聖女アマリア ~喜んで、婚約破棄を承ります。

青の雀

文字の大きさ
5 / 5

5.喜んで、承ります。

しおりを挟む
 あれから魔法の特訓を行い、アマリアは聖女だけあって、魔力が100倍近く増えた。
 王国へ帰国し、卒業パーティが始まった。

 「公爵令嬢アマリア!貴様との婚約は今日をもって、なかったものにさせてもらう。俺は、男爵令嬢リリカと婚約する。」

 「はい。喜んで、婚約破棄を承ります。」

 「な、なんだとぉ!貴様がさんざんリリカ嬢を虐めておきながら、謝りもしないのか?」

 王太子エドモンドは、傍におびえて立っているリリカ嬢の肩を抱いている。

 「虐めなど、一度もしておりませぬ。」

 「ひどい!ひどいですわっ!アマリア様は、私の教科書を破いたり、バケツの水をかぶせたり、階段から突き落としたりをなさったではありませんか。」

 「リリカ様とは、今日初めてお会いいたしました。」

 「王都の学園に入学せず、隣国の帝都に留学していた私がどうやって、リリカ様を虐めることなどできましょうか?」

 アマリアは跪き、聖女の祈りを行った。瞬間、アマリアの身体から金色の光が放射され、会場全体を覆い尽くした。

 リリカの身体からは黒い煙のようなものが立ち込めている様が、誰の目にもわかった。魅了魔法が解けた瞬間だった。

 満を持して、国王陛下が会場入りなさった。

 「さすが!聖女アマリア様だ!喜ばしいことに、我が国から聖女様が誕生された。しかし、我が息子エドモンド王太子は、その聖女様との婚約を破棄してしまった。よって、王太子を廃嫡することを、この場をもって宣言する。」

 「エドモンド、そちは国外追放だ。リリカとやらは、獄門台送りとする。連れていけ。」

 「待ってください父上。俺は、リリカに騙されていただけだ。」
 アマリアに向き直り
 「アマリア愛している、先ほどの婚約破棄は取り消す。俺はリリカの魅了魔法に憑りつかれていただけだ。信じてくれ、アマリア」

 エドモンドは、泣き叫びながら衛兵に連れていかれた。

 「それにしても聖女アマリア様は、よくリリカの魅了魔法を解除なさったものだ。見事だ。」

 「約1年半前に宰相のご子息が、お手紙でリリカ様が魅了魔法をお使いになることを知らせていただきましたので、帝国の学園で対策を講じておりました。」

 国王陛下は、上機嫌になられた。

 「聖女アマリア様、これで隣国の皇太子殿下とご婚約できますな。おめでとうございます。これで我が王国と隣国帝国は、強い絆で結ばれることになるだろう。」

 「いいえ。皇太子殿下との婚約話はお断りいたしたく存じます。他に好きな殿方がいますので、できれば、その方と添い遂げとうございます。」

 「はて?聖女様のハートを射止めた御仁とは?」

 「私は、親衛隊長のハロイド様のことを好いております。私をもらってくださいませんか?」

 「はい。喜んで承ります。」

 2人は、国王陛下の面前でもかかわらず、抱き合って、キスを交わした。




おしまい
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

田中角栄
2026.01.18 田中角栄
ネタバレ含む
2026.01.19 青の雀

ご感想頂き、ありがとうございました。

解除

あなたにおすすめの小説

結婚するので姉様は出ていってもらえますか?

基本二度寝
恋愛
聖女の誕生に国全体が沸き立った。 気を良くした国王は貴族に前祝いと様々な物を与えた。 そして底辺貴族の我が男爵家にも贈り物を下さった。 家族で仲良く住むようにと賜ったのは古い神殿を改装した石造りの屋敷は小さな城のようでもあった。 そして妹の婚約まで決まった。 特別仲が悪いと思っていなかった妹から向けられた言葉は。 ※番外編追加するかもしれません。しないかもしれません。 ※えろが追加される場合はr−18に変更します。

婚約破棄した令嬢の帰還を望む

基本二度寝
恋愛
王太子が発案したとされる事業は、始まる前から暗礁に乗り上げている。 実際の発案者は、王太子の元婚約者。 見た目の美しい令嬢と婚約したいがために、婚約を破棄したが、彼女がいなくなり有能と言われた王太子は、無能に転落した。 彼女のサポートなしではなにもできない男だった。 どうにか彼女を再び取り戻すため、王太子は妙案を思いつく。

生命(きみ)を手放す

基本二度寝
恋愛
多くの貴族の前で婚約破棄を宣言した。 平凡な容姿の伯爵令嬢。 妃教育もままならない程に不健康で病弱な令嬢。 なぜこれが王太子の婚約者なのか。 伯爵令嬢は、王太子の宣言に呆然としていた。 ※現代の血清とお話の中の血清とは別物でござる。 にんにん。

契約破棄された聖女は帰りますけど

基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」 「…かしこまりました」 王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。 では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。 「…何故理由を聞かない」 ※短編(勢い)

魅了から覚めた王太子は婚約者に婚約破棄を突きつける

基本二度寝
恋愛
聖女の力を体現させた男爵令嬢は、国への報告のため、教会の神官と共に王太子殿下と面会した。 「王太子殿下。お初にお目にかかります」 聖女の肩書を得た男爵令嬢には、対面した王太子が魅了魔法にかかっていることを瞬時に見抜いた。 「魅了だって?王族が…?ありえないよ」 男爵令嬢の言葉に取り合わない王太子の目を覚まさせようと、聖魔法で魅了魔法の解術を試みた。 聖女の魔法は正しく行使され、王太子の顔はみるみる怒りの様相に変わっていく。 王太子は婚約者の公爵令嬢を愛していた。 その愛情が、波々注いだカップをひっくり返したように急に空っぽになった。 いや、愛情が消えたというよりも、憎悪が生まれた。 「あの女…っ王族に魅了魔法を!」 「魅了は解けましたか?」 「ああ。感謝する」 王太子はすぐに行動にうつした。

王太子殿下が欲しいのなら、どうぞどうぞ。

基本二度寝
恋愛
貴族が集まる舞踏会。 王太子の側に侍る妹。 あの子、何をしでかすのかしら。

石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど

ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。 でも私は石の聖女。 石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。 幼馴染の従者も一緒だし。

素顔を知らない

基本二度寝
恋愛
王太子はたいして美しくもない聖女に婚約破棄を突きつけた。 聖女より多少力の劣る、聖女補佐の貴族令嬢の方が、見目もよく気もきく。 ならば、美しくもない聖女より、美しい聖女補佐のほうが良い。 王太子は考え、国王夫妻の居ぬ間に聖女との婚約破棄を企て、国外に放り出した。 王太子はすぐ様、聖女補佐の令嬢を部屋に呼び、新たな婚約者だと皆に紹介して回った。 国王たちが戻った頃には、地鳴りと水害で、国が半壊していた。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。