夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀

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 学園祭が終わり、いつもの平穏な日常が戻った。

 マリアーヌを巡るクリストファーとマクシミリアンは、相変わらずな感じだけど、全く相手にされていないような気がする。

 気のせいなら、いいのだけど……。ティアラベルローゼとしては、どっちでもいいこと。ただ、アレキサンドラと結婚したら、義兄弟になるのだから、それで気にかけているに過ぎない。

 ある日のこと、嬉しい知らせがティアラベルローゼの元に届いた。それはエレモアのこと、現在はロバートの奥様になっているのだが、彼女がついに出産して男児を設けたと知らせが届いたのだ。

 エレモアとは、前世からの長い付き合いで、彼女の幸せは我が事のように嬉しい。

 前世、アンドリューとの夫婦喧嘩の末に彼女を巻き込んでしまい、置き去りにされた後、牢俗談に襲われ、共に命を落とし、黄泉の国の神様の温情を受け10日間だけ、元の世界に舞い戻ることを赦された間柄。舞い戻ってからも、ロバートと愛を深めながらも、ティアラベルローゼの願いに従い、王女ティファニーをマーシャル国に連れて行くことに協力してくれた。

 いわば戦友のような、恩人のような、姉のような関係は死に戻ってからも続き、ティアラベルローゼの専属騎士として、早くから抜擢し、重用してきた。

 エレモアは、ティアラベルローゼの良き相談相手として、聖女の地位を明かすことも助言してくれた。そのおかげで、大国アトランティスの第2王子のアレキサンドラの婚約者になれたのも、彼女のお陰と言っても過言ではない。

 その夫のロバートもまた、死に戻りで、死に戻ってからというもの、早々とアプリコット国を見限り、エレモアにプロポーズして、侯爵令息であったにも関わらず、エレモアの生家の伯爵家の婿養子となった。一途な男性なのだ。

 エレモアは、子供を産んだら、すぐにでもアンソロジー国に来て、護衛騎士の任を全うするつもりでいたようだが、前世で出産経験があるティアラベルローゼは、赤ちゃんを乳母に任せきりは、あまりにも寂しすぎる。という思いから、「今を楽しんで:と助言し、エレモアはマーシャル国に残ることを選んだ。

 旦那様がしっかりしているのだから、エレモアは心配せずに休むことができる。

 前世、アプリコット国で王太子殿下付きの騎士団長を務めたこともあり、さすがに騎士としての腕前は、一騎当千になるぐらい大したものなのだ。

 エレモアとロバートの夫婦は、ティアラベルローゼに採り、まさに理想の夫婦像として、憧れの念を持って見ている。

 二人が幸せの象徴だから、ずっと幸せでいてほしいと願ってやまない。

 そうこうしているうちに、冬休みになる。この冬休みを利用して、一度、マーシャル国に帰るつもりでいる。

 エレモアの赤ちゃんの顔も見たいし、何より、結婚準備のためでもある。

 アンソロジー国の拝領した別宮の扉を開け、一瞬でマーシャル国についたら、もう、そこは銀世界一面となっていた。

 アンソロジー国は、三波の楽園だったから、思わずくしゃみが出るほど寒い。

 エレモアの赤ちゃんは、エレモアそっくりで可愛らしい。男の子は母親に似るって言うけど、本当にエレモアそっくりで、勝気なところ、眼がクリクリしているところが可愛い。

 ロバートは、赤ちゃんのベッドから離れようとせず、エレモアに「手を洗ってからにしなさい」と叱られているところが微笑ましい。

 エレモアの赤ちゃん見物が終わると、ティアラベルローゼは、着替えて、久しぶりに王都に出かけてみることにした。

 お嫁に行けば、そう簡単に戻って来られないから、最後に見納めというわけではないが、ウインドウショッピングを楽しむことにする。

 エレモア・ロバート夫妻には、護衛を頼めないから、侍女のエミリーを伴って、町娘に扮して出かけることにした。
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