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ティアラベルローゼの心配は、あっさり杞憂に終わった。
アレキサンドラは、言い寄るマリアーヌをあっさりと、突き放した。マリアーヌは取り乱し、泣いて縋っているようだった。
「何度言ったら、わかるんだい?僕には、愛する婚約者がいる。君が本当に第2の聖女様であったとしても、ごめんだ。もう、これ以上、付きまとわないでくれ」
「そんな……わたくし、アレキサンドラ殿下のことをずっとお慕いしておりましたの」
「だから僕には愛する女性がいる。君の出番はないと思ってくれ」
「わたくし、側妃でもかまいません。殿下の御側にいさせてください」
「しつこい!断る!」
そのまま踵を返して、アレキサンドラは去っていく。その後ろ姿を目で追い、その場で倒れ込んでオイオイと泣き出すマリアーヌ。
これは芝居よね。同性であるティアラベルローゼには、簡単に見破ることができる。哀れな失恋した女を演じることで、他の男子生徒の同情を買うつもりでいる。
前世、同一人物ではないにせよ。こんなあざとい女に負けたのかと思うと、つくづく男ってバカな生き物だと思ってしまう。
でも、なぜかアンドリューは、このマリアーヌに対して、そっけない。もしかすると、本当に前世のことを反省したのかもしれないが、もう関係ない。
それに比べクリストファーは、最初、大人の男だと思っていただけに失望感は半端がない。マクシミリアンと二人で、我先に、とマリアーヌのご機嫌を取る姿は本当に見ていて気持ち悪いし、情けない。
マクシミリアンについては、弟のようにしか思っていないので、今のうちにたくさん遊んでおきなさいとしか、思わない。
マリアーヌは、実のところ、思案していた。大本命のアレキサンドラに振られてしまったからだ。
自分がいかに聖なる乙女だと主張しても、教会が認めていない「自称」に過ぎない。アトランティス国には、本物の聖女様がいるからこそ、留学中のアレキサンドラに目を付けたのだ。
でもアレキサンドラ殿下には、すでにマーシャル国の王女殿下との婚約関係にある。アレキサンドラ殿下は、聖女様をハナから選んでいない。玉の輿狙いで付け入るスキがあるとすれば、アレキサンドラ殿下しかいなかったのに、あっさりと振られてしまい、途方に暮れている。
クリストファー殿下は、第1王子殿下だから、当然、自分とは絶対に結婚相手になってくれそうにない。身分が釣り合わない上、将来のアトランティス王になられる方なのだから。いずれ近いうちに、本物の聖女様と婚約を発表され、永遠に手が届かない存在になってしまわれることは確か。
しょせん、自分は慰み者程度にしか、思ってもらっていないということは、誰よりも痛感している。
聞くところによると、聖女様とは、学園入学前からずいぶん親しい間柄だと風の便りで知っている。そのせいで、婚約者の方と不仲になり、別れたとも。
だからクリストファー殿下は狙えない。かといって、マクシミリアン殿下とは……結婚できたとしても、しょせん公爵止まり?
男爵令嬢のマリアーヌからすれば、玉の輿とはいえ、どこか物足りない。それにアトランティスの学園にいらしたときは、いつも違う女子生徒を侍らかして歩かれていたという噂があり、大変なプレイボーイとされていることから、今、物珍しさだけで、自分に粉をかけてきてくださっているということは、わかる。
マクシミリアン殿下も自分のことは遊びなのだ。大国の王子様なのだから、当然のことだとは思う。だから、マクシミリアン殿下と結婚することはない。
となると、後、お嫁さんにしてくれそうな男性で、これといった人物は思い浮かばない。
ただ一人、なぜかマリアーヌのことを毛嫌いしている人物を除いては。その人物は、アンドリュー・アプリコット殿下。一度も接点はないが、なぜかマリアーヌのことを「阿婆擦れ」呼ばわりしている人物。
いくら玉の輿狙いのマリアーヌでも、よく知らない人から「阿婆擦れ」呼ばわりされては、憤慨してしまうが、それと同時に興味がわく。
アプリコット国という小国の王位継承権者第1位なのだから、もしアンドリュー殿下と結婚できれば、将来、王妃になることも夢ではなくなる。
調べたら、今のところ婚約者はいない。よく考えれば、すこぶる優良物件だけど、手出しし辛い。
うまくいけば、ゼロからの大逆転という醍醐味は味わえるものの、毛嫌いされている人物に近づくことさえできないもどかしさがあるのも事実。
アレキサンドラは、言い寄るマリアーヌをあっさりと、突き放した。マリアーヌは取り乱し、泣いて縋っているようだった。
「何度言ったら、わかるんだい?僕には、愛する婚約者がいる。君が本当に第2の聖女様であったとしても、ごめんだ。もう、これ以上、付きまとわないでくれ」
「そんな……わたくし、アレキサンドラ殿下のことをずっとお慕いしておりましたの」
「だから僕には愛する女性がいる。君の出番はないと思ってくれ」
「わたくし、側妃でもかまいません。殿下の御側にいさせてください」
「しつこい!断る!」
そのまま踵を返して、アレキサンドラは去っていく。その後ろ姿を目で追い、その場で倒れ込んでオイオイと泣き出すマリアーヌ。
これは芝居よね。同性であるティアラベルローゼには、簡単に見破ることができる。哀れな失恋した女を演じることで、他の男子生徒の同情を買うつもりでいる。
前世、同一人物ではないにせよ。こんなあざとい女に負けたのかと思うと、つくづく男ってバカな生き物だと思ってしまう。
でも、なぜかアンドリューは、このマリアーヌに対して、そっけない。もしかすると、本当に前世のことを反省したのかもしれないが、もう関係ない。
それに比べクリストファーは、最初、大人の男だと思っていただけに失望感は半端がない。マクシミリアンと二人で、我先に、とマリアーヌのご機嫌を取る姿は本当に見ていて気持ち悪いし、情けない。
マクシミリアンについては、弟のようにしか思っていないので、今のうちにたくさん遊んでおきなさいとしか、思わない。
マリアーヌは、実のところ、思案していた。大本命のアレキサンドラに振られてしまったからだ。
自分がいかに聖なる乙女だと主張しても、教会が認めていない「自称」に過ぎない。アトランティス国には、本物の聖女様がいるからこそ、留学中のアレキサンドラに目を付けたのだ。
でもアレキサンドラ殿下には、すでにマーシャル国の王女殿下との婚約関係にある。アレキサンドラ殿下は、聖女様をハナから選んでいない。玉の輿狙いで付け入るスキがあるとすれば、アレキサンドラ殿下しかいなかったのに、あっさりと振られてしまい、途方に暮れている。
クリストファー殿下は、第1王子殿下だから、当然、自分とは絶対に結婚相手になってくれそうにない。身分が釣り合わない上、将来のアトランティス王になられる方なのだから。いずれ近いうちに、本物の聖女様と婚約を発表され、永遠に手が届かない存在になってしまわれることは確か。
しょせん、自分は慰み者程度にしか、思ってもらっていないということは、誰よりも痛感している。
聞くところによると、聖女様とは、学園入学前からずいぶん親しい間柄だと風の便りで知っている。そのせいで、婚約者の方と不仲になり、別れたとも。
だからクリストファー殿下は狙えない。かといって、マクシミリアン殿下とは……結婚できたとしても、しょせん公爵止まり?
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マクシミリアン殿下も自分のことは遊びなのだ。大国の王子様なのだから、当然のことだとは思う。だから、マクシミリアン殿下と結婚することはない。
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いくら玉の輿狙いのマリアーヌでも、よく知らない人から「阿婆擦れ」呼ばわりされては、憤慨してしまうが、それと同時に興味がわく。
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