身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される

絵麻

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身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される(新婚編)

二十七話『再会の約束』

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「花ぼう」
「はい」
「すまなかった、色々と悲しい思いをさせたな」
 花は首を振る。
「諦めねえ、最後まで悪あがきする」
「うん」
 涙があふれる。
「だから、一つだけ願いを聞いてくれるか?」
「はい?」
「その、なんだ・・・早く。子供の顔を見せてくれないか?」
「え」
 花が固まる。
「いや、新婚さんを急かすのも・・・とは、思うんだがよ。孫が出来れば、生命にはりがなぁ」

 ーーーーーはい。

 か細い声で、花は答えた。

「おじちゃん。その代わり、お宮参りとか・・・一緒に」
「ああ、喜んでな」
 ニカッ、と順一が笑った。
「なら、私も頑張る!」
 頰を紅くしながら、花はわきわきと腕を上下する。

「あの、おじちゃん?」
「なんだ」
「また、会えますか」
 袖を掴み、花は訊ねる。
「ああ、もちろんだ。あ、ついでに住所を」
「はい!」
 花は笑顔になる。

「俺には子供がいない、だから義孝や他の海兵は息子みたいなもんなんだよ」
「ーーーはい」
「だから、義孝の子供は俺の孫だ。花ぼう、お前は娘だ」
「はい」
 花は頷く。

「じゃあ、磯崎さんのことは、僕に任せて」
「はい。お願いします、達哉さん」
 達哉は一度、京都にある順一の自宅に行く。食生活など、生活習慣を指導する為だ。
「まあ、元軍人さんだから、規則正しい生活はしてるみたいだけど」
「まあ、朝六時に起きて、夜十時には寝てるな」
「けど、食生活や嗜好品を確認しないとね」
「なるほど。薬の効能」
「そ、まぁ、一週間は」 

 それにより、薬の処方が変わるのでと達哉は言った。

「じゃ、行こうか?先生」
「はい」
 改札を抜け、雑踏に消えて行く。

「花さん」
 小さく震える肩を、義孝が抱く。
「また、会えますよね」
「ええ。元気になった、准将とすぐに」
 手を繋ぎ、自宅に引返すした。

   ✢✢✢◇◇◇✢✢✢

 食事を済ませ、片付けをして。花は寝室に向かう。
「義孝さん」
 花は本を読んでいる義孝の前に座る。
「はい?」
 本を置き、義孝がこちらを見る。
「磯崎さんに電報を送って頂いて、ありがとうございます」
「いえ、御礼なら私の方こそ言わなければ。花さんのお陰で、准将は前向きになってくれました」
「いえ・・・」
「そう言えば、准将は花さんに何か話しているように思いましたが」
 何の話を?と義孝が訊ねると、花は頬を紅くする。
「えとっ、おじ・・・磯崎さんは、早く子供の顔を見せてくれ、と言われました」
「なるほど」
 義孝が頷く。
「あの、いつか・・子供が生まれたら。磯崎さんにも、一緒にお宮参りとか、行ってもらってもいいですか?」
「いいですよ」
 義孝は頷く。
「いや、母もいますから。いっそ、産着や色々を二人に」
 どこか他人事のように言う義孝に、花はムウと膨れる。
「・・・・どうか、しましたか?」
「私だって、もう子供じゃないし。赤ちゃんを授かるには、どうすべきか・・・知らない、おぼこじゃないんですよ?」
「ーーーつまり」
 義孝が花の頰に触れる。
「それは、お誘い?」
「ーーーん」
 小さく頷く。

「花さん」
 優しく名前を呼ばれ、花は目を閉じる。軽く啄むような口づけから、深い・・・接吻に変わる。

(薄目を開いて、綺麗な鼻筋や切れ長の一重が目の前にあることに、私の心臓は破裂しそうに苦しくなる)

「花さん」
 目を開ける。
「愛しています」
「・・・私も、愛しています」
 涙があふれる。
 もう何度もしてきたが、やはり慣れることなど出来ないと花は思う。

(深く浅く、義孝さんは私に接吻を繰り返す。額に、こめかみに首筋に・・・私がドキドキしている間に、帯に手がかけられる)

「あの、義孝さ」
「わかっています、明かりを消してほしいんですよね」
「・・・はい」
 優しく微笑んで、義孝が明かりを消した。

(私達は久しぶりに仲良くした)

     ✢✢✢✢✢
「いってらっしゃいませ」
「はい、いってきます」
 義孝を見送り、花が門の前に立つ。
「・・・」

 義孝と結婚して、もうすぐ一年になる。

「お花見、したいな」
 ふと、花は思う。
 この二、三日の暖かさで帝都の桜が、一斉に開花した。あと三日もすれば、桜も見頃になる。
「義孝さんに、今夜あたり相談しようかな」

   ✢✢✢◇◇◇✢✢✢
「お花見?いいですねぇ」
 千代は賛成した。
「みんなは?」
「いいと思います」
「旦那様次第ですね」
 鹿江や重松も賛成した。

 そして、花はいつものように、弁当を届けに行く。
「花さん」
「はい、お弁当です」
「ありがとうございます」
「義孝さん。今朝、みんなと話したんですが」
 花は花見について話した。

「花見ですか」
「はい。もう二、三日すれば見頃だと思いますが、義孝さんの休みの都合次第です」
「なるほど」
 ふむ、と考えた。
「ちょうど、その頃は非番ですね」
「なら?」
「行きましょうか、みんなで」
「はい!」
 花が笑った。

   ◇◇◇❖❖❖◇◇◇

「え~と、だし巻き卵にさんが焼き、擬製豆腐に・・・おむすびが三種」
「あとは魚の溜醤油焼きに」
「漬物に煮物」
「そんなとこですねぇ」
 弁当の献立を皆で決める。
「あとは当日、晴れることを祈りましょ!」
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