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最終話
しおりを挟むヒート4日目くらいから記憶がある。
だんだん、むらむらするときと、しないときとがはっきりしてきて、ご飯もしっかり食べられるようになってきた。
「やっぱり、少し痩せちゃったね、斗真。できる限り食べさせてはいたんだけど…」
僕は今、ベッドの上でご飯を食べさせてもらっている。
ヒート期間中は筋力が落ちたり、手先が上手く使えない関係で食器が使いにくいのと、普通に腰が立たない。
「ごめんね、結構激しく抱いちゃった…。」
謝っているのに嬉しそうな優翔さんが嬉々と僕の世話を焼く。
…優翔さんはΩに尽くしたいタイプのαだそうだ。それはもう幸せそうな顔で僕にあーんしてくれるし、お風呂にも入れてくれるので、一人でやりますとはとてもじゃないけど言えなかった。
あとはまあ…今僕もできないし?優翔さん優しくしてくれて、凄く嬉しいし?
素直に甘えてしまっているというのも現状だ。
「はいあーん。」
優翔さんは、僕のヒートのために相当な量の料理を作り置き、レトルト食品もずいぶんと買い込んでくれたらしい。僕の目の前には彩り鮮やか、美味しそうなおかずがたくさん並ぶ。
そのためにこのヒート期間一度も買い物をすることなく、こうしてゆっくりと二人の時間を送れていた。
「ねえ、斗真…」
「なに…?」
少し堅い様子の優翔さんに、顔を向ける。
…何て言おうとしているのか、何となくわかる気がする。
これはあくまでも希望的予測で、僕の直感だけど、期待してみたい気がする。
「斗真……………好きです。俺の番になってもらえませんか?」
「斗真のこと、ずっと大好きでした。愛してます、斗真の項を、永遠に俺にください。」
ベットの上でガバっと土下座した優翔さんに驚きながらも、嬉しさが込み上げてくる。
優翔さんが、僕のことを好きだって!
番にしたいって言ってくれた!
……たぶん、夢ではないと思う。
このヒート中、優翔さんは、何度も僕に大好きだって、愛してるって伝えてくれた。
決してヒート中だけの思いではないこと。一緒に働いて、普段の僕の姿を見て、好きになってくれたこと。
…気づかざるを得ない。
このαの番になりたい。
それはΩとしての本能で、既に抑えきれなくなって溢れ出てしまうくらいの僕の強い思いだった。
「僕も、優翔さんが大好きです。」
「…!」
「僕を番にしてください。」
土下座からぱっと身を起こした優翔さん。
驚きすぎたのか、元々大きな目が、もっと大きくなる。
その目はキラキラと輝いて、嬉しさが全身から溢れ出して来そうな雰囲気を醸し出す。
「斗真っ!大好きーーーー!」
ギュッと抱きつかれて、すぐに保護テープを捲られる。
「え?優翔。さん?」
え、今?!
今?!
優翔さんの吐息がかかる。
一回、ぺろり。
ぞわぞわっとして体が動いてしまう僕を、しっかりと押えて、優翔さんが口に出す。
「噛むね?」
「うん…、大好きだから、噛んで」
がぶっ、
「ひゃっあーーー!!」
くたくたくた~と力が抜けた僕を支えながら、優翔さんがへへっと笑った。
「ずっと一緒にいようね!斗真!…愛してる。」
番にしてもらえた幸福感と興奮と、快感で頭がいっぱい。
噛んでもらった衝撃で気絶するまでの間、僕はやっぱり、優翔さんのことを大好きだなーと、幸せな気持ちでいっぱいだったのだった。
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