新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵

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第六話 天機使

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 ◆◇◆◇◆◇


「──検査機器に反応無し。これが【支配】の力か」


 探索者協会のオフィスで新しい端末と交換して貰った際、本人確認の手続きのために検査機器で全身をスキャンされた。
 メタトロンは検査機器に引っ掛からないことはインプットされた情報で知っていたが、検査が終わるまでとても緊張した。
 通常のナノマシンは検査機器に引っ掛かるが、メタトロンには他の機械に干渉する固有能力【支配】が備わっている。
 天機使シリーズの中でも最後発のモデルなだけあって、このような機械に対する固有能力が付けられたらしい。


「さて、現在のステータスは、っと」


 手帳型の通常形態の端末を手首の内側に当てて腕環形態に変形させる。
 旧端末では液晶画面だけでなく腕環形態への変形機能も壊れていたので使えなかったが、やはり此方の方が手が空くから使いやすい。
 液晶画面表示では見難いので、目の前に情報を投影する形式で今の俺のステータスを確認する。


○ベリエル・アウター
⚫︎年齢
19
⚫︎性別

⚫︎種族
人族?
⚫︎分類
旧人類?
⚫︎特殊技能
【直感:B】【索敵:A】【看破:B】【隠密:C】【生存:B】【忍耐:C】
⚫︎備考
・ナノマシン:機使掌握型天機使七號〈代行者メタトロン
▶︎【強化】
▶︎【改造】
▶︎【支配】
▶︎【契約】


 備考の欄の内容は実際の端末では表示されておらず、俺の網膜にのみ映し出されているため端末に記録は残らない。
 これも【支配】の固有能力によるものだ。
 ちなみに、メタトロンが原因だと思われる種族と分類の欄の?も同じように実際の端末では非表示にしている。

 メタトロンの【支配】と【契約】は固有能力で、あとの【強化】と【改造】は天機使シリーズに共通する基本能力だ。
 いや、正しくは天機使シリーズに共通する、と言うべきか。
 インプットされた情報の中には天機使シリーズ以外の機使についての情報もあり、それらにはまた別の基本能力があるのだが、出来るだけ会いたくないものだ。

 探索者協会で依頼の報酬と新しい端末を受け取ると、エイラの店へ向かった。
 依頼達成の報告をしに行く前にエイラに戦利品の査定を頼んでおいたので、そろそろ終わっている頃だろう。


「査定金額だけど、整備状態が悪いのが多いから全部で80万エィンになるよ」

「80万エィンか。まぁ、妥当かな」

「そこから戦利品の中でベリエルが使うって言ってたヤツとかの装備のメンテナンス代を差し引くと、マイナス10万エィンだね」

「ま、マイナス……」

「どうする? メンテナンスに出す?」

「……ああ、頼むよ」

「毎度あり」


 依頼達成報酬の50万エィンから10万エィンが差し引かれ、残りは40万エィンになった。
 どうにか今月の食費と来月の家賃分はギリギリ残ったな。
 風月をはじめとしたメンテナンスが必要な装備を全てエイラへと預けてから店を後にした。

 強化服を除けば手元にある武器はベルベットのみ。
 ハンドガンベルベットしかない状態で、実入りのいい荒野関連の依頼をソロで受けるのは自殺行為だ。
 だが、今の俺には旧文明時代の遺物であるメタトロンがある。
 この遺物の性能を確かめるには、やはり実戦が最も効率的だ。
 ついでに依頼も受ければ報酬も手に入る。
 恒常の依頼は探索者協会の公式サイトに載っているので、端末からも確認することができる。
 どの依頼を受けるかは、メシを食べながら考えるとしよう。


 ◆◇◆◇◆◇


「残りは30万エィンか……」


 たった一晩の食事で10万近くの金が消えた。
 メタトロンに適合したことによって、俺の体内で特殊ナノマシンの機神粒子が生産されるようになったことが原因だ。
 機神粒子を生産するための材料の確保は食事をするだけで済むのは良いことだが、その所為で凄く腹が減るようになった。
 地下空間で俺を呑み込んだ液体に含まれていた分の機神粒子の多くは、俺とメタトロンの適合処置に消費されている。
 それによって機神粒子の数が非常に少なくなっており、機神粒子の大量生産が行われたことで空腹感に襲われて大食いをすることになったのだった。


「まぁ、今日やることを考えれば必要なことだったんだが。あ、だからあんなに腹が減ったのか?」


 俺の思考をメタトロンが読み取り、機神粒子の大量生産を促したのかもしれない。
 メタトロンが俺に宿っているため、今後もこのような空腹感に襲われる可能性が高い。
 それは非戦闘時だけでなく戦闘時も含めてだ。
 その時に頼りになるのが栄養バーだろうが、その味はお世辞にも美味いとは言えない。

 昨日の薬物プラントからの帰り道の時点で腹が減っていたので持参した全ての栄養バーを食べたのだが、持ってきた分だけでは腹が満たされなかった。
 あの味の栄養バーを大量に食べるのは苦痛なので、食料合成機の良いやつを買う必要があるようだ。


「借金も返さないといけないのに出費が嵩むなぁ」


 味が良くバリエーションに富んだ栄養バーを生産してくれる食料合成機の値段を端末で調べながら、2等エリアにある探索者協会のオフィスへと向かった。
 
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