新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵

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第十四話 次の依頼

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 ◆◇◆◇◆◇


「──規約違反の探索者ターゲルの処分依頼の達成報酬が15万、賞金首キンバットの捕縛報酬が30万、キンバットから徴収した金が50万、持ち帰った戦利品の中で不要な物を売却した金が150万か」


 端末に記録した収入の明細を確認のために読み上げていく。
 スラム街でのドランクタスクとの一件で合計245万エィルの儲けか。


「あ、ジャンク屋で奪った、いや、貰った金もあったな。えーと……20万エィルか。これで合計265万エィル。ここからメタトロンを使った消費で空腹になり、飯代が25万……1食25万エィルか」


 まぁ、終盤はメチャクチャ使ったからな。
 文字通りの大飯食らいの遺物で困ったものだ……。


「飯代で25万マイナスで残り240万エィル。装備の点検と修理にも40万マイナスで200万エィル。消耗品の補充で10万エィル使ったから、最終的には190万エィル残ったわけか」


 頼りになるストーカー女から借りた金は200万エィル。
 その返済期限まで2ヶ月以上あるし、利子もないから急いで返す必要はないだろう。
 この190万エィルをそのまま残しておくよりは、今後も探索者として活動していくために金を使った方がいいはずだ。


「すいませーん! この最新の食料合成機をください!」


 食料合成機の最新型150万エィルを購入すべく店員を呼ぶ。
 これほど高い買い物は入院前に使っていた装備を購入して以来だ。

 2等エリアにある家電専門店で高価な買い物をした後、エイラの店に寄って修理に出していた装備を受け取った。


「このマジックアイテムだけど、効果は魔力を貯蔵し、その貯蔵した魔力を取り出して使える、というものだった。特別珍しくないもない効果だけど、ダンジョン産なのは少し珍しいかも」


 褐色美人のダークエルフのエイラを目の保養にしつつ、ドランクタスクとの戦いで得たマジックアイテムの腕環の鑑定結果を聞いた。
 鑑定したのはエイラではなく、彼女の店と提携している専門家に鑑定してもらった。
 そのため結果が出るまで時間が掛かったが、予想した通りマジックアイテムは大した物ではなかった。


「ふーん。まぁ、魔力を使う武器も使ってるし役立ちそうだな」


 エイラから受け取ったマジックアイテムの腕環を装着して魔力を流す。
 魔力が霧散せずに蓄積されていくのを感じることから、鑑定結果に間違いはないようだ。


「えっ、食料合成機にそんな大金を使ったの?」


 用事を済ませた後の雑談で先ほど食料合成機を買ったことを話したら驚かれてしまった。
 まぁ、借金があるのに高い買い物をしていたら驚くわな。


「あ、ああ。退院して以降よく腹が減るようになってな。成長期かもしれない」

「うーん。特に変わらないけど。人族ってそんなに急に成長するの?」

「いやぁ、俺だけが特殊なんだと思うぞ?」


 なにせ旧文明時代の遺物が身体の中にあるからな。
 メタトロンを構成する特殊ナノマシンの体内製造には食い物が必要だ。
 だから、この買い物は止むを得なかったのだ。


「最新型なだけあって栄養バー以外にも料理が作れるらしくてな。食料合成機というよりは自動調理機って感じみたいだ」

「へぇ、最新の食料合成機って料理まで作れるようになってるんだ」

「ああ。味も良いみたいだから損にはならないさ。まぁ、代わりに今回の依頼で稼いだ金の大半を使うことになったんだけどな……ああ、金が欲しい」


 ここ数日探索者協会のオフィスに毎日通って次の依頼を探した。
 だが、報酬の良い依頼がなく、自宅と協会のオフィスを行き来し、外出ついでに買い物をするだけで何も依頼を受けていない。
 今日も協会のオフィスで依頼がないか確認してから家電専門店に行ってきたところだ。


「依頼ねぇ。まぁ、無くはないけど」

「……協会を通さない案件か?」

「そうよ」


 探索者協会は依頼者から依頼を受け、その依頼の難易度を決めてから適役の探索者に仲介するのが基本的な依頼の流れだ。
 だが、中には探索者協会を通さずに探索者に依頼の話がまわってくる場合もある。
 依頼者が協会を通さないのは、それだけ違法、あるいはグレーな依頼か、あるいは協会経由で情報が外部に洩れるのを防ぐためだ。
 そういった依頼は直接探索者に話が行く場合もあるが、エイラのような探索者御用達の店舗を通す場合もある。
 こういう店舗に依頼の話がいくのは、協会よりも探索者の実力を理解しているのと、関わる人数が少ないため情報漏洩の可能性が低いのが理由らしい。

 俺も何度か協会を通さずに依頼を受けたことがあるが、確かに報酬は良かったな。


「内容は?」

「ちょっと待ってね……これで良し」


 エイラがカウンターの裏で何かを操作すると、俺達を不可視の膜のようなモノが包み込んだ。
 これは防諜用のマジックアイテム特有の現象で、機密性の高い話をする時に使われる。


「依頼だけど、内容は遺跡の内部探索。しかも未発見の遺跡」

「未発見の遺跡か。場所は、依頼を受けてからか」

「そう。依頼者しか知らない。遺跡で見つかった物の所有権は依頼者に帰属する代わりに、報酬額は250万エィル」

「……大金だな。それだけ依頼者は宝があると確信しているわけか。依頼を受ける人数は?」

「複数の場所で秘密裏に人を集めてるみたい。たぶん10人はいると思う。情報が洩れるのを防ぎたいはずだから、そこまで大人数じゃないはず」

「なるほど。危険度は?」

「未発見の遺跡だから危険度も不明。ただ、遺跡が建てられた年代のことを考えてベテラン探索者クラスを求めてたよ」


 ベテラン探索者クラスを求めてる、か。
 特級や1級探索者クラスが必要じゃないなら、そこまで危険じゃなさそうだ。


「依頼日時は?」

「1週間。詳しい情報は依頼を受けると決めたらね」

「……分かった。依頼を受けよう」


 不安要素はあるが、1度に大金を得るにはこの程度のリスクは許容しないとな。
 未発見の遺跡で何が待ち受けているか分からないし、出来るだけ準備を整えておくとしよう。


 
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