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陛下直々に案内された部屋に私の荷物が運び込まれた。荷物といっても木箱に二つ分しか無い。
殆どは服と数点の靴だけど、グリムヒルトの様な暑い国では冬服は要らなかったかもしれないなぁと今更思う。
「立派な部屋……」
マグダラスの私の部屋はもちろん、王の寝室よりずっと立派だ。先ほどまで居た陛下のお部屋はそれ以上に立派だったけど。
まず扉を入ってすぐにあるドローイングルームがあって、
その奥の間にはドレッシングルームがある。
で、更に奥に寝室。
そのどれもがとても広い。
マグダラスでは、王の間にはドローイングルームもドレッシングルームもあったけど、こんな広さではなかったし、王の間にしかそんな部屋はなかった。
グリムヒルトの後宮の各部屋はみんなこんな作りなのだろうか……?
陛下が仰るには夜、閨を一緒にするなら、この部屋が一番都合が良いらしい。
「……落ち着かないなぁ……」
ぽつりと呟く。
ドレッシングルームのクローゼットルームに自分の服を仕舞おうかと動いた瞬間、外から声がかかる。
「失礼致します、レイティア姫様」
「どうぞ、お入り下さい」
扉が開くとそこにはメイド服を着た、黒髪の歳の近そうな女の子が立っていた。
「お初にお目にかかります。マリ・ヴィルマ・スッキと申します。本日よりレイティア姫様のお世話を仰せつかりました。」
「そうですか。どうぞよろしくお願いします。マリさん」
「どうぞ私の事はマリとお呼び下さい。」
マリは温和そうな印象の女の子で、朗らかな笑顔がなんとなく気を許してしまう。
「じゃあ、マリと呼ばせてもらいますね」
マリは眉を下げて言う。
「実は私はまだまだ見習いでして、至らない所もたくさんあると思いますが、精一杯務めさせて頂きます!」
そんな風に言ってくれるなんて本当に嬉しい。
「ありがとう、マリ」
「所で姫様?何か御用だったのですか?」
「ああ、私の服をクローゼットルームに置いておこうかと思って…」
「その様な事、どうぞお申し付け下さいね。この木箱でよろしいですか?」
「はい。両方とも服です。」
着る物と言っても仕立てたパーティ用のドレスなんかは持って来てない。
そんなドレスは着いてる金糸や銀糸だって、きっと売ればお金になるはずなので敢えて持って来なかった。
マグダラスの厳しい財政の足しになる筈。
持って来たのは普段着の様なドレスばかりだ。
クローゼットルームには目も眩む様なドレスが驚くほどたくさん入ってた。
そのどれもが大人っぽいドレスで豪華なものばかりだった。自分の服を置くのが申し訳ない位だ。
「凄く豪華なドレスばかりね……」
私が面食らって呆けていると、マリは少し興奮気味に言う。
「これ全て姫様がお召しになってもいいのではないのですか?」
私はビックリして否定する。
「ダメよ! 今は私はマグダラスからの客分としてここにいるんですから。」
「でも、ここは王妃の間ですよ?」
「え?」
あまりにビックリして固まってしまう。
「陛下がここをお与え下さったという事はこのクローゼットルームの物も自由にして良いという事だと思うのですが……」
「ちょっと待って?ここは本当に王妃の間なの……?」
「はい。間違いなく」
私はビックリし過ぎて、しばらく動けなかった。
「レイティア姫様?」
名前を呼ばれて我に返った。
「あ、ごめんなさい。だ、大丈夫です。」
いけないいけない、つい呆然としてしまった。
クローゼットルームの一番手前に自分の服を仕舞って、マリと少し話をして彼女が下がった後、さっきの衝撃を反芻していると、
「レイティア姫」
と、寝室から陛下に声をかけられて、心臓が飛び出そうな程ビックリした。
「ビ……っビックリしました……」
「それは済まなかった。この城には抜け路が色々あってな。
この部屋は儂の部屋から抜け路を通ると後宮のどの部屋より早い。故にこの部屋を与えた」
「侍女の方から聞きました。このお部屋は王妃の間だと。
私の様な客分に対してあまりに分の過ぎる部屋です!」
「姫。これは儂からのお前へのもてなしだ。儂に正妃はいない。故にこの部屋には主はいない。
いないのだから儂がもてなしに使う事も問題ない」
「でも……っ!」
陛下が私の髪を一房取って、口付けた。
「姫は儂のもてなしに不服があるか?」
「……っ! 決して、不服なんてありません! ですが……っ」
「では、素直に受け取れ。その方が儂にとっても都合が良いのだ」
私は何も言えなくなって、考える。
「……わかりました……。」
考えても結局陛下のお気持ちを考えると、これ以上お断りするのもダメな気がして、受ける事にした。
過分なもてなしを受けた以上、陛下のためになる事は惜しまずにやっていこうと心に誓う。
殆どは服と数点の靴だけど、グリムヒルトの様な暑い国では冬服は要らなかったかもしれないなぁと今更思う。
「立派な部屋……」
マグダラスの私の部屋はもちろん、王の寝室よりずっと立派だ。先ほどまで居た陛下のお部屋はそれ以上に立派だったけど。
まず扉を入ってすぐにあるドローイングルームがあって、
その奥の間にはドレッシングルームがある。
で、更に奥に寝室。
そのどれもがとても広い。
マグダラスでは、王の間にはドローイングルームもドレッシングルームもあったけど、こんな広さではなかったし、王の間にしかそんな部屋はなかった。
グリムヒルトの後宮の各部屋はみんなこんな作りなのだろうか……?
陛下が仰るには夜、閨を一緒にするなら、この部屋が一番都合が良いらしい。
「……落ち着かないなぁ……」
ぽつりと呟く。
ドレッシングルームのクローゼットルームに自分の服を仕舞おうかと動いた瞬間、外から声がかかる。
「失礼致します、レイティア姫様」
「どうぞ、お入り下さい」
扉が開くとそこにはメイド服を着た、黒髪の歳の近そうな女の子が立っていた。
「お初にお目にかかります。マリ・ヴィルマ・スッキと申します。本日よりレイティア姫様のお世話を仰せつかりました。」
「そうですか。どうぞよろしくお願いします。マリさん」
「どうぞ私の事はマリとお呼び下さい。」
マリは温和そうな印象の女の子で、朗らかな笑顔がなんとなく気を許してしまう。
「じゃあ、マリと呼ばせてもらいますね」
マリは眉を下げて言う。
「実は私はまだまだ見習いでして、至らない所もたくさんあると思いますが、精一杯務めさせて頂きます!」
そんな風に言ってくれるなんて本当に嬉しい。
「ありがとう、マリ」
「所で姫様?何か御用だったのですか?」
「ああ、私の服をクローゼットルームに置いておこうかと思って…」
「その様な事、どうぞお申し付け下さいね。この木箱でよろしいですか?」
「はい。両方とも服です。」
着る物と言っても仕立てたパーティ用のドレスなんかは持って来てない。
そんなドレスは着いてる金糸や銀糸だって、きっと売ればお金になるはずなので敢えて持って来なかった。
マグダラスの厳しい財政の足しになる筈。
持って来たのは普段着の様なドレスばかりだ。
クローゼットルームには目も眩む様なドレスが驚くほどたくさん入ってた。
そのどれもが大人っぽいドレスで豪華なものばかりだった。自分の服を置くのが申し訳ない位だ。
「凄く豪華なドレスばかりね……」
私が面食らって呆けていると、マリは少し興奮気味に言う。
「これ全て姫様がお召しになってもいいのではないのですか?」
私はビックリして否定する。
「ダメよ! 今は私はマグダラスからの客分としてここにいるんですから。」
「でも、ここは王妃の間ですよ?」
「え?」
あまりにビックリして固まってしまう。
「陛下がここをお与え下さったという事はこのクローゼットルームの物も自由にして良いという事だと思うのですが……」
「ちょっと待って?ここは本当に王妃の間なの……?」
「はい。間違いなく」
私はビックリし過ぎて、しばらく動けなかった。
「レイティア姫様?」
名前を呼ばれて我に返った。
「あ、ごめんなさい。だ、大丈夫です。」
いけないいけない、つい呆然としてしまった。
クローゼットルームの一番手前に自分の服を仕舞って、マリと少し話をして彼女が下がった後、さっきの衝撃を反芻していると、
「レイティア姫」
と、寝室から陛下に声をかけられて、心臓が飛び出そうな程ビックリした。
「ビ……っビックリしました……」
「それは済まなかった。この城には抜け路が色々あってな。
この部屋は儂の部屋から抜け路を通ると後宮のどの部屋より早い。故にこの部屋を与えた」
「侍女の方から聞きました。このお部屋は王妃の間だと。
私の様な客分に対してあまりに分の過ぎる部屋です!」
「姫。これは儂からのお前へのもてなしだ。儂に正妃はいない。故にこの部屋には主はいない。
いないのだから儂がもてなしに使う事も問題ない」
「でも……っ!」
陛下が私の髪を一房取って、口付けた。
「姫は儂のもてなしに不服があるか?」
「……っ! 決して、不服なんてありません! ですが……っ」
「では、素直に受け取れ。その方が儂にとっても都合が良いのだ」
私は何も言えなくなって、考える。
「……わかりました……。」
考えても結局陛下のお気持ちを考えると、これ以上お断りするのもダメな気がして、受ける事にした。
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