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テームは昼にはやって来た。
「ご報告致します。二日後に宝石商のサーレンパーがこの島にやって来るとの事です。
裏帳簿とモノは押さえられそうですが、如何致しますか?」
「押さえておけ」
「御意」
「サリ。お前も鉱山の館に潜入しておけ」
「御意」
二人が去って、姫の待つ宿に向かう。
宿の入り口には男が二人立っていた。
いかつい、良いガタイの男が声をかけてくる。
「よう色男。女侍らして鉱山まで来てた様だが何用だ?」
「……何。職を探していてな。坑夫にでもと思ったが、坑夫達を見てやめた。お前らは鉱山の館の用心棒か?」
「……腰に挿してるもんは使えるのかい?」
「飾り物ではないな」
「……雇われてみる気はねえか?」
「ほう。面白いな。いいだろう。ただ連れが一緒でなければいかんが」
「あの可愛らしい嬢ちゃんか。いいだろう。一緒に雇ってやる」
「……連れを呼んでくる」
宿に入り、階段を登る。
薄い部屋の扉を開けると姫がこちらを見ている。
「アナバス様、何か分かりましたか?」
「朝、鉱山に行ったのは無駄足ではなかった様だぞ」
「?」
「鉱山の館の用心棒に雇われた」
「ええ⁉︎」
「恐らくティアは下働きなどさせられるだろう。不満ならやめるが」
「いいえ! 行きます!」
「ならば荷物をまとめるか」
二人で手早く荷物をまとめる。
宿代を支払い、男達の元に向かう。
「おう来たか」
「嬢ちゃんは下働きしてもらうぞ」
ティアは男の言葉に笑顔で答える。
「わかりました」
鉱山へ向かう。朝通った道のりを再び辿る。
険しい箇所を抜けて、鉱山入り口の門までやって来る。
門を潜って、東側にある館の勝手口から入る。
「嬢ちゃんはあっちだ。おい、案内してやれ」
「へい。おい、こっちだ」
「はい」
姫がもう一人の男について行く。
「それで俺は何をする?」
男は腕組みをして言う。
「もうじき荷を運ぶんだがその荷馬車の護衛だ。最近ずっと護衛だったやつが引退しちまってな。剣の使える奴が減っちまったんだよ」
「その日まで俺はどうすればいい?」
「適当にやっててくれて構わないぞ。館を巡回してくれると助かるが、それ自体は人手が足りてる」
「わかった」
「部屋を案内する」
まっすぐ廊下を進む。
同じ様な扉の部屋が続く。
「この部屋を使ってくれ」
「連れと一緒に使う」
「構わねえぞ。ありゃあんたの女か?」
「ああ。そうだ」
「地の民の女だろう?女衒で買い上げたにしちゃ上品な娘だな」
「まぁな」
「館の中は3階中央の館長の部屋辺り以外は好きに歩いて構わねえよ。じゃあな」
男は仕事に戻るらしい。
一つしかないベッドに荷物を置き、
部屋を出て館内を散策する事にした。
「ご報告致します。二日後に宝石商のサーレンパーがこの島にやって来るとの事です。
裏帳簿とモノは押さえられそうですが、如何致しますか?」
「押さえておけ」
「御意」
「サリ。お前も鉱山の館に潜入しておけ」
「御意」
二人が去って、姫の待つ宿に向かう。
宿の入り口には男が二人立っていた。
いかつい、良いガタイの男が声をかけてくる。
「よう色男。女侍らして鉱山まで来てた様だが何用だ?」
「……何。職を探していてな。坑夫にでもと思ったが、坑夫達を見てやめた。お前らは鉱山の館の用心棒か?」
「……腰に挿してるもんは使えるのかい?」
「飾り物ではないな」
「……雇われてみる気はねえか?」
「ほう。面白いな。いいだろう。ただ連れが一緒でなければいかんが」
「あの可愛らしい嬢ちゃんか。いいだろう。一緒に雇ってやる」
「……連れを呼んでくる」
宿に入り、階段を登る。
薄い部屋の扉を開けると姫がこちらを見ている。
「アナバス様、何か分かりましたか?」
「朝、鉱山に行ったのは無駄足ではなかった様だぞ」
「?」
「鉱山の館の用心棒に雇われた」
「ええ⁉︎」
「恐らくティアは下働きなどさせられるだろう。不満ならやめるが」
「いいえ! 行きます!」
「ならば荷物をまとめるか」
二人で手早く荷物をまとめる。
宿代を支払い、男達の元に向かう。
「おう来たか」
「嬢ちゃんは下働きしてもらうぞ」
ティアは男の言葉に笑顔で答える。
「わかりました」
鉱山へ向かう。朝通った道のりを再び辿る。
険しい箇所を抜けて、鉱山入り口の門までやって来る。
門を潜って、東側にある館の勝手口から入る。
「嬢ちゃんはあっちだ。おい、案内してやれ」
「へい。おい、こっちだ」
「はい」
姫がもう一人の男について行く。
「それで俺は何をする?」
男は腕組みをして言う。
「もうじき荷を運ぶんだがその荷馬車の護衛だ。最近ずっと護衛だったやつが引退しちまってな。剣の使える奴が減っちまったんだよ」
「その日まで俺はどうすればいい?」
「適当にやっててくれて構わないぞ。館を巡回してくれると助かるが、それ自体は人手が足りてる」
「わかった」
「部屋を案内する」
まっすぐ廊下を進む。
同じ様な扉の部屋が続く。
「この部屋を使ってくれ」
「連れと一緒に使う」
「構わねえぞ。ありゃあんたの女か?」
「ああ。そうだ」
「地の民の女だろう?女衒で買い上げたにしちゃ上品な娘だな」
「まぁな」
「館の中は3階中央の館長の部屋辺り以外は好きに歩いて構わねえよ。じゃあな」
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