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番外編 斗真の姉視線
…これは、斗真のヒート五日前の話である。
斗真は、立花と同じく強いバース性を持つαである自分の姉に明日からのことを報告していた。
「…あの斗真が、とうとう誰かとヒートを迎えるなんて、まだ信じられないわ。ねえ、一体どんな人なのよ?」
姉は、何処か心配するかのように聞いてきた。
たぶん、疑っている。Ωがヒートのときに項を噛まれてしまう…そんな事故が起こるのではないのかと。立花さんが、そういうαなのではないのかと。
「えーっとね、立花優翔さんっていうんだけど、凄く優しい人なんだ。」
「優しい?」
「うん。ある番が入院してきたことがあるんだけど、俺と立花さんが主治医になったんだ。治療方針を直接会って話したときから、沢山話すようになったんだけど、凄く優しく接してくれて。」
「他のαの先生のフェロモンは苦手だったりするんだけど、立花さんのフェロモンだけは大丈夫なんだ。立花さんも僕のフェロモンは嫌じゃないって言ってくれて、医局の中で1番相性のいいペアってオメガ科の看護師さん達からいわれてるんだよね。番健診のペアも、僕たち二人が結構多くて、それにこの前も他のαの人に威嚇されたとき、庇ってくれてね…へへ、ちょっと照れるや。だから、休憩時間もほぼ一緒なんだけどね、立花さん、毎回美味しいお菓子くれるんだよ、僕もお返ししてるんだけど、ペースに追いつけなくて…もういっそのこと箱ごとバンって、渡しちゃったほうがいいのかな…、あっ、ごめん姉さん、話が脱線しちゃった、」
「ああー、別にそれは全然構わないわよ…。もっと話して…」
姉は思った。
(立花ってα、絶対に斗真のこと狙ってきてるわね…)
私自身もαだから、αの思考回路がよくわかる。斗真を囲んできてる、周りから確実に。
それに、お菓子を毎日あげるとか、給餌行動でしょ。
給餌行動=求愛行動。
……間違いない、このヒート中に確実に項を噛みやがるわ。
斗真のことを思えば、行動だけではなく、もう少し言葉で伝えてあげてほしいと思う。
斗真から話を聞く限り、斗真も立花への好意は持っているようだが、いまいち立花からの好意に気づききれていない。
しかし……自分自身も立花の行動と似たようなことをした身に覚えがあるので、もうこればかりは何も言えない。
番にすると決めたら、番にするまで全力アタックをする。好きなΩのことしか目にない、それがαなのだから。
……私も番への愛が抑えられず求愛行動をしまくったものだ…。
あの頃は全然相手にしてもらえなくて、当たっては砕けていたのがとても懐かしい。…うん、あの頃は青かった。
「それでね、立花さんが、ヒートの三日も前なのに、立花さんのお家に来てっていうんだ。僕のことが心配で仕方がないって」
「………確かに、ヒート三日前は早いわね…抑制剤使えば前日までは働けるし、斗真も働いてるでしょ?」
「うん、だけど今回は薬抜くし、前日はしっかり休もうと思ってたんだ。何度も大丈夫だって伝えたんだけど、立花さんが来てって聞いてくれなくて…心配症すぎるよね、」
「そう」
ね?…、ん?
「まって、斗真、今回抑制剤抜くの??」
「うん。あれ、言ってなかったっけ?一度ヒートをリセットするんだよね、なんか」
「ダメでしょ!!そんな抑制剤無しのヒート直前で外なんか出たら!危ないでしょ!!」
この弟はなんてことをしようとしていたのか、、、。
ヒートが酷くなったとか、辛いとか、なんだか斗真が言っているが、そんなことはちょっと今はどうでもいい。
……抑制剤抜くの?????
…立花が斗真のことを心配して、三日前から巣に入れ込む気持ちがわかる。よくわかる。
こんなに危なっかしい斗真のことを放ってなんかおけない。
自分が立花の身になってみろ?可愛い、自分がロックオンしてるΩが…Ωが…抑制剤なしのヒート前で、αが沢山いる職場で、フェロモン振りまきながらうろちょろしてる………?
無理無理無理無理無理耐えられない。
絶対に無理。
自分のΩがそんなことになってたら、心配で堪らない。心配し過ぎで頭がおかしくなりそうだ。
それに多分、嫉妬で狂うし、本当に心臓に悪い。
…一睡もできないのでは、立花。
それはそうだ、まだ自分のΩにしたわけじゃないんだから、他のαに噛まれてしまう可能性だって十分にある。
それでも相手のΩが望んで噛まれたのだったらまだいい。自分自身の不甲斐なさに涙を流すだけだ。でも、もしも、そういう事故が起こって、同意のないままにΩが噛まれてしまったのだったら……。
「心配してくれるのはすごく嬉しいんだけど、僕のこと心配し過ぎだよねー?」
…無理だよ、斗真。
斗真がそんな状態で働くっていうのは、立花というαにとっては、いや、斗真のことを大切に思う人にとっては拷問に値する。
「斗真、ちゃんと立花さんのところに行きなさいよ!絶対に行きなさい!」
「え、あ、うん。」
「絶対よ!!」
「わかってるって。」
ぜひとも、立花には頑張っていただきたい。
私も斗真の幸せを願っている一人だし、立花はまともそうなαだ。
昔から可愛がってきた弟だもの…。なんだか獲られてしまうようで寂しい気持ちもあるが、これから先の斗真の幸せそうな笑顔を思い浮かべれば受け入れざるを得ないものだ。
…初めて会うときには、ぜひとも一杯やりたい。
未来の義弟との予定を勝手に立てながら、斗真との電話を切ったのだった。
斗真は、立花と同じく強いバース性を持つαである自分の姉に明日からのことを報告していた。
「…あの斗真が、とうとう誰かとヒートを迎えるなんて、まだ信じられないわ。ねえ、一体どんな人なのよ?」
姉は、何処か心配するかのように聞いてきた。
たぶん、疑っている。Ωがヒートのときに項を噛まれてしまう…そんな事故が起こるのではないのかと。立花さんが、そういうαなのではないのかと。
「えーっとね、立花優翔さんっていうんだけど、凄く優しい人なんだ。」
「優しい?」
「うん。ある番が入院してきたことがあるんだけど、俺と立花さんが主治医になったんだ。治療方針を直接会って話したときから、沢山話すようになったんだけど、凄く優しく接してくれて。」
「他のαの先生のフェロモンは苦手だったりするんだけど、立花さんのフェロモンだけは大丈夫なんだ。立花さんも僕のフェロモンは嫌じゃないって言ってくれて、医局の中で1番相性のいいペアってオメガ科の看護師さん達からいわれてるんだよね。番健診のペアも、僕たち二人が結構多くて、それにこの前も他のαの人に威嚇されたとき、庇ってくれてね…へへ、ちょっと照れるや。だから、休憩時間もほぼ一緒なんだけどね、立花さん、毎回美味しいお菓子くれるんだよ、僕もお返ししてるんだけど、ペースに追いつけなくて…もういっそのこと箱ごとバンって、渡しちゃったほうがいいのかな…、あっ、ごめん姉さん、話が脱線しちゃった、」
「ああー、別にそれは全然構わないわよ…。もっと話して…」
姉は思った。
(立花ってα、絶対に斗真のこと狙ってきてるわね…)
私自身もαだから、αの思考回路がよくわかる。斗真を囲んできてる、周りから確実に。
それに、お菓子を毎日あげるとか、給餌行動でしょ。
給餌行動=求愛行動。
……間違いない、このヒート中に確実に項を噛みやがるわ。
斗真のことを思えば、行動だけではなく、もう少し言葉で伝えてあげてほしいと思う。
斗真から話を聞く限り、斗真も立花への好意は持っているようだが、いまいち立花からの好意に気づききれていない。
しかし……自分自身も立花の行動と似たようなことをした身に覚えがあるので、もうこればかりは何も言えない。
番にすると決めたら、番にするまで全力アタックをする。好きなΩのことしか目にない、それがαなのだから。
……私も番への愛が抑えられず求愛行動をしまくったものだ…。
あの頃は全然相手にしてもらえなくて、当たっては砕けていたのがとても懐かしい。…うん、あの頃は青かった。
「それでね、立花さんが、ヒートの三日も前なのに、立花さんのお家に来てっていうんだ。僕のことが心配で仕方がないって」
「………確かに、ヒート三日前は早いわね…抑制剤使えば前日までは働けるし、斗真も働いてるでしょ?」
「うん、だけど今回は薬抜くし、前日はしっかり休もうと思ってたんだ。何度も大丈夫だって伝えたんだけど、立花さんが来てって聞いてくれなくて…心配症すぎるよね、」
「そう」
ね?…、ん?
「まって、斗真、今回抑制剤抜くの??」
「うん。あれ、言ってなかったっけ?一度ヒートをリセットするんだよね、なんか」
「ダメでしょ!!そんな抑制剤無しのヒート直前で外なんか出たら!危ないでしょ!!」
この弟はなんてことをしようとしていたのか、、、。
ヒートが酷くなったとか、辛いとか、なんだか斗真が言っているが、そんなことはちょっと今はどうでもいい。
……抑制剤抜くの?????
…立花が斗真のことを心配して、三日前から巣に入れ込む気持ちがわかる。よくわかる。
こんなに危なっかしい斗真のことを放ってなんかおけない。
自分が立花の身になってみろ?可愛い、自分がロックオンしてるΩが…Ωが…抑制剤なしのヒート前で、αが沢山いる職場で、フェロモン振りまきながらうろちょろしてる………?
無理無理無理無理無理耐えられない。
絶対に無理。
自分のΩがそんなことになってたら、心配で堪らない。心配し過ぎで頭がおかしくなりそうだ。
それに多分、嫉妬で狂うし、本当に心臓に悪い。
…一睡もできないのでは、立花。
それはそうだ、まだ自分のΩにしたわけじゃないんだから、他のαに噛まれてしまう可能性だって十分にある。
それでも相手のΩが望んで噛まれたのだったらまだいい。自分自身の不甲斐なさに涙を流すだけだ。でも、もしも、そういう事故が起こって、同意のないままにΩが噛まれてしまったのだったら……。
「心配してくれるのはすごく嬉しいんだけど、僕のこと心配し過ぎだよねー?」
…無理だよ、斗真。
斗真がそんな状態で働くっていうのは、立花というαにとっては、いや、斗真のことを大切に思う人にとっては拷問に値する。
「斗真、ちゃんと立花さんのところに行きなさいよ!絶対に行きなさい!」
「え、あ、うん。」
「絶対よ!!」
「わかってるって。」
ぜひとも、立花には頑張っていただきたい。
私も斗真の幸せを願っている一人だし、立花はまともそうなαだ。
昔から可愛がってきた弟だもの…。なんだか獲られてしまうようで寂しい気持ちもあるが、これから先の斗真の幸せそうな笑顔を思い浮かべれば受け入れざるを得ないものだ。
…初めて会うときには、ぜひとも一杯やりたい。
未来の義弟との予定を勝手に立てながら、斗真との電話を切ったのだった。
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