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第二章
第九十話 順調な討伐
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そろそろ天使系モンスターの射程範囲内に入るというタイミングで、次の手札を切った。
「出でよ、闇の獣達よ」
俺の周りに発生した闇の靄の中から次々と闇の身体を持つ獣達が姿を現してきた。
【狩猟ノ闇獣王】のスキル【狩猟ノ牙獣】により生み出した眷属型具現体〈猟獣〉の群れの先頭にいるのは、エリアボスの死体から創り出された巨狼タイプの猟獣である狗狼だ。
巨大な闇の狼であるクロウの周囲には、様々なタイプの小柄の猟獣がおり、そのいずれにも翼が生えていた。
これらの小型の猟獣達は、この〈堕天の回廊〉の浅い階層に出現する獣系有翼モンスターの死体から作られている。
前回来た時と今回で遭遇した獣系有翼モンスターの死体の中の一部を使って生み出しているため、その数はそこまで多くない。
それでも彼我の圧倒的な数の差からすれば、数十体もの増員であっても頼りになるはずだ。
そんな猟獣達も含めた味方全体へと、リリアとマリヤから次々と支援効果が付与されていく。
「【魔女の厄災】──『集団付与化』『対光属性防護』『強靭な剛力』『硬度な肉体』『俊敏な速力』」
「【楯の乙女】」
リリアが天使像からの報酬で変化したクラススキルを併用して支援魔法を付与し、マリヤもまた天使像より得た新たなクラススキルを発動させる。
マリヤが発動した【楯の乙女】が俺達に向かってきている天使系モンスター達を挑発し、その敵意が一斉に彼女へと集中する。
更に、【楯の乙女】にある味方への支援効果によって、使用者であるマリヤだけでなく猟獣も含めた全ての味方へと〈防御力上昇(大)〉〈全ステータス強化(小)〉といった効果まで付与されていった。
俺が言うのもなんだが、この2人も大概チートだな。
そんなことを思いながら、多数の猟獣の召喚と全体への支援魔法でそれぞれ魔力が枯渇した俺とリリアは、〈天使の雫〉を使用して魔力を回復させた。
「行け、獣ども」
召喚主である俺の指示に従って、クロウをはじめとした猟獣達が天使系モンスターに襲い掛かっていく。
猟獣達が一部のモンスターの注意を引いたことにより、盾役のマリヤに殺到していたモンスターの圧が減少する。
彼女が剣と盾でモンスターの猛攻を防いでいる横から、両手に構えた2梃の魔銃の銃口を向けて引き金を引く。
〈混幻黒銃ドライド〉と〈混幻銀銃レフーラ〉の銃口から放たれる魔弾が天使系モンスターを穿つ。
2梃の魔銃から放たれた魔弾は共に闇色に染まっていた。
──異能【万物変換】を発動します。
──魔力属性を〈雷〉から〈闇〉へと変換します。
──魔力属性の変換に成功しました。
──異能【万物変換】を発動します。
──魔力属性を〈竜〉から〈闇〉へと変換します。
──魔力属性の変換に成功しました。
異能【万物変換】の第3層能力【属性変換】にて変換した先の属性は、殆どの天使系モンスターに有効な〈闇〉属性。
そこにユニークスキル【魔喰ノ精霊王】の【属性錬化】による属性強化効果、同じくユニークスキル【狩猟ノ闇獣王】の【闇影ノ支配者】による闇属性に対する複合的な強化効果、最後にユニークスキル【万能通ず陽光王】の【諸芸の達人】に含まれている銃撃補正が合わさったことで、闇の魔弾は凄まじい威力を発揮していた。
「おお! 相性の良い属性だから面白いように倒せるな」
敵が盾役のマリヤに集中していることで余裕をもって攻撃できるため、一撃一撃の効果をじっくりと観察することができた。
異常暴走に遭遇するまでは、わざわざ闇属性に変換せずとも天使系モンスターを倒せたため【属性変換】は使っていなかった。
天使系モンスターは闇属性以外の自然属性への耐性を持つため、銀銃レフーラの雷属性の魔弾では下位の天使が相手でも1発では倒せないが、10発も当てれば倒せた。
黒銃ドライドの竜属性の魔弾は、属性相性的には良くも悪くもなく、レフーラよりはダメージが通りやすいが、それでも数発は必要だった。
逆を言えば、種族的に強いモンスターである天使をその程度で倒せるぐらいの攻撃力があったため【属性変換】は使わなかったのだが、ここまで簡単に倒せるなら今後は闇属性の魔弾を使うべきかもしれない。
「まぁ、これも3種のユニークスキルによる強化があってこそか」
引き金を引く度に1体以上の天使系モンスターが落ちていくのは爽快だが、異常暴走なので敵の数が多すぎる。
焼け石に水とまでは言わないが、そう表現しそうになる程度の数はいる。
俺1人で挑むことになっていたら途中で力尽きていたかもしれないが、今の調子ならば何とかなりそうだ。
「このまま終わればいいんだが……」
口に出した後で気付いたが、これってフラグではないだろうか?
嫌な予感から胸騒ぎを覚えつつも、マリヤが注意を引き付けているモンスター達をリリアと共に処理していった。
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