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二
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今日は予約がたくさん入っていたために残業状態だ。
ヒートを一週間前に控えたこの体調での残業と、番健診は、身体への負担が大きい。
いつも以上に疲れを感じていた。
…そうだ、ヒートどうしよう、忘れていたはずの問題を思い出す。
「今日はお疲れ様ーって、神崎くん少しお疲れ?」
「いや、そんなことはないです…。」
「そうなの?」
休憩室でお茶を飲んでいると立花さんがやってきて近くに座る。これ美味しいよ?と渡されたバームクーヘンをありがたく頂いて、口に入れる。
「それじゃあ、何か悩み事?」
首をこてん、と曲げる立花さんからいい香りがする。
「俺で良ければ、話聞くよ?」
優しい立花さんの雰囲気にやられて、事情を話してしまう。αでまだ番もいない人に、話すことではないなと思ったけれど、立花さんが凄く優しくしてくれるから、絆されてしまうのだ。
「そっか…それは大変だね…次のヒートを抑制剤無しか……」
「もしよかったらなんだけど…神崎くん、俺と一緒にヒート期間を過ごさない?」
「へ?」
「この前も思ったんだけど、神崎くんのヒート期間と俺のラット期間、被ってるよね?それならお互いに気兼ねなく過ごせるし、実は俺も最近ラットで悩んでて…神崎くんが一緒に過ごしてもらえると俺も嬉しいんだけど、駄目かな?」
(立花先生と、ヒート?!駄目じゃないです…!)
まさに渡りに舟。その話にすぐ乗ってしまった。
✿
…俺は今世界で一番幸せな男だ。
好きな人と、ヒートを一緒に過ごす約束を合法的にかわせた。
最高の気分だ。
まって、神崎くん可愛過ぎる。え、抱きしめてもいいかな?
そう。俺は神崎くんが、大好きなのだ。
もともと、俺のαとしての欲望というのは、可愛いΩちゃんをどろどろに愛して、尽くしてお世話して、自分の巣の中で安心して貰いたい、という、いわば愛したくて仕方がない、というものだった。
勿論、俺はαなので、Ωちゃんを気絶するまで抱き潰したいという欲求は常にある。しかし、俺は抱き潰したい気持ちと同じくらいΩちゃんのお世話をしつくしたいのだ。
…初めて神崎くんと出会ったときは衝撃だった。
見た目、タイプ。
フェロモン、タイプ。
しかも性格までドンピシャときた。
…もう、デロデロになっちゃうよね?
隠しきれない甘やかしたい欲で、神崎くんには優しく話しかけてしまう。お菓子とかもあげちゃうし。
それに、休憩室でも頻繁に話しかけてしまうので上司に注意されかける始末。
…そんなときに、神崎くんからヒートのお悩み相談だよ?
抑制剤無しで不安なんだって。
抱いてもらえばいいのにって言われちゃったんだって。
もうさぁ、立候補するしかないでしょ俺。
こんな可愛いΩの神崎くん、放ってなんかおけないでしょ。
俺自身もラット期間の欲望が高まり過ぎちゃって悩んでるのも確かだし、とりあえずアピールしたよね。
そしたら神崎くんがうんって、しかもちょっと嬉しそうにうんって……!
やったよ俺。当選!
神崎くんが来る前に、家を神崎くんヒート仕様にしなくては…!
母親がオメガだから、どういう準備をしておけばいいのかなんてことは昔から心得ている。
ヒート中はゼリーとかプリンとか、食べやすくて胃に優しいものを。
買い物なんて行けないから、かなり貯蓄しておかないとな。
あとは、ヒート中の、変えのシーツとか、下着。
フカフカのマットレスなども買い足さなければならない。
残業で疲れたことなんて忘れて、準備に没頭した。
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