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第一話 竜騎士と呪い②
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リウは十八歳の頃に竜騎士試験に参加し、当時生まれたばかりのガジャラに見初められて竜騎士となった。
隣に立つお調子者のコラディルは、一年先にショアの相棒となっており、年も入団時期も近いということで仲がいい。
竜が増えなければ竜騎士も増えないのだから、少数精鋭の竜騎士団員は皆家族のように親密な存在でもあった。
とはいえなあなあの関係になっては、規律も緩む。
「第二王子であるミッシャラ様は、反竜派だ。お前たちの仕事によっては竜たちの処遇が変わる恐れもある。心してかかれよ」
「はっ!」
竜騎士団長の叱咤激励を受けて、二人は胸を叩き礼をした。去って行く団長の後ろ姿を見つめながら、リウは改めて気を引き締めたが、隣の男は違うようだ。
「はあ~団長マジ怖いよな。俺は可愛い娘たちがいて、ショアと空を飛べたらいいだけなんだけど」
「コラディル」
「あーはいはい。まったく、リウはいい子チャンなんだからさあ。真面目すぎるんだって。そんなんだからモテモテの竜騎士のくせに、いつまでたっても童貞なんだよ」
「コラディルッ!」
全く関係のない指摘に、リウは顔を赤くした。
恋人ができないのではなくて作らないのであって、そういった経験がないのはしたいと思わないからだ。リウは身長も高く見目が良い上、高給取りかつ名誉職である竜騎士だ。若い時から露骨な視線と好意に晒されてきたが、リウは恋愛に興味がなかった。
ないというよりも、怖いという思いもあった。
「俺は、ガジャラといられればそれでいいって言ってるだろ」
コラディルはいい同僚だが、デリケートな部分を踏み荒らすような軽口はいただけない。若くして大恋愛をし結婚したコラディルからするとつまらない人間に見えるのかもしれないが、それはお互いの価値観の相違であり尊重する部分だと、リウは思う。
「あーはいはい。ま、そこは俺も同意だからさ。明日は王子の護衛はやりきるぜ。なんたって、ミッシャラ王子は反竜派だ。俺たちのミス一つで、ショアたちの居場所が奪われかねん」
顔を寄せてくるショアの顎を、コラディルは優しい手つきで撫でた。そしてもっと撫でろと言わんばかりに、ショアはコラディルの足元に座った。
いかに竜に認められた竜騎士とはいえ、これだけの信頼関係を築くのに費やした時間は短くはない。この距離で撫でることを許されるのは、騎乗する竜騎士くらいだろう。
リウの相棒であるガジャラも同じように隣に座る。目の間をそっと撫でると、その金色の瞳は嬉しそうに輝く。
この強く美しい竜は、守らなければいけない。リウは硬く拳を握る。
「竜の飼育費用が国庫を圧迫すると言われても、その竜によって守られているのがこの国だ。反竜派がどんな手を使おうと、俺たちは竜を守るしかない」
「だよな。安心しろよショア。俺たちがぜってー守るからな」
クルルル、と喉を鳴らす二体の竜を見つめながら、竜騎士たちは決意を新たにしていた。
だがその翌日。
朝から暗雲がたちこめる天気だったため、リウは嫌な余寒がしていた。だが王命として第二王子の遠征の付き添いは、多少の悪天候で延期できるものではない。
そう広くない国土とはいえ、地方の視察は馬では時間がかかりすぎる。そのためセデンスの王族は遠出には竜に乗ることが殆どだ。
空は竜の独壇場で外敵もいない。竜は自身が認めた相棒――竜騎士以外はその背に乗せないが、竜騎士と一緒であれば堪えてくれるのだ。
馬車に比べて少々乗り心地が悪いという点を除けば、竜騎士を伴う空の旅は安全そのもので、かつ国の威信を見せつけることに適しているといえよう。
出発のため演習場に現われた第二王子ミッシャラは、十八歳という若さのせいか国王に比べ随分傲慢な態度が透けて見えている。
「ほら、さっさと行ってさっさと帰るぞ!」
第二王子は国王の前でこそしおらしさを装っているが、正妃の一人息子として育てられたせいか自分が世界の中心だと思っている節がある。それは王城の中では当然なのかもしれないが、これから移動する空の上ではその理屈は通じない。
空の上、そして竜の背中の上では竜騎士の指示が絶対だ。
果たしてこの王子は無事に目的地まで送り届けることができるだとうかと、リウはコラディルと視線だけでその不安を伝えあう。
しかし残念なことに、その不安は最悪の形で的中してしまった。
演習用の広場には、青ざめるコラディルと、その傍らで怒りを露わにする相棒のショア。そしてコラディルとショアに剣を突きつける、第二王子ミッシャラの近衛騎士たちがいた。
「うう~、痛い、痛いよお~」
地べたで土まみれになりながら痛みにのたうち回る青年が、ミッシャラ王子だ。
「王室に飼われている竜の分際で、第二王子殿下を振り落とすとはなんたる不敬!」
剣を突きつけられたコラディルは、両手を上げて弁明した。
「い、いや! だってよ、竜騎士より先に竜に乗るなんて、そりゃぶん投げられて当たり前っつーか……」
「コラディル!」
同僚の真っ当すぎる言い訳に、リアは思わず制止の声を上げた。
竜が信頼を寄せているのは王族ではなく、あくまで相性がいい竜騎士だ。それは竜騎士の常識であり、もちろん国民は皆理解している。
そしてなにが竜にとって好ましいのかまではまだ解明されておらず、竜騎士が必要なのは竜に愛される運だけだとも言われているくらいだった。
だがコラディルの言葉は、第二王子のプライドを傷つけたらしい。
涙と鼻水で顔をべしょべしょにした第二王子は、スックと立ち上がると自分の顔を拭った。それからその指先を、まだ怒りの収まらない竜・ショアに向けた。
「殺せ。王太子であるボクに土を付けたんだ。その無礼は命を持って償って貰うぞ」
王子の冷酷な言葉に、リウとコラディルは一瞬で青ざめた。
確かに王族への非礼は事実だが、その相手は竜だ。
ここまで育てるのに手間も費用もつぎ込まれ、繁殖期の少ない竜の現役個体数も十分ではない。それになにより、リウたち竜騎士にとっては家族だ。
リウは考えるよりも先に、地面に額を擦りつけた。
「ミッシャラ王子! この度は大変申し訳ございませんでした! しかし相手は竜、人間の常識では動かない動物であり、国防の要です。どうぞ寛大なお心でお許しいただけませんか!」
叫ぶリウに倣い、慌ててコラディルも土に膝を付けた。
「申し訳ございません! なにとぞ、ショアには私から言って聞かせますので……!」
重い沈黙が場に落ちる。
朝から続く曇天は雨雲を纏わり付かせ、不穏な空気を強調しているようだった。
土に平伏すリウとコラディルを見下ろし、王子は彼らを鼻で笑った。
「ボクも母様もさ、そもそも竜も竜騎士もキライなんだよね。金は食うし、アイツらが従うのがボクじゃなくて竜騎士だってのも気に食わない。ボクは未来の王だよ? なんでボクが竜騎士に、ボクの持ち物に乗せて貰わないといけないワケ?」
王子の蹴った土が、コラディルの顔に当たる。短気なコラディルだが、さすがに何も言い返さずジッとしていた。
しかしそれが王子には面白くないのか、黙ったままのコラディルの背に足を乗せる。
「ねえ、お前があの無礼な竜の騎士? 無礼な竜には、無礼な騎士が付くんだね! 所詮、獣に選ばれただけ。騎士なんて呼べるようなまともな身分でもないんでしょ!」
ゲラゲラと笑う王子の言葉には、リウもなにも言い返せない。
なぜならそれは全て、事実だからだ。
騎士と呼ばれる身分は、主に貴族子息がなれるものだ。
しかし竜騎士だけは、身分に関係なく竜が選ぶ。リウは孤児院出身で、コラディルもまた平民だ。竜騎士になって人々に尊敬されようと、事実王子が言うように、竜に選ばれただけなのだ。
「はあ、つまんない。ホントもう、痛いし……これだけ痛い思いをしたんだから、もう今日の目的は完了でいいよね。じゃああとはコレの処分だけ、しといて」
王子はそれだけ言い放つと、城へ戻ろうと踵を返す。
リウは慌てて顔を上げた。
「ミッシャラ王子、お待ちください! 竜を処分する気ですか? ですが――」
考え直してほしい、リウがそう続けようとした所で、隣からつんざくような怒声が響いた。
「ふざけんな! 勝手にショアに乗ったお前が悪いんだろうが! ショアは悪くねえ!」
立ち上がったコラディルの身柄はすぐさま周囲の騎士たちに取り押さえられる。しかしそれがなければコラディルは、今にも王子に殴りかかりそうな勢いだった。
それだけ相棒のショアを大事にしていたのだ。
コラディルだけではない、竜騎士にとって竜とはそれくらい特別な存在だ。
だがそれは王子の機嫌を損ねただけだった。
「ほーら、やっぱり竜騎士は生意気なんだよ。自分が竜の主人だとでも思ってるワケ? この国の主は誰なのか、分からせないと駄目なのかなあ?」
王子はコラディルの腰から剣を抜いた。そしてその刃先をコラディルの首へヒタリと当てた。
「アハッ! お前があの竜の主なら、お前を殺したら竜はどうするのかな?」
「やめ――」
リウの制止よりも先に、周囲一帯に響いたのはショアの雄叫びだった。耳をつんざくようなその声に、木々に止まっていた鳥たちが一斉に飛んで逃げていく。
近衛騎士たちも皆剣を抜き、王子を守るように周囲を固めた。
隣に立つお調子者のコラディルは、一年先にショアの相棒となっており、年も入団時期も近いということで仲がいい。
竜が増えなければ竜騎士も増えないのだから、少数精鋭の竜騎士団員は皆家族のように親密な存在でもあった。
とはいえなあなあの関係になっては、規律も緩む。
「第二王子であるミッシャラ様は、反竜派だ。お前たちの仕事によっては竜たちの処遇が変わる恐れもある。心してかかれよ」
「はっ!」
竜騎士団長の叱咤激励を受けて、二人は胸を叩き礼をした。去って行く団長の後ろ姿を見つめながら、リウは改めて気を引き締めたが、隣の男は違うようだ。
「はあ~団長マジ怖いよな。俺は可愛い娘たちがいて、ショアと空を飛べたらいいだけなんだけど」
「コラディル」
「あーはいはい。まったく、リウはいい子チャンなんだからさあ。真面目すぎるんだって。そんなんだからモテモテの竜騎士のくせに、いつまでたっても童貞なんだよ」
「コラディルッ!」
全く関係のない指摘に、リウは顔を赤くした。
恋人ができないのではなくて作らないのであって、そういった経験がないのはしたいと思わないからだ。リウは身長も高く見目が良い上、高給取りかつ名誉職である竜騎士だ。若い時から露骨な視線と好意に晒されてきたが、リウは恋愛に興味がなかった。
ないというよりも、怖いという思いもあった。
「俺は、ガジャラといられればそれでいいって言ってるだろ」
コラディルはいい同僚だが、デリケートな部分を踏み荒らすような軽口はいただけない。若くして大恋愛をし結婚したコラディルからするとつまらない人間に見えるのかもしれないが、それはお互いの価値観の相違であり尊重する部分だと、リウは思う。
「あーはいはい。ま、そこは俺も同意だからさ。明日は王子の護衛はやりきるぜ。なんたって、ミッシャラ王子は反竜派だ。俺たちのミス一つで、ショアたちの居場所が奪われかねん」
顔を寄せてくるショアの顎を、コラディルは優しい手つきで撫でた。そしてもっと撫でろと言わんばかりに、ショアはコラディルの足元に座った。
いかに竜に認められた竜騎士とはいえ、これだけの信頼関係を築くのに費やした時間は短くはない。この距離で撫でることを許されるのは、騎乗する竜騎士くらいだろう。
リウの相棒であるガジャラも同じように隣に座る。目の間をそっと撫でると、その金色の瞳は嬉しそうに輝く。
この強く美しい竜は、守らなければいけない。リウは硬く拳を握る。
「竜の飼育費用が国庫を圧迫すると言われても、その竜によって守られているのがこの国だ。反竜派がどんな手を使おうと、俺たちは竜を守るしかない」
「だよな。安心しろよショア。俺たちがぜってー守るからな」
クルルル、と喉を鳴らす二体の竜を見つめながら、竜騎士たちは決意を新たにしていた。
だがその翌日。
朝から暗雲がたちこめる天気だったため、リウは嫌な余寒がしていた。だが王命として第二王子の遠征の付き添いは、多少の悪天候で延期できるものではない。
そう広くない国土とはいえ、地方の視察は馬では時間がかかりすぎる。そのためセデンスの王族は遠出には竜に乗ることが殆どだ。
空は竜の独壇場で外敵もいない。竜は自身が認めた相棒――竜騎士以外はその背に乗せないが、竜騎士と一緒であれば堪えてくれるのだ。
馬車に比べて少々乗り心地が悪いという点を除けば、竜騎士を伴う空の旅は安全そのもので、かつ国の威信を見せつけることに適しているといえよう。
出発のため演習場に現われた第二王子ミッシャラは、十八歳という若さのせいか国王に比べ随分傲慢な態度が透けて見えている。
「ほら、さっさと行ってさっさと帰るぞ!」
第二王子は国王の前でこそしおらしさを装っているが、正妃の一人息子として育てられたせいか自分が世界の中心だと思っている節がある。それは王城の中では当然なのかもしれないが、これから移動する空の上ではその理屈は通じない。
空の上、そして竜の背中の上では竜騎士の指示が絶対だ。
果たしてこの王子は無事に目的地まで送り届けることができるだとうかと、リウはコラディルと視線だけでその不安を伝えあう。
しかし残念なことに、その不安は最悪の形で的中してしまった。
演習用の広場には、青ざめるコラディルと、その傍らで怒りを露わにする相棒のショア。そしてコラディルとショアに剣を突きつける、第二王子ミッシャラの近衛騎士たちがいた。
「うう~、痛い、痛いよお~」
地べたで土まみれになりながら痛みにのたうち回る青年が、ミッシャラ王子だ。
「王室に飼われている竜の分際で、第二王子殿下を振り落とすとはなんたる不敬!」
剣を突きつけられたコラディルは、両手を上げて弁明した。
「い、いや! だってよ、竜騎士より先に竜に乗るなんて、そりゃぶん投げられて当たり前っつーか……」
「コラディル!」
同僚の真っ当すぎる言い訳に、リアは思わず制止の声を上げた。
竜が信頼を寄せているのは王族ではなく、あくまで相性がいい竜騎士だ。それは竜騎士の常識であり、もちろん国民は皆理解している。
そしてなにが竜にとって好ましいのかまではまだ解明されておらず、竜騎士が必要なのは竜に愛される運だけだとも言われているくらいだった。
だがコラディルの言葉は、第二王子のプライドを傷つけたらしい。
涙と鼻水で顔をべしょべしょにした第二王子は、スックと立ち上がると自分の顔を拭った。それからその指先を、まだ怒りの収まらない竜・ショアに向けた。
「殺せ。王太子であるボクに土を付けたんだ。その無礼は命を持って償って貰うぞ」
王子の冷酷な言葉に、リウとコラディルは一瞬で青ざめた。
確かに王族への非礼は事実だが、その相手は竜だ。
ここまで育てるのに手間も費用もつぎ込まれ、繁殖期の少ない竜の現役個体数も十分ではない。それになにより、リウたち竜騎士にとっては家族だ。
リウは考えるよりも先に、地面に額を擦りつけた。
「ミッシャラ王子! この度は大変申し訳ございませんでした! しかし相手は竜、人間の常識では動かない動物であり、国防の要です。どうぞ寛大なお心でお許しいただけませんか!」
叫ぶリウに倣い、慌ててコラディルも土に膝を付けた。
「申し訳ございません! なにとぞ、ショアには私から言って聞かせますので……!」
重い沈黙が場に落ちる。
朝から続く曇天は雨雲を纏わり付かせ、不穏な空気を強調しているようだった。
土に平伏すリウとコラディルを見下ろし、王子は彼らを鼻で笑った。
「ボクも母様もさ、そもそも竜も竜騎士もキライなんだよね。金は食うし、アイツらが従うのがボクじゃなくて竜騎士だってのも気に食わない。ボクは未来の王だよ? なんでボクが竜騎士に、ボクの持ち物に乗せて貰わないといけないワケ?」
王子の蹴った土が、コラディルの顔に当たる。短気なコラディルだが、さすがに何も言い返さずジッとしていた。
しかしそれが王子には面白くないのか、黙ったままのコラディルの背に足を乗せる。
「ねえ、お前があの無礼な竜の騎士? 無礼な竜には、無礼な騎士が付くんだね! 所詮、獣に選ばれただけ。騎士なんて呼べるようなまともな身分でもないんでしょ!」
ゲラゲラと笑う王子の言葉には、リウもなにも言い返せない。
なぜならそれは全て、事実だからだ。
騎士と呼ばれる身分は、主に貴族子息がなれるものだ。
しかし竜騎士だけは、身分に関係なく竜が選ぶ。リウは孤児院出身で、コラディルもまた平民だ。竜騎士になって人々に尊敬されようと、事実王子が言うように、竜に選ばれただけなのだ。
「はあ、つまんない。ホントもう、痛いし……これだけ痛い思いをしたんだから、もう今日の目的は完了でいいよね。じゃああとはコレの処分だけ、しといて」
王子はそれだけ言い放つと、城へ戻ろうと踵を返す。
リウは慌てて顔を上げた。
「ミッシャラ王子、お待ちください! 竜を処分する気ですか? ですが――」
考え直してほしい、リウがそう続けようとした所で、隣からつんざくような怒声が響いた。
「ふざけんな! 勝手にショアに乗ったお前が悪いんだろうが! ショアは悪くねえ!」
立ち上がったコラディルの身柄はすぐさま周囲の騎士たちに取り押さえられる。しかしそれがなければコラディルは、今にも王子に殴りかかりそうな勢いだった。
それだけ相棒のショアを大事にしていたのだ。
コラディルだけではない、竜騎士にとって竜とはそれくらい特別な存在だ。
だがそれは王子の機嫌を損ねただけだった。
「ほーら、やっぱり竜騎士は生意気なんだよ。自分が竜の主人だとでも思ってるワケ? この国の主は誰なのか、分からせないと駄目なのかなあ?」
王子はコラディルの腰から剣を抜いた。そしてその刃先をコラディルの首へヒタリと当てた。
「アハッ! お前があの竜の主なら、お前を殺したら竜はどうするのかな?」
「やめ――」
リウの制止よりも先に、周囲一帯に響いたのはショアの雄叫びだった。耳をつんざくようなその声に、木々に止まっていた鳥たちが一斉に飛んで逃げていく。
近衛騎士たちも皆剣を抜き、王子を守るように周囲を固めた。
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