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三
しおりを挟む「お邪魔します。」
立花さんの部屋って感じがする…!
ヒート三日前。
いつ始まってもおかしくないということで、立花さんに心配され、少し早めではあるが立花さんのお家へとやって来た。
ご飯も済ませてきたし、今日は寝るだけ。
だけど、立花さんのいい香りがそこら中を満たしているから、ドキドキしちゃってすぐには寝れないかもな、なんて思った。
ヒート前なのと、αの濃いフェロモンを一気に嗅いだこともあって意識がぼーっとしてしまう俺の手を引っ張って立花さんがお部屋へと連れて行ってくれる。
「ごめんなさい、僕、ヒート前だと、ぼーっとしちゃうこと多くて。」
嫌われてないかな?
いつも僕はキリッと冷静な態度で仕事場にはいるつもりだ。
仕事場と違ってびっくりしちゃったかな?
嫌われちゃってないかな?途端に心配になって、立花さんに謝る。
「大丈夫だよ。神崎くん、謝らないで。むしろ可愛いよ。いつものしっかりしている神崎くんも素敵だけど、ゆったりしてる神崎くんも可愛い。」
「本当、ですか?」
「うん。もちろんだよ。可愛いよ。」
…何でだろう、すごく満たされる…。
ほわほわしたに気持ちになって、立花さんにぎゅっとしたくなっちゃう。
「神崎くん?」
「あっ、」
立花さんにぎゅっとしちゃった…!
理性の抑えが効かないみたいだ。
「ごめんなさいっ」
急いで離れようとすれば、立花さんが僕をぎゅっと抱きしめる。
「俺も神崎くんと抱き合いたかったよ。神崎くん、ぎゅっとしてくれてありがとう。嬉しいな。」
立花さんの首元から香るフェロモンが、いい香りすぎる。
立花さんがくれる言葉一つ一つが僕の心を満たしてくれる。
どうしよう?幸せすぎる…
いつも、ぼーっとしてしまう自分が大嫌いで、自分の事が嫌いになっちゃうのに、全然そんな気持ちにならない。
立花さんがかけてくれたお布団はふわふわで、もこもこ。
暖かくて、気持ちがいい。
新品なのか、立花さんの香りがあまりしないのが残念だけど、すぐそばにいてくれてるから平気だ。
「また明日。おやすみ?神崎くん。」
「おやすみなさい。立花さん。」
立花さんがお腹を優しくトントンしてくれて、僕はすーっと夢の中に入っていった。
✿
夜中。
ぱちんと目を覚ます。
あれ、ここは…あっ、そうか、立花さんのところに来たんだった。
優しくて、あったかい人。
あと…僕が大好きな人。
たぶん、まだ僕がヒートにならないからと思って立花さんは立花さんの部屋で寝たのだろう。
この部屋に立花さんはいなかった。
あれ…?いないの?
どこかで期待していた自分に気づく。
もしかしたら、一緒に寝てくれたんじゃないかって。
…、そうだよね。
ぽろぽろ涙がこぼれだす。
やっぱり、僕は迷惑?
立花さんのラットのときだけのΩ?
自分でも理不尽だよなと思いながらも、寂しくて、悲しい気持ちが止まらない。
寂しい。寂しい。立花さん、立花さん、
「うっ、んっ、……」
抑えながら嗚咽を上げて泣いていると、ドタドタという音がして、立花さんが来てくれた。
「神崎くん!」
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