16 / 200
16
しおりを挟む
陛下と別れて、自分の部屋で過ごしているのも退屈だったし、豪華すぎて居た堪れなくなったので、マリに庭園を案内してもらう事になった。
グリムヒルトの王城は半分海に浮かんでいる。小型船なら海から城に入る事が出来る珍しい造りだ。
庭園も海の目の前に花が咲いてる珍しい庭園らしい。
案内されて歩いている途中、城の別棟にある塔から大声が聞こえた。
「こんな物が食えるか!!」
怒声が響き渡る。
侍女と思われる声がしきりに謝っている。
あまりのやり取りに自然と足が向かった。
塔に向かい階段を駆け上がる。
途中マリが止めていたけど、大丈夫よと笑ってみせた。
少し開いている扉から顔を覗かせて訊ねる。
「何事なのですか?」
そこには年配の男性がベットの上に座っていた。
涙目の侍女がこちらを振り返る。
「誰だ、お主は」
男性は陛下と同じ翠の瞳に剣呑としたものを乗せて私を見た。
「昨日よりグリムヒルト王国に参りました、マグダラス王国第一王女レイティア・エレオノーラ・アルテーンでございます。お見知り置きを」
カーテシーの挨拶をする。
城の中でこうしてお世話されてる時点で、この人が偉い人なのはわかる。
それに何よりこの男性は、お顔こそ似てないけれど、どことなく雰囲気が陛下に似ていた。
「ほう? マグダラスからの客人が何故この様な老ぼれの寝所に参った?」
思ったままを言う。
「あまりにも大きな声でしたので、困り事がお有りかと思いました。お食事がお気に召さないのですか?」
ベットの上に跨ぐ様に架かる机の上にあった食器は中身と共に床に転がっていた。
「マリ。悪いのですが、ここを片付けてくれませんか?
それとあなたは新しいお食事を用意して下さいますか?」
にっこり笑って二人の侍女にお願いする。
「……っはいっ!」
侍女は足早に部屋を出る。
マリは床の無惨な姿になった食事を片付け始めた。
「要らん! 気分が悪い!」
男性はフイっと顔を逸らす。
「でもお食事を摂らないとお身体に障ります」
「食いたくもない物を出されて不快だ!」
「何でしたら食べられるのですか?」
「白奏魚のソテーなら食ってやる」
なんだろう? それ?
マリの方を見ると動揺した顔をしてる。
「白奏魚ってなあに?」
マリに聞いてみる。
「白奏魚はこの時期には獲れません……。しかも南の諸島の潮の荒い海域に生息しています……。とても貴重な魚でございます」
「そのお魚は貴重で無いそうですよ? 他に食べられるものはおありではないですか?」
男性は、陛下と同じ翠の瞳に剣呑な色を浮かべて嘲笑する。
「用意出来ぬか? ならば食事は要らん!」
そのタイミングで先程の侍女が新しく食事を運んで来た。
「お待たせ致しました。太公様」
「ほら、太公様、お食事が来ました。白奏魚ではなくてもきっと美味しいですよ?」
にこりと笑って机に乗せ、スプーンを渡した。
太公様はスプーンを受け取ると、窓の外に放り投げた。
「スプーンが落ちた。王女よ、お前が拾って参れ」
嘲笑をより深くして私を見た。
「わかりました。」
部屋を出て、階段を降りる。
スプーンを拾って厨房へ行く。
「お仕事中すみません。バスケットにスプーンとフォークとナイフをありったけ入れて頂けますか?」
嫌な顔をされながらも太公様が御所望だと言うと渋々用意してくれた。
太公様の元へ戻る。
二人の侍女は困り果てた様に立ち尽くしていた。
「さ、幾らでも落として下さいね? 代わりは山程ありますから。」
私はやっぱりニッコリ笑って、机の上にバスケットをガシャンと金切音を上げて置いた。
太公様は唖然としていた。
グリムヒルトの王城は半分海に浮かんでいる。小型船なら海から城に入る事が出来る珍しい造りだ。
庭園も海の目の前に花が咲いてる珍しい庭園らしい。
案内されて歩いている途中、城の別棟にある塔から大声が聞こえた。
「こんな物が食えるか!!」
怒声が響き渡る。
侍女と思われる声がしきりに謝っている。
あまりのやり取りに自然と足が向かった。
塔に向かい階段を駆け上がる。
途中マリが止めていたけど、大丈夫よと笑ってみせた。
少し開いている扉から顔を覗かせて訊ねる。
「何事なのですか?」
そこには年配の男性がベットの上に座っていた。
涙目の侍女がこちらを振り返る。
「誰だ、お主は」
男性は陛下と同じ翠の瞳に剣呑としたものを乗せて私を見た。
「昨日よりグリムヒルト王国に参りました、マグダラス王国第一王女レイティア・エレオノーラ・アルテーンでございます。お見知り置きを」
カーテシーの挨拶をする。
城の中でこうしてお世話されてる時点で、この人が偉い人なのはわかる。
それに何よりこの男性は、お顔こそ似てないけれど、どことなく雰囲気が陛下に似ていた。
「ほう? マグダラスからの客人が何故この様な老ぼれの寝所に参った?」
思ったままを言う。
「あまりにも大きな声でしたので、困り事がお有りかと思いました。お食事がお気に召さないのですか?」
ベットの上に跨ぐ様に架かる机の上にあった食器は中身と共に床に転がっていた。
「マリ。悪いのですが、ここを片付けてくれませんか?
それとあなたは新しいお食事を用意して下さいますか?」
にっこり笑って二人の侍女にお願いする。
「……っはいっ!」
侍女は足早に部屋を出る。
マリは床の無惨な姿になった食事を片付け始めた。
「要らん! 気分が悪い!」
男性はフイっと顔を逸らす。
「でもお食事を摂らないとお身体に障ります」
「食いたくもない物を出されて不快だ!」
「何でしたら食べられるのですか?」
「白奏魚のソテーなら食ってやる」
なんだろう? それ?
マリの方を見ると動揺した顔をしてる。
「白奏魚ってなあに?」
マリに聞いてみる。
「白奏魚はこの時期には獲れません……。しかも南の諸島の潮の荒い海域に生息しています……。とても貴重な魚でございます」
「そのお魚は貴重で無いそうですよ? 他に食べられるものはおありではないですか?」
男性は、陛下と同じ翠の瞳に剣呑な色を浮かべて嘲笑する。
「用意出来ぬか? ならば食事は要らん!」
そのタイミングで先程の侍女が新しく食事を運んで来た。
「お待たせ致しました。太公様」
「ほら、太公様、お食事が来ました。白奏魚ではなくてもきっと美味しいですよ?」
にこりと笑って机に乗せ、スプーンを渡した。
太公様はスプーンを受け取ると、窓の外に放り投げた。
「スプーンが落ちた。王女よ、お前が拾って参れ」
嘲笑をより深くして私を見た。
「わかりました。」
部屋を出て、階段を降りる。
スプーンを拾って厨房へ行く。
「お仕事中すみません。バスケットにスプーンとフォークとナイフをありったけ入れて頂けますか?」
嫌な顔をされながらも太公様が御所望だと言うと渋々用意してくれた。
太公様の元へ戻る。
二人の侍女は困り果てた様に立ち尽くしていた。
「さ、幾らでも落として下さいね? 代わりは山程ありますから。」
私はやっぱりニッコリ笑って、机の上にバスケットをガシャンと金切音を上げて置いた。
太公様は唖然としていた。
10
あなたにおすすめの小説
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています
木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。
少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが……
陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。
どちらからお読み頂いても話は通じます。
イケメンとテンネン
流月るる
恋愛
ある事情から、イケメンと天然女子を毛嫌いする咲希。彼らを避けて生活していた、ある日のこと。ずっと思い続けてきた男友達が、天然女子と結婚することに! しかもその直後、彼氏に別れを告げられてしまった。思わぬダブルショックに落ち込む咲希。そんな彼女に、犬猿の仲である同僚の朝陽が声をかけてきた。イケメンは嫌い! と思いつつ、気晴らしのため飲みに行くと、なぜかホテルに連れ込まれてしまい――!? 天邪鬼なOLとイケメン同僚の、恋の攻防戦勃発!
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる