万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

文字の大きさ
75 / 140
第二章

第七十五話 探索者ブース

しおりを挟む


 ◆◇◆◇◆◇


 ダンジョンを出て、マリヤを襲ったサイサリスギルドの5人を探索者協会の職員へと引き渡すと、俺達も一緒に事情を説明してから彼女とはダンジョン前で別れた。
 サイサリスギルドに仮入団状態だったマリヤは、この後協会職員の立ち会いの下にサイサリスギルドへの入団を正式に断わるとのこと。
 マリヤを襲った5人は〈魅了〉状態での犯行であったため、彼女を襲ったことを認める可能性は低いだろう。
 だが、第3者である俺達の証言と謎の男女2人組──勿論俺達のことである──の戦果を奪うべく追跡していたことをマリヤが証言すれば、仮入団状態のサイサリスギルドを抜けることぐらいは簡単なはずだ。
 こういうのを司法取引……とは言わないだろうが、まぁそんな感じで話はつくだろう。


「無事に話がつくといいですね」

「そうだな。それにしても、連絡先まで交換するとは仲良くなるのが早いな」

「やっぱり共通点が多いと話が盛り上がりますね」

「そんなに話が盛り上がるならさっさと場所を代わってくれれば良かったのに」


 リリアと雑談をしながら〈三獣領域〉の近くにある〈探索者ブース〉へと移動する。
 この探索者ブースとは、ダンジョンへ挑む前後で同じパーティーを組む探索者達が談合するために建てられた施設だ。
 探索者として協会で登録されていない下級覚醒者でも利用できるが、探索者ブースという名称の通り主な顧客ターゲットは中級以上の等級の覚醒者であり、探索者協会が運営する有料施設であるため、探索者以外の姿は殆ど見かけない。

 イメージとしてはカラオケ設備の無いカラオケ店が1番近く、個室かつ軽食とドリンクバーまである。
 探索者IDを提示すれば利用料金は多少安くなるものの、パーティー内での話し合い用の施設なので全部屋に防音・防魔処理が施されているので結構な高額だ。
 それでもパーティーを組む探索者にとっては、周りの目や耳を気にすることなく話し合えるので需要は非常に高く、2つ以上のダンジョンの中間地帯に置かれていることが多い。
 そのため、全部屋が埋まっていることも珍しくないが、幸いにも〈三獣領域〉から1番近くにある探索者ブースには空きがあった。
 取り敢えず30分だけ利用──30分単位で部屋を借りれる──することにして、リリアと共に部屋に入った。


「うーん。特に怪しいのは無さそうだな。そっちは?」

「見当たりませんね。『魔力探知マナ・ディテクト』にも反応は無いので大丈夫だと思います」


 俺は目視と触感で、リリアは魔法を使って、室内に盗聴器やカメラの類いが仕掛けられていないかを確認した。
 部屋に防音だけでなく、情報系の魔法やスキルといった魔力を用いた干渉を防ぐ防魔処理が施されているとはいえ、それらが防げるのは部屋の外部に対することのみ。
 初めから室内に機械の類いを仕掛けられていたら意味がないため、慎重な探索者は探索者ブースで部屋を借りるとまず最初に仕掛けられた機械類の有無を確認するのがお約束だった。
 魔法使いがいれば無属性魔法の『魔力探知マナ・ディテクト』が使えるため、盗聴器のような機能を持つマジックアイテムや室内に隠れている者を発見することもできる。
 俺もマジックアイテムの〈魔法の偽器〉の力で無属性魔法が使えるが、魔法使い系クラスの補正があるリリアが使った方が効力が高いので、魔法による探知は彼女に任せた。


「よし。これで大丈夫だろう。さっそく宝箱を開けようか」

「はい、開けましょう」


 探索者ブースを利用した理由の1つは、〈三獣領域〉のエリアボスの1体〈殺刃走葬の魔狼王キルラナー・ウルフロードガラム〉を倒した際に出現した宝箱の中身を確認するためだ。
 〈宝納の指環〉の収納空間から宝箱を取り出して蓋を開く。


○魔狼王の纏衣
 等級:遺物レリック級。
 とあるダンジョンで産出された上着型マジックアイテム。
・【風を裂く衣】……着用中の風による行動阻害を無効化する。
・【魔狼王の守り】……装着者の寒暑耐性と直感力、回避率が強化される。寒暑耐性+10%、直感力+10%、回避率+20%。


 宝箱の中には1着の薄手の灰色のコートが入っていた。
 コートではあるが生地も薄いし、見た目もそこまで暑苦しくはないので暑い日に着てもそこまで暑苦しくはならなさそうだ。


「コートですね。私はもうコレがあるので大丈夫です」


 確かにリリアには〈三獣領域〉のもう1体のエリアボスである〈魔煌五尾狐ファイブテイルズサイラ〉の宝箱から手に入れた、カーディガンタイプのマジックアイテム〈魔煌狐の羽衣〉があるから要らないだろうな。


「じゃあ俺が使おうかな。これなら今の防具の上から着れそうだ」

「白銀色の鎧は目立ってましたし、ちょうど良いですね」

「確かに目立ってたな……」


 ダンジョン内の復路とダンジョン外での移動時での周囲の視線を思い出す。
 一瞬チラッと見られる程度の注目度ではあるが、目立っていたことには変わりない。
 このコートがあれば多少はマシになるだろう。


「宝箱の配分はこれで決定、と。残りのボスの死体の扱いだが、リリアは何か欲しいマジックアイテムとかあるか?」

「うーん、特には思い浮かびませんね。敢えて言うなら身体強化系の装身具でしょうか。あくまでも敢えて、ですけど」

「身体強化系か。ラインナップにあったかな……」

「クロヤさんは何かないんですか?」

「俺も特に無いんだよな。防具はコレがあるし、武器も剣以外にも、今回出番がなかった銃もあるし」


 リリアの下級魔法でエリアボスが倒せてしまったから、二挺魔銃の出番がなかったんだよな。


「取り敢えず、使わずにおきますか?」

「慌てて決める必要もないし、そうするか……一応利用時間の間もう一度確認していくよ」


 良さげな防具はあったのだが、今の防具がセット装備だから全部揃えておく必要があるので、選択することは出来なかった。
 ガラムの死体を取り出せるように1番広い部屋を借りたので、問題なく室内に死体を取り出せた。
 死体から血が流れ出てるが、その血は後で〈吸血皇杖カーメリア〉で綺麗に回収できるので問題ない。
 何かないかなー、と思いながら〈貪欲の聖杯〉を使ってガラムの死体から創造できるマジックアイテムを改めて確認していった。



 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵
ファンタジー
 異界から突如出現したモンスターによって、古き世界は終わりを告げた。  新たな世界の到来から長い年月が経ち、人類は世界各地に人類生存圏〈コロニー〉を築いて生き残っていた。  旧人類、新人類、コロニー企業、モンスター、魔力、旧文明遺跡、異文明遺跡……etc。  そんな様々な物が溢れ、廃れていく世界で生きていた若きベテランハンターのベリエルは、とある依頼で負った怪我の治療費によって一文無しになってしまう。  命あっての物種、だが金が無ければ何も始まらない。  泣く泣く知り合いから金を借りてマイナススタートを切ることになったベリエルは、依頼で危険なコロニーの外へと向かい、とある遺物を発見する……。  

アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵
ファンタジー
 ーーある日、平穏な世界は終わった。  そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。  そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

処理中です...