身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される

絵麻

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回想・身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される

七話『璃月の艦長』

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「手紙、書きますね」
「私も、返事を書きます」 
 二泊三日の新婚旅行は、あっという間に終わった。

「今日は空色ですか」
「はい、義孝さんがお好きだと」

 ーー好きな色が着たいのです。

 百貨店で着物を選んだ日、花は義孝に告げた。

『あなたの好きに、染めてください』
 そう言われた気がして、花は義孝は紅くなる。
「照れますな」
 
 ・・・あなた色に染まりました。
  
 そう言われている気がして、いや、実際にはそうなのだ。

「す、すみませんっ」
 ふしゅーーー、と茹で上がる。


 ーーー初々しいッス、ね。
 ーーー全くだ。

 艦の甲板から、皆が見ている。

「えとっ、お待ちしていますね」
「ええ、必ず帰ります」
 義孝の顔が、艦長になる。
 惚れ惚れしながら、花は見送る。

「おかえりなさい」
 くく、と杉田中佐が笑う。
「何だ?」
「いえ」
 皆が、笑っている。

「状況は?」
「波も風も穏やかです」
「特に、異常は見られません」
「そうか、では」

 ーーーー出港する。

 ゆっくり、疾風が旋回する。
 次似合うのは三ヶ月後、十一月の下旬。花の誕生日である。

 花さん。

 海岸に、青空を写したような空色のワンピースを着た、花の姿が見える。
「行ってらっしゃい」
 深々と、頭を下げた。

 ーーーー行ってきます。

 見えはしないが、義孝は敬礼する。一斉に・・・皆が、同じくしていることを義孝も花も知らない。

 ーーーーありがとうございます。

 花が引き返した時、向こう側から一人の海兵が歩いて来る。
「どうも、奥さん」
「あ、はじめまして」
 階級章が義孝と同じ、勲章の数も・・・。

「少し、話せますか?」
「はい」

 花は男性の後ろに続き、とある茶店に入った。そして、深々と頭を下げられた。
「すみません、部下の非礼を・・心より謝罪します」
「あの、頭を上げてください」
「あいつは、藤岡康介とあなたが昔馴染みだとは知っています。おそらくは、嫉妬からでしょう」
「嫉妬?」
「ええ、気に入りの妹分が、トンビに油揚げをさらわれるみたいに、上官に奪われちゃね」
「ああ、なるほど」
「気を悪くしないで?奴は、まあ」
「はい、ありがとうございます」
 ふふ、と花は微笑んだ。
「しかし、時東も幸せな奴だ。あなたのように、寛容な人を妻にしたのだから」
「え?」

(璃月の艦長・杉原翔哉さんについては、義孝さんから聞いていたけど。ほんとに、筋を通す人みたい)

「オレは、誰にも死んでほしくない。あの大戦で、一般人も軍人も犠牲が大きすぎた」
「はい、辛い戦争でした」
「だから、あなたや時東には感謝しています。偽旗艦の件、ありがとうございました」
「いえっ、そんな!」
 花は首を振る。
「似ているな、あなたと時東は。時東も、手柄はあなたにあると上に言ったそうですよ」
「えとっ」
 花は茹で上がる。
 義孝と似ている、とても嬉しいことだった。

(・・いや、時にが彼女に似たんだな)
 花を見つめ、翔哉は感じた。
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