夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀

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 一方、その頃、ティアラベルローゼは、アンソロジー学園の門をくぐっている。

 聖女様であることも、アレキサンドラ殿下の婚約者であることも伏せたまま、転校した。はずなのに、暮らすが決まった途端、クラスメイトにバレてしまったから、しょうがない。

 それにしても、なぜか訳あり王女として噂されていることが気になる。

「今度の転校生、マーシャル国の王女様らしいぞ」
「なんで、アトランティス学園に転校しなかったのだろうか?」
「それはアトランティス学園には、聖女様がいらっしゃるからだ。マーシャル国王女殿下といえども、聖女様に頭が上がらないから二軍落ちされたのではないか?」
「なるほど、でも、そんな二軍落ち王女が、なんでアレキサンドラ殿下の許婚になれたのだ?」
「それは反対だと思うぞ。アレキサンドラ殿下がマーシャル国に婿入りしたいのではないか?だって、一人娘だろ?」
「なるほど。アトランティス王家は7人も王子がいるのだから、優良物件は早めに押さえるに限るな」
「まだ正式な婚約者になったという話は聞いていないから、ひょっとすれば、俺たちにも可能性が無きにしも非ず。ってことではないかな?」
「ハハハ。それもそうだ」

 こうして一見何もない平穏な学園生活がスタートしたように見えるが、波乱含みの展開になりそうな予感がある。

 ティアラベルローゼが、アンソロジー学園に来た理由は、もう一つ、それはアンソロジーで、お妃教育を受けるためでもある。

 前世、アプリコットでお妃教育を受けた記憶がまだ残っているので、それほど苦労しなくてもできると思うのだが、今世は相手が違うから、しっかり勉強しなくちゃと気合を入れ臨むつもりでいる。

 お妃教育と学業、実は似ているのよ。今世でティアラベルローゼの成績が好いのは、聖女様だからではなく、前世のお妃教育の賜物だと思っている。

 だから、きっと両立できると信じている。

 新学期が始まって数週間、クラスメイトとも、すっかり打ち解け、女子生徒と仲良くなれた。男子生徒は、相変わらず、遠巻きにしてみている感じなのかな?ハイ。2軍落ち王女だと噂されているから。

 まあ、その方が静かでいい。と思っていたら、一人の男子生徒がティアラベルローゼに花束を差し出してきた。

 それが皮切りとなり、また花束攻撃が始まってしまったのだ。アレキサンドラ王子は、そのことを知っていながら、何もおっしゃらない。

 仕方なく別宮とマーシャル国は、また花が溢れかえり、ポプリ造りで大わらわになった。

 やっぱり「いらない」とハッキリ断った方が良かったのかもしれない。それでも、鼻ならお風呂に浮かべてもいいし、トイレの飾りにもなるから、使い道はあるようなもの。

 アトランティス学園で、机の中に生ごみを入れられるよりは、マシだから。それにこの学園には、女子生徒のお友達もできたので、彼女たちに花束を引き取ってもらうことにした。なぜか、みんな喜んでもらってくれるので、ありがたい。

 花束攻撃は相変わらずだけど、季節は秋になり、学園祭が始まる。そこでアレキサンドラとダンスを踊ることが行事として決まっている。もちろん学園の行事ではない。お妃教育の上での行事で、それで放課後、二人そろって、ダンスの練習に余念がない。

 アレキサンドラは、ティアラベルローゼが花束攻撃をされていることを知りながら、何も言わない。

「学園祭で、一緒に踊れば、二人がどんな関係か明らかになる。その時が来ても、君に花束を贈ってくる輩がいるなら、俺が何とかする。だから、鼻のことは気にしなくていい」
「わかったわ。花束のことは無視する。それでいい?」
「ああ、学園祭が終わったら、結婚式を挙げよう」
「え……でも……殿下が卒業されてから、婚約を発表し、わたくしが卒業したら、挙式するって段取りではなかったかしら?」
「ティアラベルローゼ、君がモテすぎるところは罪なんだ。もう、待てない。早く君を抱きたい」

 「抱きたい」の言葉を聞いて、ティアラベルローゼの下半身はキュッとなる。

「結婚しても、しばらくアンソロジー国にいようよ。父上もまだまだ健在なんだから、今すぐ王位に就くわけにもいかないしさ」

 結局、結婚話は、アレキサンドラに押し切られる形で承諾するしかなかった。

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