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しおりを挟むそれから時間は遡り、セルマがマルクスの屋敷を抜け出して少し経った後。
マルクスは古代魔法の研究施設にいた。彼はここで研究員として働いている。
仕事中の彼の元に連絡が来た。セルマがいなくなったと。
それは予想していた事だったので、マルクスは冷静に事実を受け止める。
もちろん、自分が留守の間にシーラが屋敷に訪ねてきた事は使用人から報告を受けている。彼女がセルマのいる部屋に近づき、ドアの前で声をかけていたという事も。
本人が言う通り、彼女はセルマの妹で、会いに来るのはおかしな事ではない。使用人とは違い、部屋に近づく事も許さないなんて強要するのは難しい。
下手に騒ぎ立てられ、セルマの姿を明るみに出されるような事になっては困る。
だからマルクスはシーラを放置した。セルマの部屋の鍵はマルクスが持っているので、外側からも内側からもドアは開けられない。勝手に部屋に入られなければ問題はない。
もしまた屋敷に来たら、何かしでかさないか見張っているように使用人に頼んでおいた。
そしてその翌日もシーラはやって来たという。同じようにセルマの部屋へ行き、ドアの前で声をかけていたらしい。そしてシーラはドアの下から紙を拾い、それを持って帰っていった。
それを聞いた時、何となく予感はしていた。マルクスは言ってしまえばセルマの事も信用していなかった。
彼女は自分から離れようとしている。離れなくてはいけないと考えている。
セルマはセルマだ。どれだけ姿形が変わろうと自分は彼女を愛している。ずっと傍にいたい。離れたくない。
そんな言葉をどれだけ伝えても、彼女はマルクスの傍にいてはいけないという考えを変えてはなくれない。
きっと彼女は自分の元から逃げ出そうとする。だからマルクスは予め使用人にセルマの事も気をつけて見ているように頼んでいた。
直接使用人に見張らせられれば確実だが、セルマの姿を見せる事はできない。
使用人は長く屋敷に仕えている。信頼のできる者しかいない。
だからこそ、彼らがセルマの存在をどう判断するかがわからなかった。もしセルマが主であるマルクスにとって危険だと判断すれば、セルマを全力で排除しようとするだろう。
マルクスの命令よりもそちらを優先する恐れがある。だから使用人の誰にもセルマを任せられなかった。
ドアからは出られない。鍵がかかっているし、壊そうとすれば使用人に見つかる。セルマが逃げ出すとしたら窓からだろう。
そして案の定、セルマは窓から部屋を出た。窓の外にセルマの姿を見つけた使用人は慌てて外へ出て追いかけた。すると馬車が走り去っていくところだった。恐らくその馬車にセルマが乗っていたのだろう。
そんな報告をマルクスは使用人から聞いた。
セルマに馬車を手配する事はできない。協力者はシーラだ。状況から妹以外に考えられないのでマルクスはそう断定する。セルマの存在を邪魔に思っている彼女なら協力するだろうと容易に想像できた。
急用ができたと言って、マルクスは早退する形で研究所を出た。
馬車を使い、セルマの実家へ向かう。シーラに話があると言えば、彼女の母親が対応してくれた。シーラは今留守で、いつ帰ってくるかはわからないと言われた。待たせてほしいと伝えれば、特に警戒される事もなく客間に通された。
一人になり、用意された紅茶のカップを見るとはなしに見つめる。
シーラがセルマを殺そうとする可能性がないわけではない。二人を引き合わせればそういう危険は充分に考えられる。
けれどマルクスは、その可能性は低いと思っていた。
あの時。一度、セルマを殺した後のシーラの態度は明らかにおかしかった。
マルクスはセルマを捜すのに必死で彼女の挙動など気にも留めていなかったが、今思うと異常だった。
顔は青ざめ、誰かと目を合わせるのを恐れるように忙しなく視線をさ迷わせ、声をかけられれば過敏に反応を示していた。
姉が行方不明になり、その不安と恐怖からそんな態度になっているのだろうと周りは同情していた。
けれど、マルクスはシーラが姉を疎ましく思っているのを知っている。セルマが行方不明になった事をそこまで心配するとは思えない。
つまり彼女は殺人を犯した事で精神的にダメージを負っていたのだろう。それが行動に出てしまっていた。
確かに彼女の意志で姉を殺し、殺した事自体は後悔していなかったとしても、自分の罪が暴かれてしまうのではないかと怯えていた。
一度その恐怖を味わった者が、また同じリスクを負うとは考えにくい。
けれどそれはマルクスがそう思っているだけで、実際にどうなるかはわからない。もしかしたら今こうしている間にもセルマはシーラに殺されているかもしれないのだ。
しかし、闇雲に捜し回って見つかるとも思えない。
本当はマルクスがセルマから片時も離れずにいられれば一度よかったのだが、そういうわけにもいかなかった。
だからマルクスは待った。セルマの生死がわからないこの状況でじっとしているなど、マルクスにとって耐え難い苦痛だ。
それでもマルクスは待ち続けた。
そして紅茶がすっかり冷めきった頃。漸くその時が来た。
ドアがノックされ、返事をすればシーラが姿を見せた。
表情に動揺を滲ませる彼女を見つめ、マルクスはニッコリ微笑んだ。
「やあ、シーラ。約束もなくいきなり来て申し訳なかったね」
「い、いいえ……」
シーラはおどおどした様子で部屋に入ってくる。盆を持った使用人も一緒だ。冷めきった紅茶は下げられ、新しいものが用意される。シーラの分のカップも置き、使用人は頭を下げて部屋を出ていった。
マルクスと二人きりになり、シーラは落ち着かないように視線をうろうろさせている。
「大丈夫かい、シーラ?」
「えっ、な、何が、ですか……?」
「ずっと立ったままだから、どうしたのかと思って」
「あ、そ、そうですよね……」
シーラはソファに座る。マルクスと向かい合う形になるが、彼女は目を合わせようとしなかった。
「私に話って、何でしょう、マルクス先輩……じゃなくて、マルクスさん……」
「そんなに畏まらないでほしいな。俺は君の義兄なんだから」
「はあ……はい……」
シーラの様子は見るからにおかしかった。これでは後ろめたい事があると言っているようなものだ。
長引かせるつもりはないのでマルクスは早速話を切り出した。
「それで話だけれど、セルマは今どこにいるのかな?」
セルマの名前を出せば、シーラはビクリと肩を竦めた。
「え、お、お姉ちゃん、ですか……? お姉ちゃんは、マルクス、さんの、屋敷にいるんじゃないんですか……?」
「いないから聞いているんだよ。馬車に乗せて、セルマをどこへ連れていったのかな?」
「知らない、知らないです、私、そんなの……っ」
「知らない? 本当に?」
「本当です……! そもそも、お姉ちゃんに会わせてももらえないんですから……」
当たり前だが、彼女はしらを切る。
シーラがセルマと馬車でどこかへ移動したという証拠はない。使用人もシーラの姿を見たわけでもない。全てマルクスの憶測でしかない。
「シーラは知っている? 相手に自白を促す古代魔法があるんだ」
「え、し、知りません、けど……」
「そうなの? 古代魔法に興味があるって、図書室に通っていたのに……。もう興味がなくなって、勉強をやめてしまったのかな?」
「そ、それは……そんな事はないんですけど……今はなかなか、時間がなくて……」
「そっかぁ。じゃあまた時間ができたら古代魔法について色々調べてみるといいよ」
「はあ……」
「ああ、それでね、古代魔法には、自白を促す効果のあるものがあって、いつからか使えなくなってしまったものなんだけど、それが先日、現代でも使えるようになったんだ」
「え……?」
「だからその魔法、君に使ってみてもいいかな?」
ニコッと微笑んでみせれば、シーラはヒュッと息を呑む。
「っ……な、そんなの、嫌です!」
「どうして?」
「だ、だって、それはっ……そんな、古代魔法なんて、こ、怖いです、馴染みもないですし、何が起こるかもわからないような、そんな魔法……っ」
「心配しなくても、人体に害はないよ。ただ本当の事しか口にできなくなるだけ。効果もすぐに切れるし、後遺症なんかももちろんないよ」
「そ、そんなの、わからないじゃないですか……!」
「大丈夫。まだ世間には公表されてはいないけど、ちゃんと安全は保証されているから」
そう言ってマルクスは内ポケットから紙を取り出した。
それは人体への影響はない、必要な場面で使うのならば安全な魔法であり、自白の効果のある魔法の使用を許可するという、国から古代魔法研究所へ送られた正式な書状だった。
「っ……!!」
「ほらね。ちゃんと実験を重ねて、安全な魔法だって確認されたものなんだよ」
「っ、っ……」
「俺は別に、シーラが嘘をついていると疑ってるわけじゃないんだよ。ただ念のため、確かめさせてほしいだけなんだ。セルマがいなくなってしまって、心配で心配で堪らない……。一刻も早く彼女を見つけたい、ただそれだけなんだよ。そんなに嫌がらなくても、嘘をついていないなら問題ないだろう? 大丈夫、君の秘密を暴こうなんて思ってないから。ただ、セルマとの事を尋ねるだけだよ」
「そ、それは……っ」
シーラは蒼白になり、言葉を詰まらせる。
彼女が恐れているのは、セルマを殺した事実を自白してしまう事だろう。嘘をつけない状態になってしまえば、訊かれた内容によっては過去の罪を暴露してしまう可能性がある。彼女が最も恐れているのはそれだろう。
シーラは膝の上で固く手を握り締める。沈黙が続き、やがて彼女は口を開いた。
「わ、わかり、ました……」
「うん? 魔法、使わせてくれる?」
「そ、それはダメ、それだけは嫌ですっ……。や、やっぱり、知らない魔法使われるのは怖い、ので……。だ、だから、本当の事、言います……」
「本当の事?」
「…………お姉ちゃんに、会いました」
「そう。セルマはどこにいるの?」
「今は、誰も住んでない、廃墟の町に……。そこの、牢獄の牢屋に……」
「セルマを牢屋に入れたのか?」
マルクスから笑顔が消える。穏やかだった声音が一気に冷ややかなものへと変化した。
不穏な空気を察し、シーラの顔は更に青ざめる。しかし自分は何も悪い事はしていないと、震える声を張り上げた。
「だ、だって、だってっ、仕方ないじゃない! もう人間じゃないんだもの! 化け物を牢屋に閉じ込めて何が悪いの!? わ、私は、お姉ちゃんを牢屋に入れたんじゃない! 危険な化け物を、人に近づけないようにしただけ……! あれは化け物なんです!!」
「化け物? どうして? ちゃんと自我もある、言葉も話せる、意志疎通ができるのに、どうして化け物だなんて言うんだ?」
「それは……だって……」
自分が殺したのに蘇ったから。シーラはそう言いたいのだろう。だがそれを言えば自分が姉を殺した事実まで口にしなければならない。自分の罪を隠し通す為には、蘇った事は知らないままでいなければならない。
「そ、そうです、体に、鱗が……。それに、髪の長さだって異常でした……この期間であんなに髪が伸びてるなんておかしいです……!」
「それだけ? それだけで君は自分の姉を化け物扱いするのか?」
「っ……充分、ですよ……。人間じゃないのは確かなんですから……」
「そうか……」
マルクスは深く息を吐き出した。それからゆっくりと話し出す。
「セルマはね、君に殺されたなんて言わなかったよ」
「……は……え……?」
「化け物になって蘇ってしまったって嘆くのに、殺した相手への恨み言なんて口にしなかった。殺した相手を憎んだりしていなかった。理不尽に殺されて、復讐したいと思ったっておかしくないのに、セルマは一度だって君を責めなかった」
「な……なに、を……」
狼狽し、はくはくと口を開閉するシーラをまっすぐに見据え、言った。
「でもね、シーラ。セルマが君を許しても、俺は君を許さない」
マルクスは古代語の呪文を唱え魔法を発動する。
「っあ!? なに……!?」
シーラを囲むように床に魔方陣が浮かび上がる。魔方陣はシーラの足元から上へ移動する。脚から腰へ、胸へ、首へ、そして頭部を通り抜けた。そこで魔方陣は消える。
「やっ、なにっ、何したの……!?」
シーラはそこから逃げ出そうとした。ソファから立ち上がり、ドアに向かって足を踏み出し、けれど力が抜けて膝から崩れ落ちる。
「なに……何なの……?」
床にへたり込むシーラは、視界に入る自分の手が変化していく事に気づいた。
張りのある瑞々しい肌に皺が刻まれ、細く骨張った枯れ木のような手になっていく。その様を見てシーラはヒッと鋭い悲鳴を上げた。
「な、何で、嫌っ……私の、手が……!?」
動転するシーラの目に、パサリと落ちるものが見えた。床に散らばっていくそれが自分の髪の毛だと気づいてゾッとする。
「ぃやあっ……!?」
自分の身に何が起きているのかわからず、シーラは恐慌状態に陥る。
「なに、何なのよぉ……っ」
自分の体を抱き締め打ち震えるシーラは、ふと壁にかかった鏡を視界の端にとらえる。
思わず顔を向ければ、そこに別人のように変化した自分の姿が映っていた。
「────っ!?」
シーラは声にならない悲鳴を上げた。
髪は抜け落ち、頬は痩せこけ、目が落ち窪み、見るに耐えない醜い姿の自分がそこにいる。
ガクガク震えるシーラの背後にマルクスが立つ。
「どんな気分だい、シーラ」
「わ、私に、なにひょ……っ」
話している途中で歯がポロポロと抜けた。シーラの表情は絶望に染まる。
「今君にかけた魔法はね、殺人を犯した罪人に罰を与える為の古代魔法なんだ。殺人を犯した者にしか効果のない魔法だよ」
「っ……」
「これもまだ世間には公表されていないけどね。犯罪の抑制の為に、この古代魔法も今後使われていく事になる予定なんだ」
マルクスは無表情にシーラを見下ろす。そこには一切の慈悲もない。
「君は、死ぬまで一生、その姿のままだよ」
「……!?」
「ああ、自分で命を絶とうとしても無駄だよ。その魔法の効果で死ねなくなっているからね。死ぬのは寿命を全うした時だ」
それは嘘だった。死んで楽になどさせない為の嘘だ。彼女には、この先一生を懸けて罪を償ってもらわなければ。
「俺に魔法をかけられたと訴えても構わないよ。ただし、さっきも言った通りその魔法は殺人を犯した者にしか効果がない。効果があらわれたという事は、君が殺人を犯したという事に他ならない。俺を訴えれば、それは君は殺人を犯したと認める事になるから、その覚悟でいるんだね」
「っは……は、はあ……っ」
シーラは涙を流し乱れた呼吸を繰り返す。
彼女がどれほど苦しもうとマルクスは決して同情しない。
「シーラ、俺は君がずっと目障りだったよ」
「っ……」
「俺とセルマの二人きりの時間に我が物顔で割り込んで、俺とセルマの二人きりの大切な時間を邪魔して、本当に鬱陶しかった」
「っ……っ……」
「それだけでも許せないのに、セルマの命を奪うなんて……。君さえいなければ、俺とセルマは普通に結婚して、今頃幸せな結婚生活を送れていたんだよ。全部全部、君が台無しにした……」
シーラを見下ろすマルクスの瞳が憎悪に揺れる。
「ああ、ダメだ。見てると殺したくなってくる……」
マルクスはシーラに背を向けドアに向かう。
「じゃあね。もう二度と会う事はない。二度とセルマには関わらせない。罪を背負って生きていけ」
マルクスはドアの向こうに消えていく。
一人残されたシーラは、のし掛かる絶望に耐えきれずただ咽び泣いた。
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