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第3章 同棲は突然に
2. あなたにとって私はなんですか
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――ピンポーン。
インターフォンの、音がする。
こんな朝早くから来客なんて迷惑。
そのまま二度寝を決め込もうとしたものの。
「花重ー、会社の方がお見えになってるけどー」
がばっ、反射的に起き上がった。
携帯を確認すると、すでに十時半を過ぎている。
「花重ー、まだ寝てるのー」
「起きてる!
会社の人って誰!?」
二階の自分の部屋から、一階の玄関へに怒鳴り返す。
誰だか聞かなくてもわかっているが、そうじゃなければいいと願った。
「片桐さんって方だけどー」
……うっ。
だろうとは思ったけど、確認するとダメージが大きい。
「すぐ準備するから、待っててもらっててー」
まもなく母の声は聞こえなくなった。
部屋のドアを開け、おそるおそる階下をうかがう。
その辺りに片桐課長の姿がないのを確認し、ダッシュで洗面所に滑り込む。
……どうして今日に限って、起こしてくれないの!?
歯磨きをして顔を洗いながら、心の中で片桐課長にあたった。
けれど悪いのは最近、彼に甘えきって目覚ましをセットしなかった自分だ。
洗面所から顔を出してまた、片桐課長がいないのを確認する。
さっきからリビングで盛んに笑い声が聞こえてくるのがひじょーに気になるが、いまはそれどころじゃない。
部屋に戻り大急ぎで化粧して着替える。
着ていく服を決めていたのがせめてもの救いだ。
「お待たせしました!」
「早かったな」
リビングに行くと片桐課長はすっかりくつろいでいた。
いや、うちの両親がいくらフレンドリーなたちだからといって、この短時間で馴染みすぎだ。
「さっさと行きましょう」
腕を引っ張ったら、しょうがないなとでもいうかのように笑って片桐課長は立ち上がった。
「そんな、片桐さんに失礼でしょ。
お昼ごはん、食べていきませんか」
「いえいえ、こういうところが可愛いもので。
お美しいお母さまと一緒にお食事ができないのは残念ですが、今日はこれで」
「まぁ……」
片桐課長の歯の浮くような台詞に母は頬を赤らめていた。
私が乱暴にシートベルトを締めると、片桐課長はくすりと笑った。
「なんだ、ご機嫌斜めだな。
母親にヤキモチでも妬いたのか」
「そんなんじゃないです!」
ただ単に、親に片桐課長をなんと紹介していいのかわからなかったのだ。
会社の上司でいいとは思うが、この関係は完全にその域を超えている。
けれど彼氏かといえばそうじゃない。
人に説明のできない、名前のない関係は私を苛立たせた。
「お前もあんなふうに言ってほしいのか」
赤信号になり、車が止まる。
完全に見当違いの片桐課長にますます腹が立ってくる。
「ちがっ……!」
噛みつくように反論しようと片桐課長の方へ顔を向けた、が。
いきなり、唇を塞がれた。
離れると口もとだけでニヤリと笑い、片桐課長は青になった信号にアクセルを踏み込んだ。
「気が済んだか」
「……」
なにも言えなくなって俯いた視界はじわじわと滲んでくる。
ぽたりと滴が落ち、慌てて頬を拭う。
けれど泣きたくなんかないのに涙は次々に落ちてきた。
「……どうして泣くんだ」
片桐課長の声は苛立ちを含んでいる。
その声に鼻をすすり、化粧が落ちるなんて気にせずに涙を拭って泣き止む努力をした。
「なんでも、ない、です」
「なんでもないことないだろ。
ちゃんと言わなきゃわからない」
真っ直ぐ前を見つめたまま運転している片桐課長からは、怒っているのかあきれているのかわからない。
聞いてもいいのだろうか、私のことをどう思っているのか。
この関係はなんなのか。
聞いたら片桐課長は答えてくれるのだろうか。
聞きたかったことなのに、いざ聞こうとすると声にならない。
「か、片桐課長にとって、私はいったい、なん、です……か」
自分から出た声は酷く掠れていた上に震えていた。
「それは……」
片桐課長はそのまま黙ってしまい、重苦しい沈黙がその場を支配する。
信号を三つほど通り過ぎ、四つ目の信号で車は右折のために止まった。
カチ、カチ、とウィンカーの音が虚しく響く。
「……同じ会社の子、だ」
唐突に片桐課長がぽつりと言った答えは、ナイフのように心臓にぐさりと突き刺さる。
「……あと、――」
ハンドルを切りながらぼそっと小さく呟かれた声はよく聞こえなかった。
「なんですか」
「なんでもない」
怒ったように片桐課長は前を見たままで、私もずっと俯いていた。
ランチにパンケーキ専門店へ連れていってくれた。
こんな物で機嫌が取れるほどお手軽な人間だと思われているのだと、いい気はしない。
「まだ怒ってんのか」
「……怒ってないです」
むすっと答えればバレバレなのはわかっているが、仕方ない。
「じゃあなんて言ってほしかったんだ」
はぁっと片桐課長の口から落ちるため息にまた泣きそうになった。
それにそんなことを聞かれても、自分の望んでいた答えがわからない。
「ん?」
片桐課長が眼鏡の向こうからじっと見つめている。
そこに答えなんて書いていないのに、必死にテーブルの上を目で探した。
――好きな子。
唐突に、辿り着いた答えを慌てて否定した。
そんなはずがないのだ。
「黙ってたらわからないだろ」
「その、……友達、とか」
曖昧に笑って答えながら、それはないだろうと自分でも思う。
実際、片桐課長もあきれたようにまた、ため息をついた。
「なんだそれ。
意味がわからん」
「ですよね……」
片桐課長は笑っているが、私も笑うしかできない。
「でも、上司と部下は嫌なんです」
「うん」
なぜだかわからないが片桐課長は前のめりになって、期待を込めたキラキラした目で私を見ている。
「そしたら友達が一番妥当かなーって」
「……なんでそうなるんだよ」
一気に失望したのか、横柄に片桐課長が椅子の背に背中を預けた。
「じゃあもう一度聞きますけど。
片桐課長にとって私はただの部下ですか」
しれーっと冷たい目で片桐課長を見ると、彼はうっと言葉を詰まらせた。
「ああもう、わかった!」
逆ギレされて思わず身体がびくんと揺れる。
けれど。
「お前がそれでいいならいいんじゃないか。
俺にとって笹岡は可愛い友達だ」
仕方がない、とでもいうかのように片桐課長が笑う。
少し目尻を下げて眩しそうなその顔に胸がきゅんと音を立てたし、それに。
〝可愛い〟がついたからちょっと機嫌が直っていた。
さらにクリームたっぷりのふわふわパンケーキでテンションが上がる。
食べ終わる頃には完全にご機嫌になっていた。
インターフォンの、音がする。
こんな朝早くから来客なんて迷惑。
そのまま二度寝を決め込もうとしたものの。
「花重ー、会社の方がお見えになってるけどー」
がばっ、反射的に起き上がった。
携帯を確認すると、すでに十時半を過ぎている。
「花重ー、まだ寝てるのー」
「起きてる!
会社の人って誰!?」
二階の自分の部屋から、一階の玄関へに怒鳴り返す。
誰だか聞かなくてもわかっているが、そうじゃなければいいと願った。
「片桐さんって方だけどー」
……うっ。
だろうとは思ったけど、確認するとダメージが大きい。
「すぐ準備するから、待っててもらっててー」
まもなく母の声は聞こえなくなった。
部屋のドアを開け、おそるおそる階下をうかがう。
その辺りに片桐課長の姿がないのを確認し、ダッシュで洗面所に滑り込む。
……どうして今日に限って、起こしてくれないの!?
歯磨きをして顔を洗いながら、心の中で片桐課長にあたった。
けれど悪いのは最近、彼に甘えきって目覚ましをセットしなかった自分だ。
洗面所から顔を出してまた、片桐課長がいないのを確認する。
さっきからリビングで盛んに笑い声が聞こえてくるのがひじょーに気になるが、いまはそれどころじゃない。
部屋に戻り大急ぎで化粧して着替える。
着ていく服を決めていたのがせめてもの救いだ。
「お待たせしました!」
「早かったな」
リビングに行くと片桐課長はすっかりくつろいでいた。
いや、うちの両親がいくらフレンドリーなたちだからといって、この短時間で馴染みすぎだ。
「さっさと行きましょう」
腕を引っ張ったら、しょうがないなとでもいうかのように笑って片桐課長は立ち上がった。
「そんな、片桐さんに失礼でしょ。
お昼ごはん、食べていきませんか」
「いえいえ、こういうところが可愛いもので。
お美しいお母さまと一緒にお食事ができないのは残念ですが、今日はこれで」
「まぁ……」
片桐課長の歯の浮くような台詞に母は頬を赤らめていた。
私が乱暴にシートベルトを締めると、片桐課長はくすりと笑った。
「なんだ、ご機嫌斜めだな。
母親にヤキモチでも妬いたのか」
「そんなんじゃないです!」
ただ単に、親に片桐課長をなんと紹介していいのかわからなかったのだ。
会社の上司でいいとは思うが、この関係は完全にその域を超えている。
けれど彼氏かといえばそうじゃない。
人に説明のできない、名前のない関係は私を苛立たせた。
「お前もあんなふうに言ってほしいのか」
赤信号になり、車が止まる。
完全に見当違いの片桐課長にますます腹が立ってくる。
「ちがっ……!」
噛みつくように反論しようと片桐課長の方へ顔を向けた、が。
いきなり、唇を塞がれた。
離れると口もとだけでニヤリと笑い、片桐課長は青になった信号にアクセルを踏み込んだ。
「気が済んだか」
「……」
なにも言えなくなって俯いた視界はじわじわと滲んでくる。
ぽたりと滴が落ち、慌てて頬を拭う。
けれど泣きたくなんかないのに涙は次々に落ちてきた。
「……どうして泣くんだ」
片桐課長の声は苛立ちを含んでいる。
その声に鼻をすすり、化粧が落ちるなんて気にせずに涙を拭って泣き止む努力をした。
「なんでも、ない、です」
「なんでもないことないだろ。
ちゃんと言わなきゃわからない」
真っ直ぐ前を見つめたまま運転している片桐課長からは、怒っているのかあきれているのかわからない。
聞いてもいいのだろうか、私のことをどう思っているのか。
この関係はなんなのか。
聞いたら片桐課長は答えてくれるのだろうか。
聞きたかったことなのに、いざ聞こうとすると声にならない。
「か、片桐課長にとって、私はいったい、なん、です……か」
自分から出た声は酷く掠れていた上に震えていた。
「それは……」
片桐課長はそのまま黙ってしまい、重苦しい沈黙がその場を支配する。
信号を三つほど通り過ぎ、四つ目の信号で車は右折のために止まった。
カチ、カチ、とウィンカーの音が虚しく響く。
「……同じ会社の子、だ」
唐突に片桐課長がぽつりと言った答えは、ナイフのように心臓にぐさりと突き刺さる。
「……あと、――」
ハンドルを切りながらぼそっと小さく呟かれた声はよく聞こえなかった。
「なんですか」
「なんでもない」
怒ったように片桐課長は前を見たままで、私もずっと俯いていた。
ランチにパンケーキ専門店へ連れていってくれた。
こんな物で機嫌が取れるほどお手軽な人間だと思われているのだと、いい気はしない。
「まだ怒ってんのか」
「……怒ってないです」
むすっと答えればバレバレなのはわかっているが、仕方ない。
「じゃあなんて言ってほしかったんだ」
はぁっと片桐課長の口から落ちるため息にまた泣きそうになった。
それにそんなことを聞かれても、自分の望んでいた答えがわからない。
「ん?」
片桐課長が眼鏡の向こうからじっと見つめている。
そこに答えなんて書いていないのに、必死にテーブルの上を目で探した。
――好きな子。
唐突に、辿り着いた答えを慌てて否定した。
そんなはずがないのだ。
「黙ってたらわからないだろ」
「その、……友達、とか」
曖昧に笑って答えながら、それはないだろうと自分でも思う。
実際、片桐課長もあきれたようにまた、ため息をついた。
「なんだそれ。
意味がわからん」
「ですよね……」
片桐課長は笑っているが、私も笑うしかできない。
「でも、上司と部下は嫌なんです」
「うん」
なぜだかわからないが片桐課長は前のめりになって、期待を込めたキラキラした目で私を見ている。
「そしたら友達が一番妥当かなーって」
「……なんでそうなるんだよ」
一気に失望したのか、横柄に片桐課長が椅子の背に背中を預けた。
「じゃあもう一度聞きますけど。
片桐課長にとって私はただの部下ですか」
しれーっと冷たい目で片桐課長を見ると、彼はうっと言葉を詰まらせた。
「ああもう、わかった!」
逆ギレされて思わず身体がびくんと揺れる。
けれど。
「お前がそれでいいならいいんじゃないか。
俺にとって笹岡は可愛い友達だ」
仕方がない、とでもいうかのように片桐課長が笑う。
少し目尻を下げて眩しそうなその顔に胸がきゅんと音を立てたし、それに。
〝可愛い〟がついたからちょっと機嫌が直っていた。
さらにクリームたっぷりのふわふわパンケーキでテンションが上がる。
食べ終わる頃には完全にご機嫌になっていた。
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