欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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548ひな壇

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拓が食事を終えると、資料を取り出し質問が始まった。
拓は資料に書いてある通りで良いと思っていたのだが、重箱の隅を楊枝でほじくる様な細かい質問が続く。
正直そんな細かい所まで考えて治療を行ってなく、改めて聞かれると答えられない。
神殿長、ピース神官、トリス神官、ドク医局長の4人は頷き合うと、拓を怪我人の下へと連れて行く。
拓は実際に治療を行いながら質問に答えていく。

「そんな細かい事まで調べてどうするつもりです?」

神殿長は今度の学会での質問に対する準備と言うが、拓はこんな細かい事まで聞いて来るような人は居ないのではないかと思っていた。
質問は続き、拓が解放された時には夜中になっていた。
大満足な4人は今回の内容を明日中にまとめ上げ、明後日の学会に臨むと言って嬉しそうだった。

「拓殿。当日は少し早めに来てもらえないだろうか。事前に会場を見てもらっておいた方が良いだろう。」

拓は参加するという話はしたことは無かったが、参加する事は決まっていたみたいだ。
断る雰囲気でもなく、拓は朝一で伺う事を約束する。

「ちなみに、ルーカスとハックは大丈夫ですか?」
「やはり拓殿の治療を一番身近で見て、しっかりと学んでいるな。
 お陰で彼等に色々と指摘して貰えて本当に助かっている。」

今は教会に泊まり込みで学会の準備を手伝っているとの事。
明日は一度家に帰り、当日に改めて神殿に来る予定というので、拓が迎えに行くと伝えてもらう事にした。
拓が疲れ切って寄宿舎へ戻るとヨーゼフとパウロがマッサージを施してくれそのまま寝てしまった。


治癒魔導士の学会当日、拓は余所行きの服を着て騎士団の皆に見送られて城を後にした。
ルーカスを呼びにロダン侯爵邸に寄ると、わざわざ馬車を用意してくれていた。

「神殿までなら歩きで十分ですよ。」
「拓殿の治癒魔導士としての晴れ舞台だ。この位の用意はさせて欲しい。」

晴れ舞台と言われても、拓が何かをする訳ではない。
こういう事をするのでルーカスの拓を見る目が悪化すると思ったが、ロダン侯爵の厚意を受け入れる事にした。
ハックも合流して神殿に向かうと、神殿の前には既に多くの治癒魔導士が集まっていた。
馬車を表門に着けようとするので、「裏へ回って下さい。」拓は直ぐに変更指示を出していた。
裏からこそこそと入っていくと直ぐに神官が3人を神殿長の下へと案内する。

「表で待っていたというのに、何故裏から入って来たのだ?
 表に居た者達も拓殿の姿を見たいと思っていたのに。」

神官長は不思議そうに聞くが、拓にはあの様な人込みに入っていくという考えが理解できない。
案内された会場は500人位は入れそうな広さだった。

「拓殿の席はそこだ。何か有れば指摘をしてもらえると助かる。」

神官長が指し示した場所は、ひな壇に並んでいる席。
拓が一瞬唖然とし、口を開こうとする前に神官長が言葉を続けた。

「今回は、拓殿の技術が有っての学会だからな。
 本来なら開会の挨拶をお願いするつもりだったが、ドクやピース、トリスに止められてしまった。
 そこで、オブザーバーとしての席を用意させてもらった。」

拓は内心、止めてくれた3人に感謝をしつつも、もうひと踏ん張りして欲しかったと思わずにいられない。

「流石に私があそこに座るのはおこがましいので、後ろの方で聞かせてもらえれば十分です。」
「何を言っている。ここに来る全ての治癒魔導士が拓殿の実績を知っている。
 皆、拓殿と会うのを楽しみにしているのに、後ろなんかに座ってどうする。」
「そうですよ。拓さんは前に座らないと。」
「拓さんが側にいてくれると、安心して話すことが出来ます。」

神官長の言葉にルーカスとハックが乗るが・・・ハックが話をする?
拓がプログラムを見るとハックの名前が書かれていた。

「拓殿の側で一番その治療技術を見て来た者に話しをしてもらおうと思ってな。
 先に原稿を見せて貰ったが、良くまとめられていて、私も色々と勉強になる。」

拓としては兄弟子とか言っておいて、弟弟子が立派過ぎて立場が無い。
こうなっては、しっかりと話を聞くしかないだろう。


未だ時間が早いが、多くの治癒魔導士達が集まっていたので少し早めに会場を開けることにした。
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