【完結】王妃を廃した、その後は……

かずきりり

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「国王へい……かっ!?」
「なっ!? ぐっ!!」

 ナバーロ侯爵邸へと着き、門兵が声をかけようとした瞬間、ホセは問答無用で切りつけた。

「許さん……絶対に許さん! あはははは!!」

 返り血にまみれたホセは、ただ笑う。
 門についた血や足元に広がる血も気にせず、ホセはそのままナバーロ侯爵邸へと入って行く。

「へ……陛下っ!?」
「うわぁあ!」
「きゃああ!」

 いきなり入って来た血まみれの陛下にメイドや下働きの者達が気が付くが、ホセの視界に入った途端、切り捨てられていく。

「俺を騙していた奴も同罪だ! はははははは!」

 恨みに染まった瞳。
 自分の過ちを完全に責任転嫁し、やるせない怒りをぶつけているだけだが、既に正気ではないのだろう。
 笑いながら、次々と剣を振り、自分自身を赤く染め上げていく。
 もはや使用人達が事実を知っていたかどうかも分からない。けれどホセの中では知っていて黙っていたと決めつけていたのだ。

「はははっ!! 夫人は……パウラはどこだ!」

 最大の元凶である二人を探していると、騒ぎを聞きつけたのか、二人は階上から姿を現した。

「……国王陛下!?」
「ホセ様!? そのお姿は!?」
「……いた……ははははは!」

 この2人は知っていた。
 知っていて黙っていたし、むしろ進んで騙したと言って良いだろう。
 そしてラウラを冤罪で陥れたのはパウラだし、それに対して抵抗する事もなかったナバーロ侯爵夫人。
 ホセは素早く二人へと近づくと、問答無用で夫人を切りつけた。

「お母様!?」
「ラウラの仇!」
「な……なん……で!」

 驚き、身体が竦んだ瞬間にパウラも切りつけられるが、まだ意識はあった。
 勝手だ。
 むしろホセだって同罪じゃないかとパウラは睨みつけるけれど、笑ながらこちらを見ているホセの目が異質すぎて、一気に恐怖心が溢れ出てきた。

「や……やめ……」
「はははは! ラウラ! やった! やったぞ!!」
「ぐっ……」

 パウラの懇願する声など、ホセの耳には届かない。
 復讐を遂げたという高揚感から、ホセは高笑いをしながらパウラを刺し続け、パウラから小さな呻き声が聞こえるが、それもいつしかなくなった。
 それでも、ホセは笑いながらパウラに対して執拗に剣を突き刺し続ける。

「何をやっている!」
「捕まえろ!」

 騎士達がホセを見つけて叫ぶ。
 民達が通報し、それが騎士にまで届いたのだろう。ナバーロ侯爵邸にやってきたのだ。
 騎士達も、その惨状から相手が国王だろうと到底許してはならないと理解していたし、ホセも本能的にヤバいと悟ったのだろう。ホセは素早く身を翻して逃げた。
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