聖女アマリア ~喜んで、婚約破棄を承ります。

青の雀

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3.国王陛下との約束

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 聖女誕生祝賀パーティから、1か月後、国王陛下から密書が届いた。

 王太子エドモンドに、聖女になったことを秘密にしてもらうため、国王陛下にお手紙を差し上げたことに対する返信である。

 学園は、もうすぐ夏休みに入る。夏休みになれば、いったん帰国することにした。

 帰国するのは、これを最後で、次は卒園パーティまで帰国しないでおこう。
 侍女のエレノアに、帰国準備をさせた。

 夏休みが近づいてきたある日、お友達のサラシア様からお茶会に誘われた。

 淡いピンク色のフリルとリボンがいっぱい付いたドレスを着て行った。ちょっとぶりっ子風のドレスは、王国では、なかなか着られない。なぜなら王太子がうるさいから、「俺に媚を売るな。誰かに色目を使うな。」とか、やかましい!!

 ただ、普通に「似合っているよ。」と言えばいいのに、いちいちうるさい。

 エドモンドの相手をしなくていいのなら、リリカ嬢にさっさと熨斗つけて差し上げますわよ。
 とぶつぶつ怒りながら、馬車がサラシア様のお宅に到着した。

 サラシア様は、帝国の侯爵令嬢で緑色の髪と瞳が特徴的であり、目がやや吊り上がっている。

 「まぁ、かわいらしい聖女様だこと。」

 「ウチの娘のサラシアと仲良くしてくれているそうで、今後ともよろしく頼む。」

 サラシア様のご両親から、ご挨拶いただいた。

 「いいえ。こちらこそ。仲良くさせていただいております。」カテーシーで静かに品よく礼をした。

 そこへサラシアのお兄様が来られ、自己紹介された。
 
 「サラシアの兄のハロイドと申します。以後、お見知りおきを。実は、入学式の時からアマリア様のことが気になっておりました。」

 サラシア様と同じく緑色の髪と瞳をしていらっしゃる。

 「ご婚約者がすでに王国にいらっしゃるとのこと、もしよければ私を親衛隊の一員に加えさせてくださいませんか?」

 アマリアは、小首をかしげて
 「親衛隊と申しますと、護衛のようなものでございますか?」

 「本当は、ボーイフレンドの一人になりたいのですが、聖女様に付きまとう不逞の輩を追い払う役目をお願いしたく、今日は、サラシアに頼んでお茶会を開いてもらいました。」

 「まぁ、光栄ですわ。ありがとう存じます。」

 夏休み、王国へ同行してくださることになった。
 護衛、と呼べるものは、学園がつけてくださった侍女2人だけなので、バカ王子の牽制になるかどうかは、わからないが心丈夫であることは確かだった。

 こうして、夏休みに入り、すぐ王国へと旅立った。
 王国から来たときは、エレノアと2人だけの旅路も、帰路は、5人になりにぎやかになった。若い娘が4人とご一緒で、時折、ハロイド様がタジタジになられて、おかしかった。

 王国では、まず公爵家へ帰った。
 パパとママに、侍女とハロイド様を紹介し、それぞれの部屋へ案内した。
 それから、夕食の時、パパとママが学園の様子や聖女になったことなどを話した。
 ハロイド様はジョークがお得意で、みんなで笑いあった。

 夕食後、パパの書斎に行って、帝国の皇太子殿下からプロポーズされたことを話した。

 「うむ。良縁だと思うが、あのバカ王太子がどう出るかだな。聖女になったことが知られれば、アマリアを諦めないだろう。王国としても、聖女に留まってもらいたいだろうが、あのバカ王太子へ嫁ぐのは、さすがに無理があるな。おそらく陛下は、そのことも含めて、明日、話があると思うよ。」

 「疲れただろう。今日は、ゆっくりやすみなさい。」

 「はい。パパ、おやすみなさい。」

 翌朝、王宮へ向かった。

 護衛の侍女やハロイド様は、別室に控えられ、パパと謁見の間に入った。

 一通りのあいさつが終わって、国王陛下が

 「アマリア嬢、此度は、大儀であった。さて、王太子との婚約のことであるが、もし、18歳になったとき、王太子が心変わりしていたなら、婚約解消を認める。もし、王太子が浮気をしていた場合は、王太子を廃嫡する、というのでいかがかな?もし、学園を卒業する頃まで、そなた一人を愛していたのなら、すまないが涙を呑んで、結婚してやってくれ。隣国の皇帝陛下より書状をいただいている。皇太子殿下との縁談があるそうだが、エドモンドに最後のチャンスは用意してくれないだろうか?」

 「承知しました。謹んで、その話、お受けいたします。もし、殿下が浮気なさっているのなら、廃嫡の上、婚約解消でよろしいのですね。」これで言質は取った。

 「そこまで、エドモンドが愚かだとは、思わないが、心変わりや浮気していたら聖女を手放した罪で廃嫡を約束するとしよう。そうなれば、晴れて皇太子殿下と婚約するがよかろう。」

 やった~!
 アマリアは、うきうき気分で帰路に着いた。
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