【完結】王妃を廃した、その後は……

かずきりり

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「これは……酷い!」
「追えー!!」
「くそっ! 俺は国王だぞっ!」

 ホセは悪態を付きながらも走ってナバーロ侯爵邸から上手く脱出できた。
 しかし、それで終わりではない。後ろからは騎士達が追いかけてくるのだ。
 ホセは走って走って、逃げ続ける。
 貴族街を抜け、平民達の居住区へ行けば、血まみれのホセを見て民達は悲鳴をあげる。
 その声を横目に、入り組んだ路地裏へと入り騎士達を巻くように走り続け……更に森の中へと走って行った。

「一体、俺はどこで間違えたというのだ……っ!」

 自分自身の過ちが深すぎて、どこから等言っても無駄だ。
 今も尚、騎士達の声は後ろから聞こえてくる。
 もうホセに残された道はないに等しいし、生きる希望もない。むしろ生きている事が辛いと思える程に、心が痛んでいるのだ。

「ラウラ……ラウラ!」

 涙を流し走り続けたホセは息が上がって、もう駄目だと思いラウラの名前を叫んだ瞬間だった。

 ――ホセ様。

 ずっと煩わしいと思っていたし、声なんて聴きたくないと思ってろくに会話すらしてこなかった声。
 だけれど、今は懐かしく愛しいと思える声が聞こえた。

「……ラウラ!」

 マトモに顔さえ見てこなかったラウラが、自分に対して微笑み、全てを許し受け入れるように両手を広げてくれている。
 あぁ……ラウラ、生きていてくれたのか!
 こんなに美しい君に対して、俺は何て事をしてきてしまったんだ……!

「もう間違えない……っ!」

 ホセはラウラを抱きしめるように、その身を乗り出した瞬間……その手は空を切り、ラウラの姿は消え失せる。
 そして……地面がある筈の足元には何もなく、ホセは更に前のめりとなり、身体を傾けさせた。

 「あ」

 幻であった事を理解した瞬間、自分が今、崖から真っ逆さまに海へと転落している事を悟る。
 崖の上では騎士達が何か大きな声を出して騒いでいるけれど、ホセは絶望と安堵を感じていた。
 ラウラが居ない、辛い生が終わるという安堵と……ラウラが幻であった事の絶望。
 混沌とした感情のまま、盛大な水しぶきがあがり、ホセは海へと沈んだ。





 ホセが死んだ。
 その事に国全体が安堵した。
 マトモに行政を行えないホセとパウラのせいで、この国は混沌としていたし、民達もラウラに対する行いに不信感が爆発しそうだったのだ。
 そして……次の国王となったのはミケル・フェルナンデスだ。

「真国王陛下! 万歳!!」
「おめでとうございます!」

 至る所から、祝いの言葉が飛び交ってくる。
 ミケルの行いを見ていれば、国の行き先は安泰だろう。
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