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10.死に戻り
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「んんっ……」
気が付くと懐かしい、どこか懐かしい。でも見慣れた天井が広がっていた。
そこは、紛れもなくマーシャル国の王宮のティアラベルローゼが輿入れ前まで使っていた部屋だ。
ティアラベルローゼは、別の世界線を送れると思っていたけど、また、ここに戻されたということは、この人生において、重要な意味があるのかしらね。それに前世、残してきた娘ティファニーは穏やかで幸せな人生を送ったのか、気になるところ。
今度こそ、アンドリューやアプリコット国とかかわりを持たないようにしないと、気を引き締めなければ、と思い直す。
「やっと戻って来られた」
その時、廊下の奥の方からバタバタと走ってくる音が聞こえてくる。驚いて、扉を注視していると、勢いよく開け放たれた先に立っていたのは、エレモアだった。
「エレモア!」
「王女様!」
二人は抱きしめ合い、互いに顔を突き合わせて、口元を綻ばせながらクスクス笑いあう。
「ただいま」
「おかえりなさいませ。王女様」
エレモアは、マーシャル国近衛騎士団長の一人娘で、クリントン伯爵令嬢。ティアラベルローゼより4歳年上。学園を卒業後、志願して騎士団に入ったものの、いくら騎士団長の娘とはいえ、年功序列な上に男尊女卑が根強い騎士の世界だからか、女性であることから、ずいぶんイジメられていると聞いていた。
「ところで、今、何年かわかる?」
エレモアは首を振り、半ば申し訳なさそうに呟く。
「もう騎士の制服を着ているから、たぶん18歳以上には、なっていると思う。としか、答えられないです」
「そうなのね……、留学前か後かだけでも知りたかったのに、エレモアも今、戻ってきたばかりなの?」
「はい。そうです。この時間線に戻ってきたばかりなので、はっきりしたことはわかりませんね」
エレモアは、目覚めてすぐに駆けつけてくれたのだ。本当に頼りになる騎士だと思う。前世の記憶からすれば、エレモアがティアラベルローゼの専属騎士になったのは、輿入れの日程が決まってからのことだったように思う。
後でお父様に、エレモアを専属騎士にしてもらえるように頼もう。そうすれば、女だという理由だけで、他の騎士からイジメを受けることも減るだろう。それに何より心強い。前世、共に死線を潜り抜けてきた同士だから。
ティアラベルローゼにとって、背中を預けられる唯一の存在だもの。
ほどなくして、ティアラベルローゼが15歳の誕生日を迎えたばかりだということがわかる。
アトランティスの学園に入学するまで、後半年はある。そろそろ受験要綱・願書を取り寄せなければならないのだが、あの学園に行ってしまえば、アンドリューに遭うかもしれない。
今世は、絶対にアンドリューと関わり合いになりたくない。
だから留学は諦める?
マーシャル国は、アプリコット国程ではないが小国に違いはない。外交面でも、アトランティスに留学することは、今後の将来性を考えると必要になってくる。
今までなら、こういうことを相談する相手は家族だけだったけど、今回は、わかりあえるエレモアがいることも心強い。
エレモアに相談してみると、意外な返答があったことに驚く。
「ティアラベルローゼ王女殿下は、聖女様であらせられます。聖女様であらせられることを広く内外に公表なさる方がいいかと存じ上げます。さすればアトランティスの方から、聖女様の方に近づきたいと願ってくるでしょう」
「……ということは?わざわざ留学しなくても、アトランティスと対等に渡り歩けるということなのかしら?……いいこと聞いたわ!ありがとう。エレモア」
早速、両親に自分が聖女様になったことを告げ、国教会似て、聖女認定に挑むことになった。
結果は、歴然。なんと言っても、黄泉の国の神様公認なのだから。すぐさま国教会は、王女ティアラベルローゼが聖女様であることを公表する。
気が付くと懐かしい、どこか懐かしい。でも見慣れた天井が広がっていた。
そこは、紛れもなくマーシャル国の王宮のティアラベルローゼが輿入れ前まで使っていた部屋だ。
ティアラベルローゼは、別の世界線を送れると思っていたけど、また、ここに戻されたということは、この人生において、重要な意味があるのかしらね。それに前世、残してきた娘ティファニーは穏やかで幸せな人生を送ったのか、気になるところ。
今度こそ、アンドリューやアプリコット国とかかわりを持たないようにしないと、気を引き締めなければ、と思い直す。
「やっと戻って来られた」
その時、廊下の奥の方からバタバタと走ってくる音が聞こえてくる。驚いて、扉を注視していると、勢いよく開け放たれた先に立っていたのは、エレモアだった。
「エレモア!」
「王女様!」
二人は抱きしめ合い、互いに顔を突き合わせて、口元を綻ばせながらクスクス笑いあう。
「ただいま」
「おかえりなさいませ。王女様」
エレモアは、マーシャル国近衛騎士団長の一人娘で、クリントン伯爵令嬢。ティアラベルローゼより4歳年上。学園を卒業後、志願して騎士団に入ったものの、いくら騎士団長の娘とはいえ、年功序列な上に男尊女卑が根強い騎士の世界だからか、女性であることから、ずいぶんイジメられていると聞いていた。
「ところで、今、何年かわかる?」
エレモアは首を振り、半ば申し訳なさそうに呟く。
「もう騎士の制服を着ているから、たぶん18歳以上には、なっていると思う。としか、答えられないです」
「そうなのね……、留学前か後かだけでも知りたかったのに、エレモアも今、戻ってきたばかりなの?」
「はい。そうです。この時間線に戻ってきたばかりなので、はっきりしたことはわかりませんね」
エレモアは、目覚めてすぐに駆けつけてくれたのだ。本当に頼りになる騎士だと思う。前世の記憶からすれば、エレモアがティアラベルローゼの専属騎士になったのは、輿入れの日程が決まってからのことだったように思う。
後でお父様に、エレモアを専属騎士にしてもらえるように頼もう。そうすれば、女だという理由だけで、他の騎士からイジメを受けることも減るだろう。それに何より心強い。前世、共に死線を潜り抜けてきた同士だから。
ティアラベルローゼにとって、背中を預けられる唯一の存在だもの。
ほどなくして、ティアラベルローゼが15歳の誕生日を迎えたばかりだということがわかる。
アトランティスの学園に入学するまで、後半年はある。そろそろ受験要綱・願書を取り寄せなければならないのだが、あの学園に行ってしまえば、アンドリューに遭うかもしれない。
今世は、絶対にアンドリューと関わり合いになりたくない。
だから留学は諦める?
マーシャル国は、アプリコット国程ではないが小国に違いはない。外交面でも、アトランティスに留学することは、今後の将来性を考えると必要になってくる。
今までなら、こういうことを相談する相手は家族だけだったけど、今回は、わかりあえるエレモアがいることも心強い。
エレモアに相談してみると、意外な返答があったことに驚く。
「ティアラベルローゼ王女殿下は、聖女様であらせられます。聖女様であらせられることを広く内外に公表なさる方がいいかと存じ上げます。さすればアトランティスの方から、聖女様の方に近づきたいと願ってくるでしょう」
「……ということは?わざわざ留学しなくても、アトランティスと対等に渡り歩けるということなのかしら?……いいこと聞いたわ!ありがとう。エレモア」
早速、両親に自分が聖女様になったことを告げ、国教会似て、聖女認定に挑むことになった。
結果は、歴然。なんと言っても、黄泉の国の神様公認なのだから。すぐさま国教会は、王女ティアラベルローゼが聖女様であることを公表する。
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