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どうしてこうなった?
しおりを挟む都内でもどちらかというと下町エリアに分類される街を俺たちは歩いた。オフ会の幹事、マカロニに見える電柱着ぐるみを着ている熱烈大佐を先頭に、街の電柱をあれこれと眺めながら徒歩10分程の道のりを楽しんだ。
「いやだから電柱にはピンク広告だろ?最近規制されてるから見ないけど、あれこそ電柱を彩るラッピングだと俺は思ってるんだよね?地方に行くとたまに剥がしそびれたピンク広告を見るんだけど風情あるよ」
「そういえば三月さん、自分の敷地内に電柱建てたってマジですか?私も欲しいです」
「電柱って抱き心地が良いですよね~。コン柱のすべすべ感はほんとヤバい愛してる。まあ嫁と子の次にですけど」
「おっ、また継柱発見!自分の周りでは一本もの多いんですよね。流石都会は違うなあ」
和気あいあいと語るメンバーの後ろを、俺とデンノは付いていく。いやあ、話を聞いているだけでも楽しい。SNSで語り合っていた人たちが本当に現実にいるんだなあと実感できる。本当に来てよかった。
「……なあ、俺本当にここ来たこと後悔してるよミハシ」
「だから、言ったじゃないか」
電柱オフ会だって。本当なぜ付いてきたんだデンノ。そしてお前のアカウント名教えろ。どのフォロワーがお前だ?
「だが俺はお前を守ってやらなければならないから。頑張るわ」
「う、うん?俺にはそんな脅威はないけどな?ありがとう?」
いつも俺には過保護な小さい幼馴染の頭を撫でる。癖の無い黒髪がひんやりしていて気持ちいい。いつもクールなデンノだが、こういうスキンシップは嫌いではないらしくされるがまま受け入れてくれる。
「ちょっとハッシー?折角のオフ会なんだからこももとも話そうよ~!幼馴染クンとはいつでも遊べるじゃん」
そう言ってこももさん(年齢不詳・女装ロリータ)は俺の腕にその腕を絡ませた。言っている事は確かにそうだ。今日は電柱オフ会、こももさんも主に電柱のBLを想像するタイプの電柱愛好家だが、その電柱愛は確かなもの。折角会えたのだから交流したい。
そう思っているのに。
「悪いけど、こいつ変な事に巻き込まれやすいから。ちょっとあんまり近づかないでくれる?」
そう言ってこももさんを引き離すのがデンノだ。
「幼馴染クン~?こももは変な事しないから大丈夫だよ?SNSでもめっちゃ仲良くしてくれたんだからハッシーは。ね~ハッシー?」
「こももさん?こいつ昔から頭のおかしいやつに絡まれてるんだよね?大体頭おかしいやつって本人がそうと気付かないから問題なんだわ」
「はあ~なにそれこももの事ディスってんの?」
「一般論だけど?何、身に覚えあんの?」
ちょ……また何キャットファイトみたいになってんの??おーい、前を歩く皆が明らかに足早になっている。待ってくれ、皆普段俺と仲良くしてくれているだろう?助けてくれ!!
バチバチと何故か火花を散らす二人を、俺はまた仲裁しなければならないのか。
「電柱にも色々な種類があってだな」
「煩い!」
「ハッシー静かにして!」
う……っ!今度は誤魔化せなかったらしい。
「今のはハッシー痛恨の選択ミスだわ」
「愚問だなハッシー。種類があってこその電柱なのに。そういえば電信棒って言うんだよねうちの地域」
「ハッシーのあの迷セリフ言うタイミングだったんじゃ?『お前ですけべしたい』ってミニ電ちゃん写真上げた時の奴」
「あれな。バズってたもんな。ハッシー有名人じゃん。」
仲間に恵まれて大変うれしいよ……。あとすけべしたいはもう半年前のツイートなんだから忘れて欲しい、真剣に。
「おーい皆、この店この店!入ろうぜ!」
だから空気を割って入った熱烈大佐の言葉に、俺はほっと胸をなでおろした。そうして俺たちはぞろぞろとその小さな店内に入ったのだ。
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