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アレキサンドラ様の決定は、アトランティス国王陛下により、あっさりと却下される。
「学生の分際で、何を生意気なことを。他の姉弟に牽制したい気持ちもわかるが、聖女様の所在を明らかにすることは、聖女様を危険に晒すようなものだと、なぜわからない?本国なら、いざ知らずアンソロジー国で何かあれば、責任が採れるのか?」
父王に叱られ、すっかりしょげかえるアレキサンドラを慰めるティアラベルローゼ。今世ではアレキサンドラの方が2年お兄さんでも、前世のことを含めると、ティアラベルローゼの方がはるかにお姉さんになるから、それはもう歳の功としかいえないレベルなのだ。
それで学園祭の時、婚約者としての発表はすることになったけど、聖女様であるという事実は秘匿したままにした。
確かにアトランティス学園に聖女様がいるからこそ、今のティアラベルローゼは安全で安泰なのだから、今ここで聖女であることを発表しないに越したことはない。
学園祭のダンスパーティの時、二人は婚約したことを正式に発表した。
これで、すべてがうまくいくと信じて。しかし、アトランティスに残した3人の王子様の耳に入り、3人ともアレキサンドラからティアラベルローゼを奪還するために、アンドリュー国に来ることになった。
しかもそれだけではなく、新たな聖なる乙女現れたのだ。
今世の聖なる乙女は、アンソロジー国に出現した。爵位は低くティアラベルローゼと同じ学年のマリアーヌという女子生徒が自ら、名乗りを上げた。
今世の聖なる乙女も、また自称の範囲にとどまり、教会から正式な発表ない。
それでも、アンドリュー以外の二人の王子にはインパクトを与えたようだった。
アンドリューは、マリアーヌのことを鼻で笑い、「阿婆擦れ」呼ばわりしている。クリストファーとマクシミリアンは、そんなアンドリューを疑問に思いつつも、王位がかかっている手前、マリアーヌに近づいていく。
王位の為なら、本物の聖女が手に入らないのなら、自称聖なる乙女で代用しようとしている。
アンドリューも今世になり、初めて失ったものの大きさを実感することになった。前世では、掌中の宝石を手放してから慌てても、もう二度と手に入れることができなかった。それらすべては自分の責任で招いたこと。
男というのは、つくづく因果な生き物で、欲しいものを持っているときは、欲しがらないが、手に入らないことがわかると、無性に欲しくなる。
持っているときは、粗末にして、離れた途端、大事にしたくなる。今になって、気づいてももう遅いことなのに、無性に腹が立ってしょうがない。
クリストファー、マクシミリアンとの紳士協定も自然消滅した今、アンドリューは、ティアラベルローゼの幸せを陰ながら応援することにとどめている。
もう望んでも、決して手に入れることができないとわかっているからこそ、これ以上嫌われたくないという思いから応援することにしたのだ。
心で理解していても、それは砂を噛むように苦く空虚。それでも陰ながらでも、ティアラベルローゼの傍にいることの安堵感には叶わない。
苦しくとも、彼女の姿を目で追っているだけで幸せというものなのだ。
二人の王子に追い掛け回されているマリアーヌはというと、まんざらでもない様子。内心、ホっとしていたティアラベルローゼなのだが、ある日の放課後、偶然、マリアーヌが本当に狙っている男性がアレキサンドラであることに気づいてしまった。
前世の記憶があるから、イヤな予感しかない。まさか……また、浮氣されるのかしら。いや、アレキサンドラに限って、そんなこと、あるはずがない。信じたい。でも、不安があるのも事実。
思い悩むのは、前世だけで十分と思っていただけに、今の不安感に耐えられない。
「学生の分際で、何を生意気なことを。他の姉弟に牽制したい気持ちもわかるが、聖女様の所在を明らかにすることは、聖女様を危険に晒すようなものだと、なぜわからない?本国なら、いざ知らずアンソロジー国で何かあれば、責任が採れるのか?」
父王に叱られ、すっかりしょげかえるアレキサンドラを慰めるティアラベルローゼ。今世ではアレキサンドラの方が2年お兄さんでも、前世のことを含めると、ティアラベルローゼの方がはるかにお姉さんになるから、それはもう歳の功としかいえないレベルなのだ。
それで学園祭の時、婚約者としての発表はすることになったけど、聖女様であるという事実は秘匿したままにした。
確かにアトランティス学園に聖女様がいるからこそ、今のティアラベルローゼは安全で安泰なのだから、今ここで聖女であることを発表しないに越したことはない。
学園祭のダンスパーティの時、二人は婚約したことを正式に発表した。
これで、すべてがうまくいくと信じて。しかし、アトランティスに残した3人の王子様の耳に入り、3人ともアレキサンドラからティアラベルローゼを奪還するために、アンドリュー国に来ることになった。
しかもそれだけではなく、新たな聖なる乙女現れたのだ。
今世の聖なる乙女は、アンソロジー国に出現した。爵位は低くティアラベルローゼと同じ学年のマリアーヌという女子生徒が自ら、名乗りを上げた。
今世の聖なる乙女も、また自称の範囲にとどまり、教会から正式な発表ない。
それでも、アンドリュー以外の二人の王子にはインパクトを与えたようだった。
アンドリューは、マリアーヌのことを鼻で笑い、「阿婆擦れ」呼ばわりしている。クリストファーとマクシミリアンは、そんなアンドリューを疑問に思いつつも、王位がかかっている手前、マリアーヌに近づいていく。
王位の為なら、本物の聖女が手に入らないのなら、自称聖なる乙女で代用しようとしている。
アンドリューも今世になり、初めて失ったものの大きさを実感することになった。前世では、掌中の宝石を手放してから慌てても、もう二度と手に入れることができなかった。それらすべては自分の責任で招いたこと。
男というのは、つくづく因果な生き物で、欲しいものを持っているときは、欲しがらないが、手に入らないことがわかると、無性に欲しくなる。
持っているときは、粗末にして、離れた途端、大事にしたくなる。今になって、気づいてももう遅いことなのに、無性に腹が立ってしょうがない。
クリストファー、マクシミリアンとの紳士協定も自然消滅した今、アンドリューは、ティアラベルローゼの幸せを陰ながら応援することにとどめている。
もう望んでも、決して手に入れることができないとわかっているからこそ、これ以上嫌われたくないという思いから応援することにしたのだ。
心で理解していても、それは砂を噛むように苦く空虚。それでも陰ながらでも、ティアラベルローゼの傍にいることの安堵感には叶わない。
苦しくとも、彼女の姿を目で追っているだけで幸せというものなのだ。
二人の王子に追い掛け回されているマリアーヌはというと、まんざらでもない様子。内心、ホっとしていたティアラベルローゼなのだが、ある日の放課後、偶然、マリアーヌが本当に狙っている男性がアレキサンドラであることに気づいてしまった。
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