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「おい! どうしてこの事業は何も進んでいないんだ!? こっちの予算案はどうした!」
ホセ国王陛下は、自身の執務室で大きな怒声を上げ、書類を宰相に投げつけた。
治安、設備事業は前回の報告から何もあがってこず、予算案に至っては以前と比べ物にならない位、跳ね上がっている。
「……こちらを全て指示していたのは、ラウラ王妃でしたので」
「王妃はパウラだ! 間違えるな! あいつは廃妃となった!」
「……ラウラ廃妃が全て行っておりましたゆえ」
ホセは怒りをぶつけるように、拳を机の上に叩きつけた。
進まない事業、かかる予算。国庫の金額は減っていき、民からの税収があるとは言え、事業が進まない事には自身を着飾るお金はなくなっていく。
それでも国の象徴である王族は、それなりの物を身に付けなければいけないのだ。
そんな苛立ちの中で告げられたラウラ王妃という言葉。ホセはラウラを妻だと……王妃と認めた事など、一度もなかった。
自分の最愛はパウラなのだ。
「……そうだ、パウラだ」
これは全て王妃の仕事なのだ。
ラウラ如きに出来ていたのであれば、パウラならば簡単に出来る筈だ。
既に自分の権力を使って、既に王妃としているのだ。それにパウラにも王妃としての仕事に慣れていってもらいたい。
「宰相! 王妃の仕事は全てパウラに任せろ!」
「しかし……」
「あんなのに出来ていたのだ。パウラに出来ない筈がない!」
それ以上の話は無駄だと言わんばかりに、ホセは自身の仕事へと筆を走らせた。
その光景を見ていた宰相は、周囲に気が付かれない程度の息を吐き、ホセが散らかした書類を拾い上げてパウラの部屋となった王妃の私室へと向かった。
「……は?」
パウラは口角を引きつらせながら、疑問の声を口から出した。
「ですから、王妃の仕事を国王陛下より言われて持ってきました。最初は分からない事だらけだと思いますので、文官達に聞いていただければと数人連れて来ました」
宰相は書類の束を手に持ったまま、同じ言葉を繰り返した。
パウラは自分の耳を疑ったが、どうやらしっかり聞こえているらしい。
「……それ……」
「これは本日中の書類でして、文官達が持っているのは五日以内に終わらせていただければ良い書類です。……今の段階は、ですが」
つまり、これから更に増える可能性はあるという事だろうが、既に文官達の手も震えている程、顔まで書類は積みあがっているのだ。こんな量をとてもじゃないが五日以内に終わらせる事など出来ないし、したくない。
パウラは、ホセに愛され王妃となり、豪華な生活を送り、次期国王を生んでその地位を盤石にしたいだけだ。
それ以外の事など、したくなんてなかった。
ホセ国王陛下は、自身の執務室で大きな怒声を上げ、書類を宰相に投げつけた。
治安、設備事業は前回の報告から何もあがってこず、予算案に至っては以前と比べ物にならない位、跳ね上がっている。
「……こちらを全て指示していたのは、ラウラ王妃でしたので」
「王妃はパウラだ! 間違えるな! あいつは廃妃となった!」
「……ラウラ廃妃が全て行っておりましたゆえ」
ホセは怒りをぶつけるように、拳を机の上に叩きつけた。
進まない事業、かかる予算。国庫の金額は減っていき、民からの税収があるとは言え、事業が進まない事には自身を着飾るお金はなくなっていく。
それでも国の象徴である王族は、それなりの物を身に付けなければいけないのだ。
そんな苛立ちの中で告げられたラウラ王妃という言葉。ホセはラウラを妻だと……王妃と認めた事など、一度もなかった。
自分の最愛はパウラなのだ。
「……そうだ、パウラだ」
これは全て王妃の仕事なのだ。
ラウラ如きに出来ていたのであれば、パウラならば簡単に出来る筈だ。
既に自分の権力を使って、既に王妃としているのだ。それにパウラにも王妃としての仕事に慣れていってもらいたい。
「宰相! 王妃の仕事は全てパウラに任せろ!」
「しかし……」
「あんなのに出来ていたのだ。パウラに出来ない筈がない!」
それ以上の話は無駄だと言わんばかりに、ホセは自身の仕事へと筆を走らせた。
その光景を見ていた宰相は、周囲に気が付かれない程度の息を吐き、ホセが散らかした書類を拾い上げてパウラの部屋となった王妃の私室へと向かった。
「……は?」
パウラは口角を引きつらせながら、疑問の声を口から出した。
「ですから、王妃の仕事を国王陛下より言われて持ってきました。最初は分からない事だらけだと思いますので、文官達に聞いていただければと数人連れて来ました」
宰相は書類の束を手に持ったまま、同じ言葉を繰り返した。
パウラは自分の耳を疑ったが、どうやらしっかり聞こえているらしい。
「……それ……」
「これは本日中の書類でして、文官達が持っているのは五日以内に終わらせていただければ良い書類です。……今の段階は、ですが」
つまり、これから更に増える可能性はあるという事だろうが、既に文官達の手も震えている程、顔まで書類は積みあがっているのだ。こんな量をとてもじゃないが五日以内に終わらせる事など出来ないし、したくない。
パウラは、ホセに愛され王妃となり、豪華な生活を送り、次期国王を生んでその地位を盤石にしたいだけだ。
それ以外の事など、したくなんてなかった。
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