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第一章
第十五話 戦利品
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異能【万物変換】の第4層能力【肉体変換】による能力値の再構築。
この力によって敏捷値が100を超えた俺を、見るからに平凡なステータスの戦士系が捕えることができるわけがない。
特に番狂わせが起こることもなく残る2人の襲撃者を処理した。
──クエスト『強盗覚醒者達を倒せ』が達成されました。
──達成報酬としてスキル【鉄身】、スキル【剛撃】、スキル【風塵魔法】、スキル【植物支配】、各種能力値+3を獲得しました。
──巧みな戦闘技量を示しました。
──特別報酬:スキル【気配察知】
〈システム〉のクエストで手に入れた報酬の確認を済ませると、襲撃者達の所持品を漁っていく。
死体を処理する前に慰謝料代わりに貰える物は貰っておくとしよう。
「ん?」
リーダーの戦士風の男の死体を漁っていると見慣れないアイテムを見つけた。
手のひらサイズの黒い結晶体型のアイテムで、よく見ると強い魔力を感じる。
○高濃度圧縮魔力結晶体
等級:遺物級。
とあるダンジョンで産出される素材アイテム。
非常に高濃度に圧縮された魔力の結晶体であり、様々な使用用途がある。
鑑定系アーティファクト〈月神の賢眼〉で視た情報からダンジョン資源である素材アイテムだと分かった。
一部のマジックアイテムの製作に必要な素材であるため、アイテム名自体は前世で聞いたことがあったが、実物をこうして見るのは初めてだ。
確か、今のこの時期に国内でこの素材アイテムが産出されるダンジョンは一つだけだが、そこは中級覚醒者が挑めるような難易度のダンジョンではない。
難易度だけでなく、金額的にも中級覚醒者が手に入れるのは難しい上に、職人系覚醒者やマジックアイテムを作る企業ならばまだしも、ダンジョンに潜りモンスターと戦う普通の探索者には無用の長物だ。
「様々な使用用途、ね」
前世で聞いた噂ではあるが、高濃度圧縮魔力結晶体には摂取したモンスターを成長させる効果があるらしい。
高位のモンスターには効果がないが、下位のモンスターには効果があるとか。
そしてこの近くには、数年後に突然大量発生する予定のアリ系モンスターの巣がある。
つまりは、いずれ起こるであろうそのモンスターの大量発生は意図的なモノの可能性が……?
「……まさかな」
リーダーの持ち物に何か裏付けになるような証拠がないか探してみたが、流石にそんな身バレに繋がるような代物を所持してはいなかった。
他の3人の仲間も同様だった。
「ステータスに何かないかな」
〈月神の賢眼〉を死体に使ってみたが特におかしなことは……いや、おかしいな。
彼らの持ち物にあった個人IDとステータスに表示されている名前が違っていた。
「IDの名前はこの国っぽいが、ステータスの名前は違うな」
外見こそこの国の人間に似ているが、名前の字面的にこの国の者ではない。
帰化した場合のステータス名がどうなるか知らないので断言はできないが、もしかするとコイツらは外国の工作員だったのかもしれないな。
「この国の国力を落とすために、アリ達を大量発生させて事件を起こすつもりだったのかねぇ?」
前世で大事件が起こったタイミングからして、高濃度圧縮魔力結晶体は何度も与える必要があるのだろう。
今回はそのうちの1回だったのだと思われる。
どうやってこのエサをやっていたかは知らないが、アリ系モンスターの巣の近くにでも投げ込んでいたのだろうか?
「俺が巣に近付いていたから襲ってきたのかもしれないな。ま、過ぎたことだしどうでもいいか」
高濃度圧縮魔力結晶体をはじめとした各種アイテムと金銭を〈宝納の指環〉に収納すると、手に入れたばかりの【植物支配】を使って近くの木の根を動かす。
その木の根を使って4人の死体を地中に引き摺り込むようにして埋めて処理した。
この襲撃者達から得た戦利品のうち、俺が常用できそうなアイテムは3つ。
1つ目は〈オーガの偽証〉。
鬼系人型モンスターである大鬼の名を冠するドッグタグ型マジックアイテムで、装着中は筋力値と耐久値が常に強化される。
このマジックアイテムがあるならば、【肉体変換】で筋力値と耐久値を強化する必要はなくなるだろう。
2つ目は〈愚者の奔走〉。
足環型のマジックアイテムであり、装着中は敏捷値を強化し、更に回避率を上昇させてくれる。
敏捷値は大して上がらないが、回避率の上昇含めて無いよりはマシだろう。
3つ目は〈隠者の祈り〉。
襲撃者達が全員装備していた指環型のマジックアイテムで、任意で能力【気配希薄】を発動することができる。
このマジックアイテムの力を使って俺の後を尾けたり、アリ系モンスターの巣にいったりしていたのだろう。
貴重な気配変動系マジックアイテムが4つも手に入りはしたが、同じマジックアイテムを複数個装着しても効果は重複しないので装備するのは1つだけだ。
物が物だけに残りの3つを売るかどうかは取り敢えず保留だな。
他にも大剣やら盾やらがあるが、俺の戦闘スタイルには合わないので、店に売っても問題ないことが分かったら他の戦利品は売却しようと思う。
幾つかの消費型アイテムは使えそうなので、こちらに関しては持っておくつもりだ。
「さて、巣の探索を再開するか」
戦闘よりも戦利品漁りの方が時間が掛かってしまった。
掛けた時間に見合う戦果ではあるが、モンスター討伐クエストのためにも早くアリ系モンスターの巣を見つけて沢山倒さないといけない。
気持ちだけ歩く速度を速めつつ、巣の探索を再開した。
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