【完】お兄ちゃんは私を甘く戴く

Bu-cha

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オバサン達はその小さな紙を見下ろしながら不思議そうな顔をしている。
そんなオバサン達に、真理姉のお父さんが口を開いた。



「代表取締役に就任しておりますのは鮫島喜一・・・この、鮫島理子の祖父にあたる者です。」



そんな当たり前のことを真理姉のお父さんが言うと、オバサン達は驚いた顔になった。
そんなオバサン達に真理姉のお父さんは続ける。



「本日は社長の鮫島より、理子や桃子のことを攻撃してくる者なら、再起不能になるまで攻撃するよう申し付けられて参りました。
ですので、再起不能にする必要が私にはあるのですが・・・再起不能に、色々と、色々と・・・ね。」



真理姉のお父さんが爽やかに笑いながらそう言って、オバサン達を見下ろしている。
なのに、オバサン達はみんなで下を向いていて・・・。



しばらくクラスの中が静かになった時、真理姉のお父さんがまた口を開いた。



「ですが、理子の言葉に私は胸を打たれましたので・・・。
獰猛な理子に胸を攻撃されてしまったので、本日はもう私からの攻撃は出来そうにありません。」



真理姉のお父さんが爽やかに笑い続けながらそう言うと、オバサン達は少しだけ顔を上げた。



そんなオバサン達に真理姉のお父さんは爽やかな笑顔で笑い続け、お母さんの背中に手を触れた。



「この子、まだ高校生ですから。
中学生の時にこの子も親を亡くしています。
誰もいませんから、この子には血の繋がった家族が。
そんな高校生の女の子が、自分自身の人生ではなくて理子ともう1人の子どものお母さんになることを選んだんです。」



真理姉のお父さんは、泣き続けるお母さんの背中をポンポンッと優しく叩き・・・



「そんなこの子が決死の覚悟でお母さんになろうとしていますので、まだまだ至らないことばかりのはずです。
なので・・・」



真理姉のお父さんが言葉を切った後、また小さな紙を取り出した。



「何か気になることがありましたら、私にご連絡ください。
どんなに小さなことでも構いませんので。
私がお話を伺いますから、何時間でも。」



そう言って、小さな紙をクラス中のお母さんやお父さんに両手で渡して・・・先生にも。
それに・・・クラスの子ども達にも・・・。
全員に渡していた・・・。



そして・・・



「お騒がせしてしまい、大変申し訳ありませんでした。」



そう言って、深くお辞儀をして・・・



「桃子、帰るぞ。」



と・・・。
お母さんの腕を引っ張った・・・。



それから、理子の方を向いて・・・



理子の頭に大きな手をのせてきた。



「理子も帰るぞ、荷物まとめてこい。」



そんなことを言い出して、理子はビックリするしかなくて。
そんな理子に真理姉のお父さんはニッと笑った。
爽やかな笑顔ではなくて、ニッと。
理子はこっちの顔しか見たことがなかったから、さっきの真理姉のお父さんの顔にはビックリしていて・・・。



固まっている理子に真理姉のお父さんは口を開いた。



「獰猛な鮫だからな、お前。
甘いもんでも食いにいくか、たまには幼稚園サボって。
その大きな口に甘いもん入れて少しは落ち着け。
俺が奢ってやるから、行くぞ。」



そう言って笑う真理姉のお父さんは、優しい顔付きだけど・・・めちゃくちゃ格好良かった・・・。
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