16 / 140
第一章
第十六話 巣の対処法
しおりを挟む◆◇◆◇◆◇
外国の工作員らしき探索者達の襲撃から1時間後。
漸く目的地であるアリ系モンスターの巣を発見した。
〈システム〉の〈広域マップ〉で現在地を確認したところ、他の探索者が主に活動しているエリアからかなり離れていることが分かった。
正確な距離は分からないが、ゲートから主要活動エリアまでの距離を考えると、余程確信があって探さない限りはこの巣が見つかることはないだろう。
「感じられる気配からして、数は100体ぐらいか」
【気配察知】を使ってアリ系モンスターの巣がある地下を探ってみた感じだと、現在巣の中にいるモンスターの数は100体ほど。
ここまでの道中で主に遭遇した兵隊魔蟻の気配以外にも、数体ほど遭遇した近距離戦闘タイプの〈突撃魔蟻〉や遠距離戦闘タイプの〈砲撃魔蟻〉の気配も感じられる。
他にも初めて感じる気配もあり、一部のアリ系モンスターの気配は今の俺よりも強そうだった。
「さて、どうやって倒すか。戦力的にも正面から全てのアリと戦うのは愚策だしな……」
実際に見るまでは1体ずつ、もしくは数体ずつ誘い出してから倒すつもりだったのだが、巣の外に出てきているアリ系モンスター達は思っていた以上に統率が取れているように見えた。
周囲を警戒するように4体1グループで巡回しており、そのグループが4つほど確認できる。
俺が道中で戦った個体のように巣から離れている個体はまだいるだろうし、巣の中も併せたら最低でも倍の200はいそうだ。
巣の正面や周辺でいつまでも戦っていたら囲まれそうだから、巣の中まで掃討するなら手段を考える必要がある。
何かないかな……。
「んー、地下だから水攻めとか? 水を大量に用意出来ないから却下だな。火攻めは周りが木だし、上手く火を送り込めないから無理だ、いや待てよ。火……つまり煙。そして、毒だな」
巣の頭上にある木の枝の上に座ったまま、少し離れたところにある別の木に実っていた果実を【植物支配】で持ってくる。
見るからに毒々しい色合いと柄をしているこの果実は、かなり強い毒性を持つ。
コレを燃やして出た煙を巣に送り込むのはどうだろうか?
【風塵魔法】を使って風を起こせばやれそうな気がする。
他にもそこら辺にある毒草も一緒に燃やせば効果も高まりそうだ。
そんな素人な思いつきを実行するため作業を開始する。
第5層能力【形状変換】を使って毒の果実と毒草をペースト状にして混ぜ合わせると、適当な乾燥した木の板に塗っていく。
最後にその毒板にライターで着火して煙を発生させた。
煙を吸わないように距離を取ると、【植物支配】で蔦を操作して毒板を掴み上げ、眼下にあるアリ系モンスターの巣の中に放り込んだ。
「『送風』」
風系魔法の中でも初心者でも発動可能な初歩的な魔法を発動させ、毒煙を巣の奥へと送り込んでいく。
更に追加で同じような毒板を作り、同じように着火させてから放り込んでいった。
「あとは効果があることを祈るのみだ」
最後にある程度のところで風を送り込むのを止めると、【植物支配】で巣の近くの木の根を操作して巣の出入り口を完全に封鎖した。
こうして密閉しておけば、後は巣の内部で勝手に燻されてくれるだろう。
「巣を閉じられたし、流石に異変に気付くか」
巣の周りを巡回していたグループの1つが異変に気付き、巣の出入り口の木の根を取り除こうとしているのが見えた。
頭上の木の枝から、グループの後衛にいるアーティラリーアントへと飛び降りると同時に【剛撃】を発動させた。
一撃の威力を上げるスキルによって衝撃が引き上げられ、着地地点のアーティラリーアントの頭部が粉砕される。
そのまま頭部を足蹴にして前方に飛び出すと、両手それぞれに握った〈八咫烏の三翅刀〉で2体のインファントリーアントを真っ二つにした。
残り1体のアサルトアントも先の2体と同様に、こちらを振り返る前に両断して処理する。
「奇襲すれば簡単に倒せるな。また上に登っておくか」
呑気に解体している暇はないので、適当に端の方にアリ達の死体を放ってから再び木の上に移動した。
それから順次戻ってきて同じような行動をするアリ達のグループを、これまた同じようなやり方で倒していった。
巡回していたグループを全て倒した後は、巣の近くに降り立ち、【気配察知】で巣の中のアリ達の気配を探りながら倒したアリ達を解体していく。
グループになって巡回していたアリ達とは違い、巣から離れた場所を彷徨いているアリ達は1体から3体ほどで行動している上に統率が取れていない。
そのため、奇襲攻撃をせずとも各個撃破ができるので、このまま地上で待機することにした。
「お、数が減り始めたな」
巣の中にあるアリの気配の数が減り始めた。
巣の周りを巡回していたアリ達を全て倒すほど時間が経っても変化がなかったので、毒燻し作戦は失敗かと思っていたが、どうやら成功のようだ。
徐々に気配が減っていくにつれて、俺のレベルも上がっていった。
巣に到着した時点でレベルは7になっており、そこから巡回組を全て倒してレベル9。
そして今はレベル11になっていた。
覚醒者としての等級が上がるに従って10ずつレベル上限が増えるため、中級覚醒者はレベル20まで上げられることになる。
出来るだけ上限まで近付いて欲しいものだが、一体どこまでレベルが上がるか今から楽しみだ。
まぁ、最も楽しみなのはクエスト報酬のアイテムなので、そのためにも巣の中のアリ達には是非とも全滅してもらいたいものだな。
31
あなたにおすすめの小説
新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜
黒城白爵
ファンタジー
異界から突如出現したモンスターによって、古き世界は終わりを告げた。
新たな世界の到来から長い年月が経ち、人類は世界各地に人類生存圏〈コロニー〉を築いて生き残っていた。
旧人類、新人類、コロニー企業、モンスター、魔力、旧文明遺跡、異文明遺跡……etc。
そんな様々な物が溢れ、廃れていく世界で生きていた若きベテランハンターのベリエルは、とある依頼で負った怪我の治療費によって一文無しになってしまう。
命あっての物種、だが金が無ければ何も始まらない。
泣く泣く知り合いから金を借りてマイナススタートを切ることになったベリエルは、依頼で危険なコロニーの外へと向かい、とある遺物を発見する……。
アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい
黒城白爵
ファンタジー
ーーある日、平穏な世界は終わった。
そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。
そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
ダンジョン学園サブカル同好会の日常
くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。
まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。
しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。
一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~
仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。
祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。
試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。
拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。
さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが……
暫くするとこの世界には異変が起きていた。
謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。
謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。
そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。
その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。
その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。
様々な登場人物が織りなす群像劇です。
主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。
その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。
ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。
タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。
その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる