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最終章 面倒、だけどいい
10.ハジメテ、なんですが?
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夜、超ご機嫌で帰ってきた侑は超ご機嫌で私の作った料理を食べ、超ご機嫌でお風呂に入り、――そして。
「麻里恵」
……私をベッドに押し倒した。
「あんね。
言わんといけんことがふたつあって」
「うん」
って、耳をあむあむ甘噛みするのはやめろ!
聞く気ないだろ!
「ひとつは、私、性欲とか薄いし、そういうのしたいと思ったことがないけん、無理かもしれん」
「うん。
気持ち悪いとか、やめたいとか思ったときはすぐに言ってくれ。
やめるから」
やってみたら案外、いいかもしれないから我慢して最後までチャレンジしてみよう、とか言われるんじゃないかという心配は杞憂に終わった。
いや、薄々わかっていたけどね、私の好きになった侑は、そういう人だって。
「まー、でも、さっきから気持ちよさそうだし、いつもキスしたあとエロ顔になっているから大丈夫だとは思うけどな。
……うおっ、危ないぞ!」
華麗に繰り出した拳は、侑の手によって阻まれた。
ひと言多いんだよ、ひと言!
「もうひとつは、そういうわけで……ハ、ハジメテ……なので、……その。
優しく、してください」
「可愛い、麻里恵……!」
目を伏せて視線を外して言ったら、いきなり彼の唇で唇を塞がれた。
すぐに舌が入ってきて、彼に翻弄される。
軽い酸欠でぼーっとなったあたまで、侑を見上げる。
「優しくする。
約束する、から」
愛おしそうに額に触れる唇は優しいけれど。
……いまのキスじゃ、信用ならん。
その後、結論からいえば、できた。
嫌悪感も感じることなく、侑に溺れて、彼を受け入れた。
それはいい、それはいい、が。
「そんなにむくれることないだろ」
「……」
私の機嫌を取ろうとキスしてくる侑を、無言で顔を背けて拒否する。
「……優しくしてってゆーたやん」
痛いのは痛かったけど、侑とひとつになれた痛みだから嬉しかった。
でも、そのあとがさー。
「麻里恵が可愛くて興奮したんだから仕方ないだろ」
「……!」
まるで私が悪いとでも言うような彼は口ぶりで、つい睨みつけていた。
「やけんってハジメテの人を相手に、三回もすることないやん!?」
「えー、だからあまり無理させると悪いと思って、三回でやめたんだぞ?」
侑は反省する気がないらしい。
はぁーっ、と重いため息が私の口から落ちていった。
「……うん。
わかった。
もういい、寝る」
忘れていたわけじゃないが、侑はそういう人だ。
諦めるしかない。
「あ、麻里恵」
「……なに?」
もそもそと布団に潜り込んだところで声をかけられた。
私の声は不機嫌マックスだが、誰かのせいで疲れていい加減眠いんだから、仕方ない。
「シーツ、汚れてるから、今日は僕のベッドで寝たほうがよくないか」
「……!」
反射的に投げた枕は危なげなくキャッチされ、ますます機嫌が悪くなっていく。
「ソーデスネ、ソレハソーデスネ」
ベッドから出たら、枕を抱かされた。
そのまま、侑にお姫様抱っこされる。
「お、降ろせー!」
「ん?
そんな元気があるなら、もう一回していいか?」
その言葉でぴたっとおとなしくした。
今日はもう、勘弁してもらいたい。
侑の部屋に連れていかれ、ベッドに寝かせてもらった頃にはうとうとしていた。
「おやすみ、僕のお姫様」
ちゅっ、とおやすみのキスをもらいながら、……姫は嫌だ。
と思ったものの、声には出せないまま眠りに落ちた。
「麻里恵」
……私をベッドに押し倒した。
「あんね。
言わんといけんことがふたつあって」
「うん」
って、耳をあむあむ甘噛みするのはやめろ!
聞く気ないだろ!
「ひとつは、私、性欲とか薄いし、そういうのしたいと思ったことがないけん、無理かもしれん」
「うん。
気持ち悪いとか、やめたいとか思ったときはすぐに言ってくれ。
やめるから」
やってみたら案外、いいかもしれないから我慢して最後までチャレンジしてみよう、とか言われるんじゃないかという心配は杞憂に終わった。
いや、薄々わかっていたけどね、私の好きになった侑は、そういう人だって。
「まー、でも、さっきから気持ちよさそうだし、いつもキスしたあとエロ顔になっているから大丈夫だとは思うけどな。
……うおっ、危ないぞ!」
華麗に繰り出した拳は、侑の手によって阻まれた。
ひと言多いんだよ、ひと言!
「もうひとつは、そういうわけで……ハ、ハジメテ……なので、……その。
優しく、してください」
「可愛い、麻里恵……!」
目を伏せて視線を外して言ったら、いきなり彼の唇で唇を塞がれた。
すぐに舌が入ってきて、彼に翻弄される。
軽い酸欠でぼーっとなったあたまで、侑を見上げる。
「優しくする。
約束する、から」
愛おしそうに額に触れる唇は優しいけれど。
……いまのキスじゃ、信用ならん。
その後、結論からいえば、できた。
嫌悪感も感じることなく、侑に溺れて、彼を受け入れた。
それはいい、それはいい、が。
「そんなにむくれることないだろ」
「……」
私の機嫌を取ろうとキスしてくる侑を、無言で顔を背けて拒否する。
「……優しくしてってゆーたやん」
痛いのは痛かったけど、侑とひとつになれた痛みだから嬉しかった。
でも、そのあとがさー。
「麻里恵が可愛くて興奮したんだから仕方ないだろ」
「……!」
まるで私が悪いとでも言うような彼は口ぶりで、つい睨みつけていた。
「やけんってハジメテの人を相手に、三回もすることないやん!?」
「えー、だからあまり無理させると悪いと思って、三回でやめたんだぞ?」
侑は反省する気がないらしい。
はぁーっ、と重いため息が私の口から落ちていった。
「……うん。
わかった。
もういい、寝る」
忘れていたわけじゃないが、侑はそういう人だ。
諦めるしかない。
「あ、麻里恵」
「……なに?」
もそもそと布団に潜り込んだところで声をかけられた。
私の声は不機嫌マックスだが、誰かのせいで疲れていい加減眠いんだから、仕方ない。
「シーツ、汚れてるから、今日は僕のベッドで寝たほうがよくないか」
「……!」
反射的に投げた枕は危なげなくキャッチされ、ますます機嫌が悪くなっていく。
「ソーデスネ、ソレハソーデスネ」
ベッドから出たら、枕を抱かされた。
そのまま、侑にお姫様抱っこされる。
「お、降ろせー!」
「ん?
そんな元気があるなら、もう一回していいか?」
その言葉でぴたっとおとなしくした。
今日はもう、勘弁してもらいたい。
侑の部屋に連れていかれ、ベッドに寝かせてもらった頃にはうとうとしていた。
「おやすみ、僕のお姫様」
ちゅっ、とおやすみのキスをもらいながら、……姫は嫌だ。
と思ったものの、声には出せないまま眠りに落ちた。
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