万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

文字の大きさ
51 / 139
第二章

第五十一話 工房への依頼

しおりを挟む


 俺のアーティファクトを狙った某国特殊部隊を撃退した翌日。
 俺は破損した装備を修復してもらうために久坂マモルの工房に来ていた。
 なお、リリアも今日は女性探索者用防具を販売しているブランドショップに行っているので、この場にはいない。


「うわぁ、こりゃまた派手に穴が空いてますねー。背中部分まで貫通してるのに、よく生きていましたね」

「久坂さんが作ってくれた装備のおかげですよ」

「僕の?」

「〈女王蟻の魔蟲甲冑〉に備わっている【女王の胆力】の能力のおかげでギリギリ耐えられました」


○女王蟻の魔蟲甲冑
 等級:遺物レリック級。
 とある職人が製作した胴鎧型マジックアイテム。
 全部で3つある〈女王蟻の魔蟲装具〉セットを装備している間は、各種能力値が+5される。
・【女王の胆力】……精神異常耐性(中)を獲得。致死ダメージを受けた際に、体力を10%回復する。
・【女王ノ殻】……着用者に合わせて形状が最適化される。一定ダメージ量以下の攻撃を無効化する。


「んー、確かに能力的に全く役に立たなかったとは思わないけど、それだけじゃ無理だと思うよ? 痛みを軽減したりするわけじゃないから、普通苦しむよ?」

「まぁ、大怪我には慣れてるんで」


 前世の話ではあるが、腹に穴が空くレベルの大怪我なら両手の指の数では足りないぐらいには経験がある。
 進んで味わいたくない経験だが、勝利するためなら仕方なく選択できる程度には慣れていた。
 そんな俺の発言を聞いた久坂マモルが、俺がお土産に持ってきたコンビニのおにぎり──ちゃんと以前マモルが好きだと言っていたシーチキン味だ──を食べながら呆れた顔を向けてきた。
 なんだろう、マモルからそんな視線で見られるのは納得いかないんだが?


「それで、今日はこの防具達の修繕が依頼かい?」


 工房にある作業台の上には、〈女王蟻の魔蟲甲冑〉だけでなく、〈女王蟻の魔蟲手甲〉と〈女王蟻の魔蟲靴〉も置かれている。
 〈女王蟻の魔蟲装具〉セットの全てが置かれているのは、腹部に大穴が空いている甲冑ほどではないが、他2つの防具も傷だらけだったからだ。
 【獣身化】を使った後のウーの攻撃をまともに喰らったのはこの腹への一撃だけだが、それ以外の攻撃を躱す際も余裕があったわけではなく、全身の至るところが傷だらけになっていた。
 まさに激戦を制した感のあるボロボロ具合だったため、甲冑と一緒に取り出したのだ。


「修繕と言えば修繕ですが、出来れば改良もお願いします」

「改良?」

「ええ。ミスリル鉱石とか、これらの防具を使ってね」


 以前採掘したミスリル鉱石の残りの手持ちの一部と、昨日襲撃してきたウー達略奪者が装備していた防具を作業台の上に置いた。


「一応言っておきますけど正当防衛ですよ」

「ふーん? まぁ、僕は装備を弄れるならどっちでもいいけどね。ミスリルとこれらの防具をバラして得た素材を使って、新たな防具を作れというわけか」

「出来ますか? 改良後もセット装備だと嬉しいですね」

「んー、クロヤ君の防具を作った経験で僕のレベルも上がってるから、たぶん今の僕の魔力量なら出来るんじゃないかな?」


 一般的に覚醒者となった際に自動的に取得することになる初期クラスと言えば、〈ノービス〉か〈ジーニアス〉のどちらかだ。
 だが、一部の覚醒者はこの2つ以外のクラスの場合がある。
 その内の1つが〈クラフター〉であり、このクラフターを取得している覚醒者は職人系覚醒者と呼ばれている。
 職人系覚醒者は他の覚醒者と同様に、モンスターなどの生物を倒してレベルを上げることもできるが、その方法以外にも魔力を宿すアイテムを製作することでも経験値が得られ、レベルアップできる。
 普通の覚醒者が弱い敵よりも強敵を倒した方が得られる経験値が多いように、職人系覚醒者もレアアイテムなどの貴重な代物を製作したり扱ったりした方が多くの経験値が得られる。
 その点で言えば、〈女王蟻の魔蟲装具〉というセット装備の製作を成功させたことで得た経験値は凄かっただろうな。


「それは良かった。では、改良後もセット装備でお願いします」

「分かったよ。宿す能力はそれぞれ同系統でいいのかい?」


 職人系覚醒者は製作物に限定すれば自力で鑑定することができる特殊技能がある。
 この製作物も、他人が作った物よりも自分が作った物の方が詳細に鑑定することができるため、凄腕の職人は鑑定技能を駆使して望む方向性の能力を製作物に宿すことができるらしい。


「甲冑に関しては同じ方向性でお願いします。手甲と靴に関しては出来れば別の能力が良いですね。難しいなら同系統で構いません」


○女王蟻の魔蟲手甲
 等級:遺物レリック級。
 とある職人が製作した籠手型マジックアイテム。
 全部で3つある〈女王蟻の魔蟲装具〉セットを装備している間は、各種能力値が+5される。
・【女王の膂力】……筋力値と体力値が10ずつ増大される。
・【女王ノ爪】……魔力を消費し、鉤爪型の魔力体を具現化する。

○女王蟻の魔蟲靴
 等級:遺物レリック級。
 とある職人が製作した靴型マジックアイテム。
 全部で3つある〈女王蟻の魔蟲装具〉セットを装備している間は、各種能力値が+5される。
・【女王の行進】……地上適性(大)を獲得。着用中は、確率でカリスマ性(小)が発揮される。
・【女王ノ足】……歩行時、走行時に消耗するスタミナが30%カットされる。また、足部が主体のスキル効果が10%強化される。


 同じ方向性の能力でも構わないが、甲冑の能力ほど分かりやすい有用性を感じないので、出来れば別の能力がいい。
 今のままでも便利ではあるんだけどね。


「……そんなことを言われたら、やらないわけにはいかないね。楽しみにしていてくれ」

「ええ、楽しみにしていますよ」


 不敵な笑みを浮かべるマモルだが、口の端に米粒が付いているのが残念だな。
 指摘してやろうかと思ったが、別に誰に見られるわけでもないだろうから、そのままにしておこう。
 そんなやる気に満ちている米粒付き職人に防具の修繕と改良を任せると、工房を後にした。



 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵
ファンタジー
 異界から突如出現したモンスターによって、古き世界は終わりを告げた。  新たな世界の到来から長い年月が経ち、人類は世界各地に人類生存圏〈コロニー〉を築いて生き残っていた。  旧人類、新人類、コロニー企業、モンスター、魔力、旧文明遺跡、異文明遺跡……etc。  そんな様々な物が溢れ、廃れていく世界で生きていた若きベテランハンターのベリエルは、とある依頼で負った怪我の治療費によって一文無しになってしまう。  命あっての物種、だが金が無ければ何も始まらない。  泣く泣く知り合いから金を借りてマイナススタートを切ることになったベリエルは、依頼で危険なコロニーの外へと向かい、とある遺物を発見する……。  

女神の白刃

玉椿 沢
ファンタジー
 どこかの世界の、いつかの時代。  その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。  女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。  剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。  大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。  魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。  *表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...