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四
しおりを挟む…一緒に寝たい。
この可愛くて仕方がない神崎くんと一緒に寝たい。
神崎くんもヒートの症状が既に出始めているが、俺だってそれは同じ。
片時も離れたくないし、抱きしめて寝たい。
ヒートが始まる前からキスして、ほっぺを撫でて、ギュってずっとしておきたいけど…
(まだヒートが来ていないのに、流石にそれをやったら犯罪か…?)
犯罪者じゃなくても変態くらいにはなりそうだ。
理性を総動員して、隣の部屋の自室にこもる。
ただでさえ、神崎くんが俺のテリトリーにいてほしいという独占欲で、ヒート3日前から来てもらっているのだ。
抑制剤無しの神崎くんが、職場でヒートをもしも迎えてしまったら……職場の他のαたちに芳しいフェロモンを嗅がれてしまったら…そう思うだけで嫉妬で狂ってしまいそうになるから、こればかりは仕方がなくてお願いした。
これ以上神崎くんに迷惑をかけて、変な人だというレッテルを貼られるわけにはいかないし、神崎くんに変態だなんて言われたら、俺、まじで泣いちゃう。
この部屋で寝慣れているだけあって寝付けはした。
が、夜中、神崎くんのフェロモンと胸が締め付けられるような泣き声で目を覚ます。
強いバース性を俺が持っているし、神崎くんのフェロモンも、ヒート前で感情を顕著に表していて、わかりやすいこともあり、何で神崎くんが泣いているのかなんてすぐにわかった、
(俺がいなくて、寂しがってくれてる…!)
可愛過ぎる。愛おしすぎる。今すぐ抱き締めたい。
一人にして、ごめんって、もう一人じゃないよって。
安心させてあげたくて、すぐ隣の部屋へと飛び込む。
電気もついていない真っ暗な部屋。
案の定神崎くんは泣いていて、すぐに抱きしめる。
「立花、さん?」
「ごめんね、一人にして。寂しかったね。もうずっと俺はここにいるよ。…そう、夜も一緒にいるよ。朝まで一緒。」
「……ごめんなさい、寂しくなっちゃって…いつもなら、一人でちゃんと寝れるのに…」
「謝らないで。ヒート前はホルモンバランスが乱れてしまうものなんだから。いつもと違う気分になってしまうのは何もおかしいことじゃない。神崎くんも知ってるでしょ?それに、俺と一緒に居たいと思ってくれて、俺は嬉しいから。俺こそごめん。」
俺より華奢な神崎くん。
寂しくて、少し震えてる…
「愛してる。安心して眠って。よく寝るんだよ?これからヒートで疲れちゃうからね、そう、今のうちに体力温存しておかないと。」
神崎くんが俺の服を掴んでくる。
体を丸めて、ほっぺを俺の胸あたりにすりすりしてくる。
可愛い。可愛過ぎる。なんだこの生き物は。
年甲斐もなく、顔が赤くなるのがわかって、恥ずかしさ混じりに、ぎゅっと抱きしめると抱きしめ返してくれる。
…なんて幸せなんだ。
ラットのとき、俺はすごく悲しくなる。
腕の中に、いつも愛しいと思う神崎くんがいないから。
神崎くんのことを、俺が抱きたいと思っているちょうどその時に、神崎くんは一人で、ヒートという抗えない熱に苦しんで、抱かれたいって喘いでいるのが、無性に悲しくて、切なくて。
神崎くんを愛したくてたまらなくなるから。
「大好き」
ラットって、こんなに幸せなものだったっけ。
すごく、満たされる。
愛したいと思う人が腕の中にいてくれるという幸せ。
香る愛おしいフェロモンを嗅ぐことができるのが俺だけだという優越感。
普段仕事場なら絶対になれないこの超近距離。
「愛してる」
そばに居られる幸せを感じながら、俺も目を瞑った。
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