新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵

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第十三話 ターゲット捕捉

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 ◆◇◆◇◆◇


 無人兵器と戦った大広間を飛び出してから5分後。
 道中のドランクタスクの構成員を速攻で倒しながら駆け抜け、ターゲット2人が立て篭もっている地下空間へと到着した。


「なるほど。此処は奴隷の収容施設を兼ねてたのか」


 アジトの地下に突入すると、そこには鉄格子で中央の通路と隔てられた牢屋が両サイドに大量に並んでいた。
 幾つかの牢屋には人間が収容されており、全員の首と手首、足首に鉄枷が装着されていた。
 ドアを蹴破って派手に登場した俺へ視線を向ける者は誰1人としていないことからも分かるように、どうやら彼らは憔悴しているようだった。


「撃てッ!!」


 通路の奥──暗闇に包まれた場所に強烈な魔力の光が灯る。
 自らが発する魔力光に照らされて正体が明らかになる。
 その正体は魔力砲と呼ばれる武器の一種であり、魔力の砲撃を放つことができる。
 予め魔力がチャージされているカートリッジを使用するタイプらしく、引き金を引くだけで砲塔から魔力砲撃が放たれてきた。


「チッ」


 ベルベットをホルスターに納めながら斜め前方へと駆け出すと、牢屋と牢屋の間にある壁を蹴って天井へと飛び上がる。
 そうして魔力砲撃を躱わした俺へと追撃の銃撃が斉射されてくるが、その時には既に天井を蹴って再び地面に着地し、前に向かって駆け出していた。


「と、止めろ、ターゲルッ!?」

「ウォオオオッ!!」


 鞘から引き抜いた実体刀とターゲルの鉤爪付き手甲が激突する。
 激しい金属音が鳴り響き、突撃の勢いが殺された。
 刀を弾かれて仰け反りになった身体を、足先で地面を掴むことで強引に留まり、身体の重心を落として無理矢理地面を踏み込むと、再び斬撃を振るう。
 ターゲルも同様に鉤爪を振るい、此方の攻撃を迎え打ってくる。
 鉤爪は魔力で覆われており、レーザーブレードでも一瞬で溶断することはできないようだ。

 刀と鉤爪による剣戟を数度交わし、依頼のターゲットであるターゲルの強さが探索者協会からの情報とは違うことが分かった。


「サイボーグ化、いや、強化薬かマジックアイテムってところか?」

「オウよ! キンバットの旦那がくれた特別な強化薬の効果だぜッ!!」


 光刃化状態の実体刀ごと強制的に身体が後退させられる。
 メタトロンで強化されている俺を後退させるとは、ターゲルが服用した強化薬の性能はかなり高いらしい。
 違法な強化薬なら効果時間も短いし大きな副作用もあるが、それらのデメリットが殆ど無い、認可されている合法な強化薬を使った可能性もある。
 違法奴隷商が一護衛にそんな超高価な強化薬を与えるとは思えないので、おそらくは違法強化薬の方だろう。
 時間稼ぎさえしていれば、いずれ効力が切れて勝てるだろうが、敵はターゲルだけではなかった。


「今だ! 撃て、撃てぇ!!」


 キンバットの脇を固める他の護衛達が再び銃撃を行なってくる。
 ターゲルの相手をしながら他の護衛達からの銃撃を防ぐのは無理なので、少しやり方を変えるとしよう。

 ターゲル以外の護衛達から撃ってくる銃弾を斬り払いながら前進する。
 レーザーブレードで銃撃を防ぎ、ターゲルの巨体が他の護衛達の視界から俺を覆い隠す。
 射線上から隠れたのを確認すると、ターゲルに向けてレーザーブレードを投擲した。


「悪足掻きを、グァッ!?」


 勢いよく投げたレーザーブレードをターゲルが弾いた瞬間、隠し武器である両腕の籠手のレーザー銃を照射する。
 ターゲルの両肩をレーザーが射抜き、痛みで怯んだターゲルへと跳び蹴りを喰らわせる。
 走った勢いが乗った蹴りが炸裂し、ターゲルは血反吐を吐きながら後方へと吹き飛ばされる。
 その先にいる護衛の1人がターゲルの下敷きになり、目の前で起こった出来事に怯み、キンバットと他の護衛の動きも止まった。

 素早くベルベットをホルスターから抜き、無事な護衛達を早撃ちで射殺していく。
 瞬く間にキンバットの周りの護衛を倒すと、その銃口を両肩の痛みにもがくターゲルへと向けた。


「ま、待て──」


 ターゲルの言葉を無視して引き金を引く。
 虎人族をはじめとした獣人系新人類は生命力が強い。
 生半可な銃弾を身体に撃っても致命傷にはならないので、頭部や心臓などの急所をピンポイントで狙わなければならない。
 即死させられないと反撃を喰らう可能性もあるので、何発も鉛玉を撃ち込んでおく方が確実だ。

 ターゲルの頭部と心臓部に4発ずつ実弾を撃ち込んだ。
 血を流してピクリとも動かなくなったターゲルの死体を蹴り、確実に死んだことを確認する。
 ターゲルの死を確認すると、ターゲルの巨体に押し潰されて呻いている護衛の1人の頭部を踏み抜いてトドメを刺す。
 これでターゲル含めて全ての護衛の排除が済んだ。
 あとはキンバットの始末だな。


「ま、待て! 待ってくれ! 頼む、見逃してくれ! 俺を見逃してくれたら、お前を雇った奴の倍の金を出すぞ!」

「ほう。即時送金なら考えてやろう」

「わ、分かった。じゃあ、雇われた金額を教えてくれ」

「お前の全財産だ」

「は?」

「だから、お前の全財産が、そのまま俺への依頼料だ」

「ふ、ふざけるなッ!? 全財産を失ったら、どうやって生きて、ヒィッ!?」


 キンバットの足元に銃弾を撃ち込んで黙らせる。
 漸く静かになったターゲットに追加の要求を告げる。


「全財産だから、お前が持つ宝石やマジックアイテムなども渡してもらう。分かったな?」

「それは……」

「なんだ、嫌なのか?」


 全財産の譲渡を躊躇するキンバットの足元へ銃弾を撃ち込みながらの説得が功を奏し、最後にはキンバットも笑顔で承諾した。
 別に殺しても良かったんだが、生きたまま捕らえた方が探索者協会からの評価が良いので、殺さないことにした。
 引き渡す前にターゲットから戦利品を得ることは認められているので、遠慮なくいただいておく。
 そういえば、ここにいる奴隷達の扱いってどうなるんだろうか?
 こういった事例は初めてなので、対処の仕方が分からないな。


「取り敢えず、探索者協会に任せておけばいいか」


 奴隷達については探索者協会に丸投げすることに決め、戦利品の回収を行なっていった。



 
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