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笑いながらまだ泣いているお母さんの腕を引っ張り、理子の荷物を持ってくれている真理姉のお父さん。
真理姉のお父さんの横に並び理子も幼稚園の園庭を歩く。



「幼稚園サボるとか、理子初めて!!」



「たまにはサボれ!!
じゃないとやっていけねーだろ、こんな世界で。」



真理姉のお父さんはそう言ってから眼鏡を外した。



「真理姉のお父さんって、家だとコンタクトしてない?」



「そうだな、これ伊達。
これでこの世界を直接見ないようにしてるんだよ。
嫁さんが死んだこの世界なんて直視できねーだろ。」



真理姉のお父さんがそう言って、眼鏡をスーツの胸ポケットにさした。



「でも、家族でいる時は家族を直接見たいから家では眼鏡外してる。」



真理姉のお父さんがそう言った・・・。
お母さんと理子は家族ではないのに、そう言った。



「お前らは俺のもう1つの家族だからな。
本当に・・・桃子と光一と理子がいてくれなかったらと思うと恐ろしい・・・。」



真理姉のお父さんがそう言って、理子の方を見下ろして・・・それからお母さんの方を見た。



「・・・お前、そろそろ泣き止め!!
娘はとっくの昔に泣き止んでるぞ!!」



「・・・だって、娘がマジで可愛すぎる~・・・!!」



お母さんがそう言って、真理姉のお父さんに泣きながら笑っている。



その顔はお兄ちゃんや理子に見せる顔とは違う。
真理姉のお父さんに見せる顔だけは、お母さんは“桃子”なのかなと・・・いつも思っていた。



そんな2人を見上げながら、理子は真理姉のお父さんに聞いた。



「理子の本当の・・・っていうか、理子を産んだお母さんって、おじいちゃんの会社で働いてたんでしょ?
真理姉のお父さんは話したことある?」



いつもはお兄ちゃんがいるから聞けないけど、今日はお兄ちゃんがいないのでそう聞いた。


 
そしたら、真理姉のお父さんは少しだけ考えてから頷いた。



「見たことあるどころか俺の後輩だったしな。
でも・・・悪いな、光一と約束したから理子には話せない。」



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