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その方は前王であるエルネスティ・アウグスト・グランクヴィスト。陛下の御父上だ。
それから毎日太公様の元へ通った。
朝食は陛下と摂って、陛下が御政務をされる日中は太公様と過ごした。
通っているとやっぱり陛下に似てるなぁと思う事がたくさんあった。
笑う時の口元、剣呑とした時に放つ雰囲気、自嘲気味な所。
あまりに似ていて少し可笑しくなって笑ってしまうと、キョトンとした顔をされる所が何故か可愛らしかった。
一週間後にはお菓子を用意してくれる様になった。
昼食も一緒に摂る様になった
「王女よ。何故ここに通う? 余にはもう何の権限もない。故に誰も寄り付かん。ただ近い内に朽ちていくだけの老人だ」
「私はもうマグダラスでは廃嫡されているので、王女というのはおかしいので、ただのレイティアとお呼び下さい」
「……アレは何と呼んでいるのだ?」
太公様は目を逸らす。
「……ああ、陛下ですか?陛下は姫と呼んで下さいます。」
「ならば余も姫と呼ぼう。さぁ。質問に答えろ」
私は思ったままを口にする。
「私が太公様にお会いしたいからです。城で私のする事はないですし、他の妾妃の方々にも御挨拶はしなくていいと陛下に禁じられているし、退屈なのです。太公様とお話ししてると楽しいですしね」
太公様が真剣な目付きで訊ねる。
「……姫よ。お前は輿入れ後は正妃になるのか?」
「いいえ? 私は妾妃になる予定ですよ」
太公様が真剣な面持ちのまま考え込む。
何か思案なさっているのだったら邪魔しちゃいけないと思ってじっと待っていた。
太公様は私の視線に気がついて、こちらに向き直る。
「……しかしアレはまた懲りもせずに妾を増やすつもりか。その上子を成すわけでもない。どういうつもりだ」
太公様が憤って言う。
「御子ばかりは授かりものですから、陛下に咎は無いと思いますけど……」
「政務も碌にしとらんと聞いている。やる気がない癖に余から全権を取り上げおって!」
「太公様は退位なさっているのですから、全権を委譲されるのは仕方ない事なのでは?」
「好きで退位した訳ではない! させられたのだ! アレは恐ろしい男だ。余が倒れたのを良い事に掌握した軍事力にものを言わせ、余の側近達を粛清しおった! 諸侯に至るまで!」
「……粛清ですか?」
「ああ、皆余と苦楽を共にした側近達だ。一切の発言を封殺され、今ではこんな所に閉じ込められている! アレは余の父とそっくりだ!」
太公様は声を荒げる。
「太公様? 落ち着いて下さい。お身体に障りますから。」
「女にだらしなく、加虐を楽しみ、恐怖で人心を支配する! 悪魔の様な男だ!」
「陛下はお優しい方ですよ?」
太公様は驚愕して私を見る
「優しいだと⁉︎」
なんとなく、陛下の置かれている立場を思うと切なくなった。
「太公様と同じで、いつも優しくして下さいます。」
「……っ! アレと一緒にするな! 今日はもう帰れ!」
「わかりました。また明日来ますね」
私は席を立ち、扉を閉めて、二人の間にある溝を思うと溜息が出てしまった。
それから毎日太公様の元へ通った。
朝食は陛下と摂って、陛下が御政務をされる日中は太公様と過ごした。
通っているとやっぱり陛下に似てるなぁと思う事がたくさんあった。
笑う時の口元、剣呑とした時に放つ雰囲気、自嘲気味な所。
あまりに似ていて少し可笑しくなって笑ってしまうと、キョトンとした顔をされる所が何故か可愛らしかった。
一週間後にはお菓子を用意してくれる様になった。
昼食も一緒に摂る様になった
「王女よ。何故ここに通う? 余にはもう何の権限もない。故に誰も寄り付かん。ただ近い内に朽ちていくだけの老人だ」
「私はもうマグダラスでは廃嫡されているので、王女というのはおかしいので、ただのレイティアとお呼び下さい」
「……アレは何と呼んでいるのだ?」
太公様は目を逸らす。
「……ああ、陛下ですか?陛下は姫と呼んで下さいます。」
「ならば余も姫と呼ぼう。さぁ。質問に答えろ」
私は思ったままを口にする。
「私が太公様にお会いしたいからです。城で私のする事はないですし、他の妾妃の方々にも御挨拶はしなくていいと陛下に禁じられているし、退屈なのです。太公様とお話ししてると楽しいですしね」
太公様が真剣な目付きで訊ねる。
「……姫よ。お前は輿入れ後は正妃になるのか?」
「いいえ? 私は妾妃になる予定ですよ」
太公様が真剣な面持ちのまま考え込む。
何か思案なさっているのだったら邪魔しちゃいけないと思ってじっと待っていた。
太公様は私の視線に気がついて、こちらに向き直る。
「……しかしアレはまた懲りもせずに妾を増やすつもりか。その上子を成すわけでもない。どういうつもりだ」
太公様が憤って言う。
「御子ばかりは授かりものですから、陛下に咎は無いと思いますけど……」
「政務も碌にしとらんと聞いている。やる気がない癖に余から全権を取り上げおって!」
「太公様は退位なさっているのですから、全権を委譲されるのは仕方ない事なのでは?」
「好きで退位した訳ではない! させられたのだ! アレは恐ろしい男だ。余が倒れたのを良い事に掌握した軍事力にものを言わせ、余の側近達を粛清しおった! 諸侯に至るまで!」
「……粛清ですか?」
「ああ、皆余と苦楽を共にした側近達だ。一切の発言を封殺され、今ではこんな所に閉じ込められている! アレは余の父とそっくりだ!」
太公様は声を荒げる。
「太公様? 落ち着いて下さい。お身体に障りますから。」
「女にだらしなく、加虐を楽しみ、恐怖で人心を支配する! 悪魔の様な男だ!」
「陛下はお優しい方ですよ?」
太公様は驚愕して私を見る
「優しいだと⁉︎」
なんとなく、陛下の置かれている立場を思うと切なくなった。
「太公様と同じで、いつも優しくして下さいます。」
「……っ! アレと一緒にするな! 今日はもう帰れ!」
「わかりました。また明日来ますね」
私は席を立ち、扉を閉めて、二人の間にある溝を思うと溜息が出てしまった。
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