万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

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第二章

第七十七話 ランク分けの影響

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 ◆◇◆◇◆◇


「──ん、通知か?」


 再採掘可能になっていたミスリル鉱石を全て採取した後、洞窟から出ると懐に入れているスマホが振動した。
 基本的にダンジョン内であっても外と同じ様にネット環境が使えるものの、ダンジョン内にはたった今いた洞窟のように電波が届きにくい場所もある。
 そんな洞窟から出て来たことで受信したようだ。
 この振動設定にしている通知はダンジョンや覚醒者関連であるため、すぐに確認してみる。
 どうやらニュースアプリからの通知のようだ。


「……リリア、この後の予定は変更だ」

「何かあったんですか?」

「ああ。ニュースによると、どうやらUS国でダンジョンの等級を測るマジックアイテムが開発されたらしい。このマジックアイテムを使えばダンジョンの難易度を等級別に見分けられるようになるみたいだ」

「つまり、ダンジョンに挑む前から危険度が分かるようになるということですか?」

「そうなるな」


 回帰前でダンジョンごとにランクが設定されるようになったのは1年後ぐらいだった気がしたが、記憶違いだったか?
 いや、鑑定宝玉が販売されて少ししてからランク分けされていたはずだから、やっぱり時期はそれぐらいであっている。
 回帰した俺の行動による影響が及ぼしたバタフライ効果か、それとも単純なランダム性が原因か。
 俺が直接関わらない事柄まで回帰前とは大きく変化するとは想定外だが、起こってしまったのは仕方ないな。


「ダンジョンランクが定められることと、この後の予定の変更が関係あるんですか?」

「ダンジョンのランク測定ができるならば、覚醒者のランクも細かくランク分けされるようになる可能性が高い。そうなると、ダンジョンの入場にも等級によって制限されるようになるだろうから、今後入れなくなるダンジョンも出てくるはずだ。だから今のうちに、そういったダンジョンを優先して挑もうと思ってな」


 少なくとも回帰前ではそうなっていた。
 ダンジョンの等級を測定するマジックアイテムの派生品には、探索者の等級を測定するマジックアイテムがあり、世界各国でダンジョンランクが測定されるようになる際に同時に施行されていた。
 覚醒者達は、鑑定系スキルによるステータス鑑定での確認や、クラスの取得などによる能力の変化によって、〈上級〉や〈中級〉といった覚醒者等級を本能的に自覚することができる。
 そのため、鑑定系スキルがなければ覚醒者等級は自己申告になっていた。
 まぁ、発せられる気配から大体の等級は分かるので、覚醒者等級の偽装は殆どの場合すぐにバレるのだが。

 そんな覚醒者等級だが、この等級には異能やスキルといった能力の存在は考慮されておらず、同じ覚醒者等級であっても能力差が大きいのが現状だった。
 だが、このランク測定系マジックアイテムによって覚醒者としての価値がより細分化されるようになり、鑑定宝玉で詳細な自己ステータスを確認できずとも覚醒者としての自らの価値をランク測定によって大まかに知ることができるようになった。
 回帰前通りならば全ての探索者協会に設置されるようになり、探索者達には測定義務が生じるので、その前に動く必要がある。


「そういうことでしたか。ダンジョンや覚醒者のランク分けもですが、モンスターもランクで判別できるようになるといいですね」

「たしかにモンスターの脅威度も測定できるようになりそうだな」


 リリアに言われて思い出したが、モンスターもランク付けされるようになっていたな。
 先日の〈混幻魔獣キマイラ〉も未来ではランク測定系マジックアイテムによってA級判定を受けていた。
 ダンジョンや覚醒者だけでなく、モンスターまでも細かくランクが振り分けられるようになったことによる影響は大きい。
 大異変が起こる以前から大国であるUS国が、より一層の影響力を持つようになった一因が、このランク測定系マジックアイテムだと言われていたっけ。
 同じような立ち位置となるはずの鑑定宝玉が開発されるのが本当に楽しみだな。


「それで、予定を変更して何処のダンジョンに向かうのでしょうか?」

「おっと、そうだった。今から向かうダンジョンは〈堕天の回廊〉だ」


 大型ギルドや規模の大きい中型ギルドでもなければ挑むのは無理と言われている高難易度ダンジョンの一つである。
 このダンジョンに挑むのはもっとパーティーメンバーを増やしてからにする予定だったが、ダンジョンと覚醒者のランク分けが為されると前世と同じように入場制限が定められる可能性が高い。
 なので、予定を前倒しして〈堕天の回廊〉に挑むことにした。


「〈堕天の回廊〉というと、ギルド単位での探索が推奨されていませんでしたか?」

「その通り。だからランク測定後のルール制定次第では、俺達2人だけだと入れなくなる可能性がある。勿論、杞憂に終わる可能性もあるが、予想通りの展開になったら最悪だから今のうちに挑むんだよ」

「なるほど。クロヤさんのお考えは分かりましたが、私達だけで大丈夫でしょうか?」


 2人だけで挑むとあってリリアが不安そうにしている。
 ギルド単位での探索が推奨されているだけあって、〈堕天の回廊〉の難易度は非常に高く、上級覚醒者とはいえ2人だけで挑むのは自殺行為に近いのは間違いない。


「攻略を目指すわけじゃないから大丈夫だよ。〈堕天の回廊〉で回収できるモノが欲しくて挑むだけだ」

「それなら良いのですが……」

「ま、取り敢えず、今日試しに軽く潜ってみてから考えようか」

「分かりました。軽くですね」


 リリアに頷きを返してから〈枯れた山脈〉を出るためゲートへと向かう。
 今日軽く挑んでみて2人だけで厳しいようならパーティーメンバーの増員を考える必要がある。
 未来においても、高難易度ダンジョンの奥地で単独で活動できるのは王級以上の等級の覚醒者でも極一部の者のみだった。
 前世の俺にもそんな力はなかったので、今世でもパーティーメンバーは必要だ。
 〈堕天の回廊〉の情報を振り返りつつ、必要なパーティーメンバーの能力についても熟考を重ねるのだった。


 
 
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