万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

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第一章

第二十二話 1戦目

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 ◆◇◆◇◆◇


 洞窟内に作られた大扉を開けた先には、1体のゴブリン系のモンスターがいた。
 通常のゴブリン種は1メートルほどしかない矮躯なのに対して、目の前にいるゴブリン種は倍の2メートルほどの巨躯だった。
 ゴブリン種の中でも〈小鬼首領ゴブリンチーフ〉という階級種の岩ゴブリン版であるため、岩ゴブリンチーフと呼ぶべき個体になる。
 エリアボスとしては低位のモンスターではあるが、一般的には探索者になったばかりの覚醒者ならば、最低でも4人パーティーで挑むことが探索者協会より推奨されていた。
 まぁ、探索者になって間もない覚醒者といっても、中には俺のような異能持ちの中級覚醒者もいるため、あくまでも推奨でしかないのだが。


「指揮個体なだけあってボス以外にも出現するから、パーティー推奨なのも分かるんだけどな」


 大扉の先の空間、所謂ボス部屋に足を踏み入れた瞬間、岩ゴブリンチーフの周囲の地面に多数の術式陣が展開されていった。
 その術式陣の一つ一つから下位種である岩ゴブリンが姿を現していく。
 術式陣の展開から終了までの5秒ほどの間に召喚された岩ゴブリンの数は12体。
 メインであるエリアボスの岩ゴブリンチーフを含めると計13体になる敵側に対して、俺の方は俺自身のみ。
 探索者協会からの推奨人数に、最低でもと注意書きされていたのも納得の人数差だ。


「まぁ、この程度の戦力差なら大したことではない」


 〈宝納の指環〉の【収納空間】から〈八咫烏の三翅刀〉を一振りだけ取り出すと、その刀身に宿す魔力を第3層能力【属性変換】を使って〈陽光〉から〈爆〉へと変更する。
 その爆属性魔力を複合系アーティファクト〈支配の王環〉の属性支配能力で強化してから、岩ゴブリン達に向かって投擲した。
 空気を裂きながら飛翔した短刀が岩ゴブリンの1体の身体に突き刺さった瞬間、ボス部屋を震わせるほどの爆発が起きた。

 両耳を押さえていた手を離し、ズレていた暗視メガネの位置を直す。
 爆発によって発生した煙の中から感じる魔力反応は10体。
 適度にバラけて召喚されていたため、一度の爆撃程度ではたった3体しか屠れなかったようだ。


「とはいえ、生き残りも無傷ではない」


 〈八咫烏の三翅刀〉の【二損一存】を発動させて、爆発させた短刀を手元に復活させる。
 その短刀の陽光属性魔力を爆属性魔力に変換し、更に属性強化を行なってから投擲するという、先ほどと同じことを実行して再び爆発を起こした。
 残りは7体。
 手元に短刀を復活させて、再三同じことを繰り返そうとしていると、爆煙の中から大柄の影が飛び出してきた。


「グゥオオオォォ!!」

「いらっしゃーい」

「グゥッ!?」


 配下の岩ゴブリンを置いて、ダメージを負った身体で単身飛び出してきた岩ゴブリンチーフを袈裟懸けに斬り裂く。
 爆煙で視界が制限されてはいるが、魔力反応で位置が分かるならば迎撃することは容易い。
 叙事エピック級の長剣である〈魔喰の精霊剣バアル〉ならば、素の攻撃力のみで岩ゴブリンチーフの頑丈な体表を斬り裂くことは可能だ。
 そのため、これ以上魔力を使用することなく、精霊剣バアルを次々と振るっていき、岩ゴブリンチーフを滅多斬りにしていった。
 第4層能力【肉体変換】によって一時的にスピード特化の能力値構成ビルドにした俺が捕まるわけがなく、間もなく背後から心臓部を貫いて岩ゴブリンチーフを討伐した。


──〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──筋力値が3ポイント増大します。
──耐久値が4ポイント増大します。
──魔力値が1ポイント増大します。
──スキル【硬質化】を獲得しました。


 流石はエリアボス。
 一度に計8ポイントの能力値が得られるとは素晴らしいじゃないか。
 しかも能力値だけでなくスキルまで獲得できるとは思わなかった。
 【魔を喰らう刃】によって獲得できる力の対象には、能力値以外にスキルまで含まれていたようだ。
 精霊剣バアルは予想以上にチート武器なのかもしれない。


「自分の身体を硬くできるスキルか。岩ゴブリンらしいと言えばらしいスキルだな」


 握り締めた右の拳に対して【硬質化】を発動させてから、近くにいた岩ゴブリンの頭を殴ってみた。
 すると、岩ゴブリンの岩肌のような頭部が陥没し、一撃で倒してしまった。
 次は【強拳】スキルを発動させてから別の岩ゴブリンの頭を殴ってみると、陥没するどころか粉砕してしまっていた。
 まさに汚い花火といった有り様だ。


「……筋力値が高いのも一因なんだろうけど、硬くなるとシンプルに強いな」


 手を握ったり開いたりして手の動きに変わったことがないかを改めて確かめると、残りの岩ゴブリン達は精霊剣バアルで片付けていった。
 残念ながら【魔を喰らう刃】は発動しなかった。


「ま、別にいいんだけど。さて、宝箱の中身は何かな?」


 ボス部屋の全てのモンスターを倒したことで出現した宝箱の蓋を開ける。
 宝箱の中には一着の灰色のベストが入っていた。


○岩小鬼の護服
 等級:宝物プレシャス級。
 とあるダンジョンで産出されたベスト型マジックアイテム。
・【岩が如き衣】……一定以上のダメージを受けた際、自動的に硬質化してダメージを減衰させる。


 うーむ。まぁ、悪くはない性能なんだが、個人的にはベストは趣味じゃないんだよな。
 それに、インナーに〈蒼銀絹ミスリルシルクの護身衣〉を着ているから、あまり有り難みが無いという。


蒼銀絹ミスリルシルクの護身衣
 等級:遺物レリック級。
 とあるダンジョンで産出されたインナー型マジックアイテム。
・【魔銀の護衣】……着用者に物理・魔法攻撃に対する耐性(弱)を付与。また、一定以上の衝撃を受けた際、その衝撃の一部を減衰させる。
・【魔銀の護付】……魔力使用時の効率性が向上し、魔力の回復力が強化される。


 同じエリアボス産の防具でも性能が雲泥の差だな。
 ま、取り敢えずベストは回収しておくか。
 岩ゴブリン達の死体には岩ゴブリンチーフ含めて価値がないため、このまま放置して先へと進む。
 放置したモンスターの死体は、時間経過でダンジョンが呑み込んでくれるので後処理が楽でいい。
 このルートのエリアボスはあと2体いるので、どんどん行くとしよう。


 
 
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