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「いやぁあああ!! ラウラ! ラウラー!」
「そんな! 嘘でしょ! ラウラ!」
「義姉さん! 目を開けて下さい! 起きて下さい!」
ラウラの亡骸は、すぐに王城へと運ばれた。
廃妃となったのに運ばれたのは、国王陛下がラウラを探すように手配していた為だ。それがどんな形であれ、国王陛下の元へと届けるべきなのだ。
王太后はラウラの亡骸の前で膝を付いて泣き叫び、エマは泣きじゃくりながらラウラの身体をゆする。けれど、冷たく硬い感触がラウラの死を、どうしようもない現実として自分に突き返してくる。
ミケルも、ただ涙を流しながらラウラの亡骸の前で突っ立っている事しか出来ない。
「はっ! ラウラが死んだとは本当か」
悲しみが場を支配する中、嘲笑うように言葉を発してやってきたのはホセだ。
その隣で一緒に歩いてきたのは、パウラと、二人の母親であるマヌエラ・ナバーロ侯爵夫人だ。
「どけ、死体の確認だ」
そう言ってホセは、ラウラの身体にしがみ付いていたエマの肩を掴むと、力任せに引き剥がした。
「なっ!」
「ホセ! あんたはどこまでも……!!」
涙を流しながらも、三人の目には怒りの炎が宿る。
こんなに愛され、大事にしてきたラウラが、こんな扱い方をされるなんて!
しかも、ラウラからの愛を一身に受けていたホセが行っている仕打ちという事に憎しみさえ湧いてくる。
「どれ。あぁ、確かにラウラだな。死んだのか。自業自得だ」
亡骸を覗き込んだホセは、何の感情も籠っていない声でそう告げた。
それだけで、ホセにとってラウラという存在は取るに足りないものなのだと……更なる実感を沸かせ、言いようのない空気が周囲に流れる。
「うそ……お姉さま……!?」
「あぁ……ラウラ……!」
ホセの後ろから確認をしたパウラとマヌエラは、悲痛な声をあげた。
パウラは顔を真っ青に染め上げて震え、マヌエラはその場に泣き崩れた。
「パウラ!」
ホセはパウラがふらついたのを見て、血相を変えて支えると、そのまま抱きかかえた。
「大丈夫か!? 実の姉とはいえ、あんな悪魔が死んだ所で心優しいお前が気に病む必要はないんだ」
「あ……あぁ……でも……執務が……」
「気にするな。しばらく休んでからで良い。パウラなら出来る」
そう言って、ホセはパウラを抱えたまま王城の方へと戻って行った。パウラをベッドで休ませる為だろう。
「あ……パウラ! 大丈夫なの!?」
泣き崩れていたマヌエラも、パウラの体調が悪いと知ると、涙を流したままでもラウラの遺体から離れ、パウラへと駆け寄っていく。
その光景を、残された王太后とエマ、そしてミケルは睨みつけるようにして眺めていた。
「許さない……」
誰が呟いたのか。怨嗟の声だけが静かに響いた。
「そんな! 嘘でしょ! ラウラ!」
「義姉さん! 目を開けて下さい! 起きて下さい!」
ラウラの亡骸は、すぐに王城へと運ばれた。
廃妃となったのに運ばれたのは、国王陛下がラウラを探すように手配していた為だ。それがどんな形であれ、国王陛下の元へと届けるべきなのだ。
王太后はラウラの亡骸の前で膝を付いて泣き叫び、エマは泣きじゃくりながらラウラの身体をゆする。けれど、冷たく硬い感触がラウラの死を、どうしようもない現実として自分に突き返してくる。
ミケルも、ただ涙を流しながらラウラの亡骸の前で突っ立っている事しか出来ない。
「はっ! ラウラが死んだとは本当か」
悲しみが場を支配する中、嘲笑うように言葉を発してやってきたのはホセだ。
その隣で一緒に歩いてきたのは、パウラと、二人の母親であるマヌエラ・ナバーロ侯爵夫人だ。
「どけ、死体の確認だ」
そう言ってホセは、ラウラの身体にしがみ付いていたエマの肩を掴むと、力任せに引き剥がした。
「なっ!」
「ホセ! あんたはどこまでも……!!」
涙を流しながらも、三人の目には怒りの炎が宿る。
こんなに愛され、大事にしてきたラウラが、こんな扱い方をされるなんて!
しかも、ラウラからの愛を一身に受けていたホセが行っている仕打ちという事に憎しみさえ湧いてくる。
「どれ。あぁ、確かにラウラだな。死んだのか。自業自得だ」
亡骸を覗き込んだホセは、何の感情も籠っていない声でそう告げた。
それだけで、ホセにとってラウラという存在は取るに足りないものなのだと……更なる実感を沸かせ、言いようのない空気が周囲に流れる。
「うそ……お姉さま……!?」
「あぁ……ラウラ……!」
ホセの後ろから確認をしたパウラとマヌエラは、悲痛な声をあげた。
パウラは顔を真っ青に染め上げて震え、マヌエラはその場に泣き崩れた。
「パウラ!」
ホセはパウラがふらついたのを見て、血相を変えて支えると、そのまま抱きかかえた。
「大丈夫か!? 実の姉とはいえ、あんな悪魔が死んだ所で心優しいお前が気に病む必要はないんだ」
「あ……あぁ……でも……執務が……」
「気にするな。しばらく休んでからで良い。パウラなら出来る」
そう言って、ホセはパウラを抱えたまま王城の方へと戻って行った。パウラをベッドで休ませる為だろう。
「あ……パウラ! 大丈夫なの!?」
泣き崩れていたマヌエラも、パウラの体調が悪いと知ると、涙を流したままでもラウラの遺体から離れ、パウラへと駆け寄っていく。
その光景を、残された王太后とエマ、そしてミケルは睨みつけるようにして眺めていた。
「許さない……」
誰が呟いたのか。怨嗟の声だけが静かに響いた。
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