っ青に染め上げた。

「あんな奴を俺に押し付けて王妃にするなど許せるか! 俺は真に愛する人と結ばれる!」

 ホセはブランカ王太后を突き飛ばした。煩いという気持ちだけでなく、長年の恨みを込めた声と力だった為、ブランカ王太后はその場に倒れ込む。
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