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第一章
第十三話 第4層と第5層
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前世における今から3年後の夏頃。
この資源ダンジョン〈紅果の森〉に突如として大量発生したアリ系モンスターによって、ダンジョン内で多数の死傷者が出た。
ダンジョン名にもなっている紅色の果実を筆頭に、有用な資源が幾つも採取できるこの資源ダンジョンには日々多くの覚醒者が入場している。
アリ系モンスターの生息域がダンジョンの浅い場所だった所為で、ダンジョンの奥地にいた探索者達は出入り口であるゲートまでの動線を封じられてしまい、奥地にいた他のモンスターとアリ系モンスターに囲まれる形で襲われ、一番近くにいた一般覚醒者達は逃げる間もなくアリ系モンスターに襲われて死んでいた。
結構な大事件だったが、その事件の少し前に活動場所を別のダンジョンに移していた俺は難を逃れていた。
そんな多数の死傷者を出した〈紅果の森〉を正常な状態に戻すため、探索者協会から要請を受けた複数のギルドによって大量発生したアリ系モンスターは掃討された。
その際にこれまで見つかっていなかったアリ系モンスターの巣が発見されており、おそらくはこの巣が〈システム〉が出したクエストに載っていた巣だと思われる。
実際に自分の目で確認したわけではないが、ネットやテレビを通して間接的に情報は得ていた。
だから、全くアテがないわけではなかった。
「えっと、確かこっちだったかな?」
巣の場所はダンジョン内の地図を使って図解されていたが、その地図は簡略化された図だったのではっきりとした場所までは分かっていない。
それでも、ゲートからの方角と大体の場所ぐらいは分かっているので、そのうち見つけられるはずだ。
○名前:外神クロヤ
⚫︎等級:中級
⚫︎レベル:1
⚫︎個人特性:生存、恩讐、反逆
⚫︎クラス:破壊者
⚫︎異能:万物変換
・第0層……【経験変換ノ理】
外神クロヤの成長を段階を経て支援する情報・経験変換システム。
収集した凡ゆる情報からクエストを構築し、その報酬という形で成長要素を効率的に変換する。
追加機能〈ダンジョン探知〉〈広域マップ〉。
・第1層……【魔生変換】
自らの魔力と生命力を相互に変換可能。
・第2層……【彼我変換】
対象の魔力と生命力を自らへと変換可能。
・第3層……【属性変換】
自らの魔力を認識済みの属性魔力へと変換可能。
・第4層……【肉体変換】
自らの能力値を別の能力値へと一時的に変換可能。
・第5層……【形状変換】
対象の形状を別の形状へと変換可能。
・第6層……未解放。
⚫︎スキル
【威圧】〈B〉
【強拳】〈C〉
【幸運】〈A〉
【耐性貫通】〈A+〉
【破壊本能】〈A〉
⚫︎各種能力値
筋力値:38
耐久値:40
敏捷値:51
反応値:62
精神値:68
知能値:53
体力値:47
魔力値:62
覚醒値:129
幸運値:20(+30)
⚫︎装備(◇2/3)
〈八咫烏の三翅刀〉1/3
〈八咫烏の三翅刀〉2/3
〈八咫烏の三翅刀〉3/3
〈盗賊王の七つ秘具:盗賊王の技装手〉
〈宝納の指環〉
〈月神の賢眼〉◇
〈支配の王環〉◇
森の中を進みながら、現在のステータスを〈月神の賢眼〉の鑑定能力で確認する。
限定出現段階のダンジョンを攻略した際に下級から中級へと覚醒者等級がランクアップしたが、やはり等級が上がるにつれてレベルは中々上がらなくなる。
中級へのランクアップから〈支配の王環〉を見つけるまでに数体のゴーレム系モンスターを倒し、この資源ダンジョンでは今のところ1体のアリ系モンスターを倒したが、リセットされたレベルが1から2に変化することはなかった。
この資源ダンジョンに来たのは、アリ系モンスターの素材を獲得し、その素材を使って職人から防具を作ってもらうのが主な目的だった。
契約を結んだ天城コーポレーションから手付金として貰った金はかなりの額だ。
その金を全て装備購入に費やせば、素材を自分で用意せずともアリ系モンスターの素材を使った防具よりも良い性能の防具を手に入れられるだろう。
だが、装備の購入に全額を費やすと生活費に余裕がなくなってしまうため、こうしてアリ系モンスターを狩りに来たのだ。
「なんせ、こちとら無職なんでねッ」
進行方向先の草藪を揺らしながら姿を現した2体の兵隊魔蟻が吐いてきた酸に対して、中級へのランクアップ後に解放された異能【万物変換】の新たな能力である【肉体変換】と【形状変換】を使用した。
【肉体変換】によって、現状では使うことのない精神値と知能値の値の9割を筋力値と敏捷値へ割り振る。
更に、【形状変換】で両手にそれぞれ握る二振りの短刀〈八咫烏の三翅刀〉の刀身を伸ばして刀とした。
能力値の値が100を超えた筋力値と敏捷値により、インファントリーアント達からの遠距離攻撃を軽く躱わすと、そのまま一撃でアリ達の頭部を斬り落としていった。
このダンジョンに入って最初にインファントリーアントを倒した時に、〈支配の王環〉と【属性変換】のみでもインファントリーアントを倒せることは確認した。
素の身体性能でも倒せるならば、他の能力も使用すればより簡単に倒せるようになるのは当然だった。
「お、やっとレベル2になったか。防具素材集めだけのつもりだったが、これならクエストが終わった頃には結構レベルが上がっていそうだ」
アリ系モンスターによる事件が起こるのは3年後なので、現時点ではまだ大した数はいないと思い探すつもりはなかった。
だが、クエストによって巣の存在と数の多さを匂わせられたならば、期待しても良さそうだな。
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