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第一章
第二十一話 魔を喰らう刃
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今まで住んでいたアパートからマンションに引っ越してから5日が経った。
新居で使う生活用品などを買い揃えたりしていたので、この5日間は一度もダンジョンに潜っておらず、今日は久しぶりのダンジョンになる。
久しぶりのダンジョンだからと言って、鈍った身体を解す目的で挑むわけではない。
やるからには何かしらの成果を持ち帰るつもりだ。
「ダンジョン〈枯れた山脈〉か。名前通りだな」
ゲートを潜った先にあったのは、草木が殆ど無い赤茶色の岩肌に覆われている山だった。
便宜上の名称が付けられるダンジョンは基本的に資源ダンジョンだが、長いこと攻略されていない通常のダンジョンにも名前が付けられることは珍しくない。
この〈枯れた山脈〉もそういったダンジョンの一つであり、名前通りダンジョン内には山タイプのフィールドが広がっている。
自然環境系のフィールドなのに資源ダンジョンに分類されていないことからも分かるように、〈枯れた山脈〉からは有益なダンジョン資源は産出されていない。
そのため、このダンジョンは探索者協会より攻略が推奨されていた。
「まぁ、正確には未だ見つかっていないと言うべきなんだがな」
ダンジョンを攻略するために山を登っていく大手ギルドの一団を遠目に見つつ、ゲートがある山の麓から俺も移動を開始する。
〈枯れた山脈〉はダンジョンボスを倒すことで攻略されるタイプの普通のダンジョンだが、そのダンジョンボスに到達するまでが少し特殊だった。
簡単に言うと、ダンジョンボスがいる最奥までのルートが複数存在しており、そのルートごとに待ち受けるエリアボスとその数、罠などが異なっているのだ。
中にはダンジョンボスに到達しないルートもあるため、苦労して進んでいった結果が行き止まりというパターンもあり、長いこと攻略が進まずにいた。
そして、今俺が向かっているのはそんな行き止まりルートの一つになる。
「えっと、場所はここだな」
到着した場所には直径10メートルほどの横穴が空いており、この洞窟の先が目的のルートになる。
出現してから数年が経つダンジョンであるため、ダンジョン表層の情報ぐらいならばネット上で簡単に集めることができた。
目的のルートは前世では挑んだことがなく、正確な場所までは知らなかったが、ネットで条件に合うルートを調べたらすぐに分かった。
ネット上にあった名も知らぬ有志からの情報提供に感謝しつつ、腰に帯びた鞘から長剣〈魔喰の精霊剣バアル〉を引き抜いた。
「ギャッ!?」
「岩ゴブリンか。情報通りだな」
〈枯れた山脈〉には複数種類のモンスターが出現するのだが、俺が選んだルートとその入り口付近のエリアには、〈岩ゴブリン〉と呼ばれる岩肌のような肌をした〈小鬼〉種が出現する。
洞窟の入り口近くの岩陰から飛び出してきた、1メートルほどの小柄な体躯の鬼系人型モンスターを一撃で屠ってから、洞窟の中へと進んでいく。
洞窟外の光が届かず次第に暗くなってきたので、事前に購入しておいた暗視能力を持つ眼鏡型マジックアイテム〈暗視メガネ〉を装着する。
希少級というマジックアイテムとしては最低ランクのマジックアイテムであるため、暗視能力に自動調節機能はなく、明るい場所で装着すると何も見えなくなってしまうので、暗くなってから装着した。
その代わり非常に安かったので、この辺りはトレードオフの関係だと言えるだろう。
「もっと便利な暗視系のマジックアイテムが欲しいところだな」
「ギャバッ!?」
暗視メガネを装着してすぐに襲い掛かってきた岩ゴブリンを斬り捨てる。
この程度の装備の着脱ならば隙にもならないのだが、どうやら岩ゴブリンの方はチャンスだと思ったらしい。
──〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──耐久値が1ポイント増大します。
入り口付近で倒した岩ゴブリンの時は発動しなかったが、今回は発動してくれた。
まだ2体しか倒していないが、おそらくは岩ゴブリンのような雑魚モンスターが相手だと発動確率は低いのだと思われる。
それでもレベルアップやランクアップ以外で能力値が上げられる能力は非常に強力なので、今後も重宝することになりそうだ。
──〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──体力値が1ポイント増大します。
──〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──耐久値が1ポイント増大します。
──〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──筋力値が1ポイント増大します。
──〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──体力値が2ポイント増大します。
洞窟の奥へと進みながら更に20体の岩ゴブリンを倒していった。
その間に得られたポイントは全部で5ポイント。
雑魚を倒して獲得できた能力値であることを考えれば、悪くない確率だな。
「さて、先ずは最初のエリアボスか」
目的の場所はこのルートの終着点。
そこまでに倒さなければならないエリアボスは全部で3体おり、その最初の1体がいる空間の前に到着した。
洞窟内だと言うのに存在する金属製の大扉を押して、ボスの間へと入っていった。
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