万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

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第一章

第二十四話 3戦目

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 ◆◇◆◇◆◇


 洞窟の最奥にて待ち受ける最後のエリアボスは〈小鬼王ゴブリンキング〉と呼ばれる王種に属する個体だった。
 その岩ゴブリン版であり、かつ特殊個体であるエリアボスの名称は現時点では判明していない。
 鑑定宝玉が世に出るまでは、鑑定系スキルや鑑定系異能を持つ覚醒者達によって明らかにされない限りは、名称の分からないままのモンスターやアイテムは多かった。
 このゴブリンキング系のエリアボスだけでなく、ここまでに倒した2体のエリアボスの個体名が判明していないのも、このルートに挑戦した覚醒者の中に鑑定持ちがいなかったからだろう。

 今の俺も鑑定系アーティファクト〈月神の賢眼〉を鑑定宝玉開発のために天城コーポレーションに預けているため、目の前のエリアボスを鑑定することは出来ない。
 だが、前世の記憶の中には情報があるため、このエリアボスの名が〈洞窟鬼主ケイブロードグーロ〉というネームドモンスターであることを知っていた。
 ここのような一本道でのエリアボスの連戦を強いるタイプのルートがあるダンジョンの場合、エリアボスの強さは段階的に増していく。
 その例に漏れず、このルートの最終ボスであるグーロはかなり強い。


「うおっ!?」


 突然足元の地面から迫り上がってきた岩の槍を慌てて回避する。
 事前に知っていてもなお驚いてしまうほどの魔法発動スピードだ。
 グーロは〈洞窟鬼主ケイブロード〉というだけあって、洞窟内において無類の強さを発揮すると言われている。
 その理由が、この土魔法の発動スピードと威力だ。
 洞窟内という四方を岩壁に囲まれたボス部屋は、グーロの高い土魔法行使能力を十全に活かすことができる。
 今も昔も周囲の岩壁を使って放たれてくる不意打ち染みた速さの魔法攻撃によって、多くの覚醒者が死んでいった。
 俺もボス部屋に入る前に第4層能力【肉体変換】で敏捷値と反応値を高めていなかったら被弾していたかもしれない。


「チッ。攻撃だけでなく防御能力も高いな」


 足元からの岩槍攻撃を躱わすと共に投擲した爆撃短刀が、グーロの目の前に出現した岩壁に防がれる。
 爆煙の中から大量の岩礫が発射されてきたので避けると、回避先の地面からまた岩槍が隆起してきたので、素早く空中へと跳んで回避した。
 すると、頭上から〈痺牙蝙蝠パラライズバット〉というコウモリ系モンスターが襲ってきた。
 名称の通りの麻痺攻撃を仕掛けてくるこのモンスターがいるのも、グーロ戦の難易度を引き上げている一因だった。
 グーロの下位種である岩ゴブリンは1体もいないが、このモンスターが大量に空中にいるため、グーロは味方を気にすることなく魔法攻撃を振るえるのだろう。


「あー、鬱陶しい!」


 空中に跳んだ先で襲ってきたパラライズバット達に対して【威圧】を発動させる。
 装備アイテム〈鬼将軍の羽織〉の力で威圧系スキルが強化されているだけあって、意気揚々と攻めてきたパラライズバット達が硬直した。
 その隙に精霊剣バアルを幾度も振るい、邪魔な空中戦力を減らしていった。
 

──〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──敏捷値が1ポイント増大します。

──〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──魔力値が1ポイント増大します。

──〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──敏捷値が1ポイント増大します。
──スキル【麻痺撃】を獲得しました。


 パラライズバットらしいスキルを獲得したが、今の状況では役に立たなさそうだな。


「いや、そうでもないか」


 着地後も立て続けに襲ってくる魔法攻撃を避けるために走り回りながら、爆撃に使った〈八咫烏の三翅刀〉を手元に復活させる。
 第3層能力【属性変換】で陽光属性魔力を爆属性魔力へと変えていたが、次は破壊属性魔力へと変換してから投擲した。
 再び魔法で岩壁が生み出されるが、今度は爆属性ではなく破壊属性の魔力を宿している。
 岩壁は爆発という面の一撃は防げたようだが、点の一撃である貫通は防げるだろうか?
 その答えはすぐに結果となって現れた。
 

「グギャッ!?」


 投擲した破壊短刀が岩壁を貫通し、その壁の向こう側から驚愕するような悲鳴が聞こえてきた。
 どうやら上手くいったようだ。
 即座に進路を変更してグーロの元へと疾走する。
 岩壁を回り込んだ先で見えたのは、肩に突き刺さった短刀を抜こうとした体勢のまま動けないでいるグーロの姿だった。
 破壊短刀には獲得したばかりのスキルである【麻痺撃】を使っており、その短刀に被弾したグーロは麻痺状態に陥っているのだ。
 別種族とはいえ、同じフィールドで共闘する間柄なのでグーロには麻痺耐性がある可能性もあったが、ちゃんと効果を発揮していた。
 もしかすると俺が持つ【耐性貫通】のスキルによって、麻痺耐性を突破しているのかもしれない。


「まぁ、どちらでもいい、かッ!」

「ギギャッ!?」


 後数メートルというところで麻痺状態が解けたグーロが動こうとしたため、手に持っていた精霊剣バアルを投げた。
 胸部のど真ん中を深々と貫いたのは致命傷だったようで、グーロはそのまま息絶えてしまった。
 魔法特化型だからか、体力や耐久力といった肉体性能は低いみたいだな。


──〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──精神値が7ポイント増大します。
──知能値が10ポイント増大します。
──魔力値が11ポイント増大します。
──スキル【岩土魔法】を獲得しました。


「おお。中々の能力値だな。これで魔法スキルも2つ目か」


 【魔を喰らう刃】で獲得した能力値のポイント数は過去最高だ。
 これまで低めだった魔法系能力値が上げられたため、少しは魔法能力も向上しただろう。


──レベルが20に達しました。
──等級が〈中級〉から〈上級〉へとランクアップします。
──〈上級〉へのランクアップに伴い、クラス〈破壊者〉がクラス〈捕喰者〉へと変化しました。
──新たなクラス獲得により、スキル【捕喰の心得】【捕喰ノ牙】を取得しました。


 魔法能力が上がったことを喜んでいると、〈システム〉が続けてランクアップしたことも通知してきた。
 ソロで活動しているだけあってレベルアップもランクアップも前世よりも圧倒的に早いな。
 クラスは〈破壊者〉の次は〈捕喰者〉か。
 このクラスになったのは〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が原因だろう。
 或いは、捕喰者の如くソロでモンスターを狩りまくったのが原因かもしれない。
 まぁ、たぶん両方だろう。

 さて、新たに獲得したクラス由来のスキルと出現した宝箱のチェックが終わったら、目的のモノのために動くとするかな。



 
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