万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

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第二章

第七十六話 再び枯れた山脈へ

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 ◆◇◆◇◆◇


 目の前の黄金の杯に満ちる液体へと黒い指環を落とす。
 指環が黒い光の粒子となって液体へ吸収されたのを確認すると、その液体を一滴残らず飲み干していった。


──アーティファクト〈貪欲の聖杯〉が発動されました。
──スキル【闇ノ大精霊テネブレの加護】を獲得しました。


──条件が達成されました。
──スキル【闇ノ大精霊テネブレの加護】【幻想壊皮】【捕喰ノ牙】【捕喰の心得】【獣王剛体】【命喰剣】【硬質化】が統合され、スキル【狩猟ノ闇獣王ケルヌンノス】を獲得しました。


 複合系アーティファクト〈貪欲の聖杯〉 の1ヶ月に1度だけ使えるアイテム吸収能力【貪欲の器】。
 その能力を使ってマジックアイテム〈闇の大精霊テネブレの指環〉を捧げ、スキル【闇ノ大精霊テネブレの加護】を獲得した。
 続けて発生したスキル統合現象によって、手に入れたばかりの【闇ノ大精霊テネブレの加護】をはじめとした複数のスキルが統合され、俗にユニークスキルと称されるSランクスキル【狩猟ノ闇獣王ケルヌンノス】まで獲得することができた。


○スキル【狩猟ノ闇獣王ケルヌンノス
 多能内包型複合スキル。
・スキル【闇影ノ支配者】
 闇と影を支配する者。凡ゆる闇は共にあり、影は従うことしかできない。また、闇属性魔法の行使権限を獲得する。
・スキル【狩猟ノ牙獣】
 襲撃時の成功率が上昇し、攻撃行動において身体能力補正(大)を得る。
 また、眷属型具現体〈猟獣〉を生み出す。猟獣の性能は術者のレベルと具現化時に使用した魔力量によって異なる。
・スキル【百獣王戯】
 百の獣を統べる王としての戯れの力。獣の力をその身に宿し、獣に属さぬ力を拒絶する。同レベル以下の魔法・状態異常攻撃を無効化する。筋力値+20、耐久値+20、敏捷値+20、反応値+20、精神値+20。


 同じSランクスキルでも、肉体と精神、技能を強化する【勇猛戦煌の英雄クーフーリン】や、ステータスと属性、耐性を強化する【魔喰ノ精霊王バアル】とは方向性が異なるスキルのようだ。
 まぁ、統合されたスキルからなんとなく予測ができていたけど。


「無事に獲得できましたか?」

「ああ。ついでにスキル統合でユニークスキルも手に入れた」

「……ユニークスキルってそんな簡単に取得出来ましたっけ?」

「出来ないな。たぶん、俺の異能の力が影響しているのかもしれない」


 いくらアーティファクトの力で強力なマジックアイテムの能力を獲得したとはいえ、普通では考えられない頻度でユニークスキルを獲得できたのは異常だ。
 となれば、常人にはない普通ではない要素へと先ずは目を向けるだろう。
 俺の場合だと異能【万物変換コンバート】がこれに当たる。
 回帰前と状況が異なるので断言できないが、直感では異能が原因で間違いないと思っている。
 

「さっそく実戦で確かめたかったけど、このルートのボスモンスターは倒してしまったんだよな」


 そう呟きながら向けた視線の先では、エリアボス〈洞窟鬼主ケイブロードグーロ〉の死体があった。
 俺達が今いる場所は、ダンジョン〈枯れた山脈〉に不人気ルートの1つ。
 また、数ある行き止まりルートの1つではあるが、実は最奥にはミスリル鉱石が獲得できる採掘ポイントがある場所でもあった。
 今日は以前のミスリル鉱石採掘から資源が復活したかを確認するため、約1ヶ月ぶりに此処を訪れていた。
 今はエリアボス討伐後に、〈貪欲の聖杯〉の【貪欲の器】がちょうど使用可能になっていることに気付き、さっそく使用していたところだ。


「このダンジョンって、各ルートごとに違うエリアボスがいるんですよね?」

「ああ。山の斜面にある洞窟の殆どにいるらしいぞ。ただ、幾つかの洞窟は内部で繋がっているから、ルートである洞窟の数がそのままエリアボスの数になるわけじゃないけど」

「なら、何処かのルートのエリアボスでユニークスキルの力を確かめますか?」

「それもいいな。まぁ、時間的にミスリルが採掘できるかどうか次第だな」


 リリアとこの後の予定を話しつつ、グーロの死体に手を翳して創造可能なマジックアイテムの一覧を確認する。
 初めてグーロを倒した時は〈財宝王〉のシリーズ系アイテムが宝箱からドロップしたが、2回目の討伐ではシリーズ系アイテムはドロップしなかった。
 なお、宝箱の中にあった身体強化系の装身具タイプのマジックアイテムは既にリリアに譲っている。


「うーん。グーロが魔法を使うモンスターだから魔法関係のマジックアイテムが多いな」

「このエリアボスが使っていた土属性魔法が使えるようになるマジックアイテムとかありますか? あったら欲しいのですけど」

「見てみよう……お、あるぞ。俺も特に欲しいアイテムはないからコレにするか」


──アーティファクト〈貪欲の聖杯〉の【貪欲の手】が発動しました。
──対象物を財宝へ変異させることが可能です。
──変異先の財宝を選択してください。
──財宝が選択されました。
──対象物はマジックアイテム〈大地の魔環〉へと変異しました。


 創造された指環型マジックアイテムをリリアに手渡そうとすると、彼女は無言で左手を差し出してきた。


「着けろと? まぁ、いいけどさ」

「……ありがとうございます」


 適当に空いている人差し指に嵌めてやったところ、リリアから微妙な顔で礼を言われた。
 どうやら思ってたのと違ったらしい。
 何が違ったかは分からないが、回帰前から女心に関しては理解できる気がしないので、下手に触れずにスルーしておこう。


「……それじゃあ、ミスリルが再出現しているか見に行くとするか」

「そうですね」


 どことなく膨れっ面なリリアを連れて、ボス部屋の先にある採掘ポイントへと移動した。



 
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