23 / 140
第一章
第二十三話 2戦目
しおりを挟む◆◇◆◇◆◇
現在進んでいるルートに出現する2体目のエリアボスは、〈小鬼将軍〉の岩ゴブリン版である岩ゴブリンジェネラルだった。
1戦目の岩ゴブリンチーフを上回る3メートル近い体躯を持つ岩ゴブリンであり、岩ゴブリンチーフと同じ指揮個体だが、ジェネラル種は統率能力だけでなく戦闘能力にも秀でている。
そのため、相対した際に感じる重圧は岩ゴブリンチーフの比ではなかった。
「まぁ、気配的にこの間の女王アリほどじゃないかな」
資源ダンジョン〈紅果の森〉のエリアボス〈女王魔蟻ベラス〉は、女王と種族名にあるように王種にあたるため、モンスターの種族内階級において将軍種よりも上だ。
魔蟻と岩ゴブリンで種が異なるため一概には比べられないが、発する気配からの比較ではベラスの方が上に感じられる。
ベラスを倒した時よりも強くなっている俺ならば、1戦目のエリアボスに引き続き倒すことは容易なはずだ。
「グゥ、ガァガギィ!」
岩ゴブリンチーフの時と同様に召喚された配下の岩ゴブリン達が、岩ゴブリンジェネラルの指示を受けて動き出す。
1戦目と同じく強化した爆属性魔力を宿した〈八咫烏の三翅刀〉を投擲する。
ボス部屋に轟く爆音に眉を顰めていると、爆煙の中から大岩が投げられてきた。
マトモに当たれば中級覚醒者程度は即死するほどの豪速球の大岩を躱わす。
その場から飛び退いてから視線を戻すと、爆煙の中から飛び出してきた岩ゴブリン達が距離を詰めつつあった。
突然の爆発にも大して怯むことなく突き進んでくるとは、岩ゴブリンジェネラルの統率力の高さが窺える。
爆煙が晴れた先には、地面に突き刺していた大剣を引き抜いている岩ゴブリンジェネラルの姿があり、その足元の地面には何かが引き抜かれたような跡が見えた。
たぶん、あそこの地面にあった大岩を投げてきたんだろう。
中々パワフルな奴だな。
「『風の乱刃』」
「グゥギィッ!?」
間近に迫った岩ゴブリン達を迎撃すべく風魔法を放つ。
通常の岩ゴブリンならば初歩的な攻撃魔法のみでも倒すことが可能だ。
だが、今回の2体目のエリアボス戦で召喚された岩ゴブリン達の中には、通常の岩ゴブリン以外にも戦士種と呼ばれる個体も混ざっていた。
「ギィギィッ!」
「フンッ!」
手斧を振り上げながら飛び掛かってきた〈岩小鬼戦士〉を精霊剣バアルで両断すると、同じく『風の乱刃』に耐えた別の岩ゴブリンウォーリアが横合いから槍を突き出してきた。
その槍の柄を斬り払い、返す刃で岩ゴブリンウォーリアを斬り捨てた。
通常の岩ゴブリンよりも身体付きが良いだけあって『風の乱刃』にも耐えられるようだ。
俺のステータスが魔法特化型ならば一撃で倒せたかもしれないが、俺のステータスは魔法系ではないので火力不足なのは仕方がない。
「【肉体変換】で能力値を弄れば魔法の威力も上げるけど、そこまで余裕はないからな」
「グゥオォアッ!!」
風の攻撃魔法でダメージを与えた岩ゴブリンウォーリア達を次々と斬り払っていると、エリアボスの岩ゴブリンジェネラルも参戦してきた。
振り下ろされた大剣の一撃を回避すると、その頭部に向けてアーティファクト〈支配の王環〉の念動力を行使する。
この念動力の出力では岩ゴブリンジェネラルの頭部を握り潰すことはできない。
なので、念動力で捕まえた頭部へと俺の身体を一気に引き寄せ、その勢いにスキル【剛撃】の効果を乗せてから頭部へと精霊剣バアルを振り下ろし、股下まで両断した。
──〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──筋力値が5ポイント増大します。
──耐久値が5ポイント増大します。
──体力値が5ポイント増大します。
──スキル【怪力】を獲得しました。
エリアボスに対してこれほどの威力を発揮できたのは、【剛撃】の効果だけでなく【破壊本能】の効果のおかげでもあった。
○スキル【破壊本能】
常時発動型補助スキル。
生物・無生物問わず対象を破壊する度に一時的に攻撃力が1%ずつ(最大100%)上昇する。
このスキルは、〈ジーニアス〉から〈破壊者〉へとクラスがランクアップした際に自動的に取得したモノだ。
破壊すれば破壊するほど一時的に攻撃力が上がるスキルであるため、今の俺は戦えば戦うほど攻撃力が上がっていく状態にある。
1戦目と2戦目で倒した岩ゴブリン達に加えて、それぞれのボス部屋までの道中で倒した分も合わせると、大体40体ほどになる。
更に破壊対象には無生物も含まれるため、爆撃に使った〈八咫烏の三翅刀〉だけでなく、おそらく爆撃の際に破壊された岩ゴブリン達の武器も数に含まれているはずだ。
その結果、今の俺は【破壊本能】によって攻撃力が60%近くにまで上昇していた。
元の威力低い攻撃魔法には恩恵が小さかったが、岩ゴブリンジェネラルを真っ二つにできるほどに物理攻撃への恩恵は大きかった。
1つ破壊するごとに1%ずつしか上がらないとはいえ、ソロで連戦するような状況では最高のスキルだと言えるだろう。
「最後のエリアボスでも先ずは雑魚の間引きからしないとな」
残った岩ゴブリンウォーリアとその武器を破壊してカウント数を稼いでから、エリアボス討伐により出現した宝箱を開けた。
○鬼将軍の羽織
等級:宝物級。
とあるダンジョンで産出されたコート型マジックアイテム。
・【将軍の鬼威】……鬼将軍の力によって威圧系スキルの効果は強化されるが、隠密系スキルの効果が弱くなる。また、気配が増大するため敵に狙われやすくなる。
なんというか、効果が微妙だな。
まぁ、ヘイトを稼ぐには良さそうだが、それぐらいしか使い道がないとも言える。
「一応、今の状況では使えないことはないか」
今後も使うか怪しいが、取り敢えず着ておこうか。
最後のエリアボスでは良いアイテムがドロップすることを祈るとしよう。
21
あなたにおすすめの小説
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜
黒城白爵
ファンタジー
異界から突如出現したモンスターによって、古き世界は終わりを告げた。
新たな世界の到来から長い年月が経ち、人類は世界各地に人類生存圏〈コロニー〉を築いて生き残っていた。
旧人類、新人類、コロニー企業、モンスター、魔力、旧文明遺跡、異文明遺跡……etc。
そんな様々な物が溢れ、廃れていく世界で生きていた若きベテランハンターのベリエルは、とある依頼で負った怪我の治療費によって一文無しになってしまう。
命あっての物種、だが金が無ければ何も始まらない。
泣く泣く知り合いから金を借りてマイナススタートを切ることになったベリエルは、依頼で危険なコロニーの外へと向かい、とある遺物を発見する……。
この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~
仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。
祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。
試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。
拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。
さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが……
暫くするとこの世界には異変が起きていた。
謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。
謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。
そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。
その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。
その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。
様々な登場人物が織りなす群像劇です。
主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。
その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。
ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。
タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。
その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。
アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい
黒城白爵
ファンタジー
ーーある日、平穏な世界は終わった。
そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。
そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
ダンジョン学園サブカル同好会の日常
くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。
まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。
しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。
一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる