迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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128. 種族の寿命

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 なんということだ!
 ソードとカベルネがちょっとだけ遠い親戚じゃないか!

 カベルネも知らなかったようで、ビックリしていた。
 ペクメズおばあさんが豪快に、はっはっはっ! と笑っている。

「ソードは母親似の妹、モラセスに似てエルフ顔だからね。わたしは父親似のドワーフ顔だからあんまり似てないんだよ。わからなくって当然さ! あっはっはっ!」

「まっ、まっ、待ってくれ……ちょっと、待ってくれよ……オレは、ドワーフなのか? エルフなのか? 人なのか? なんなんだ……」

「母さん! まだカベルネには話していないんですよ!」

「ああ、そうだったね。でももう九歳、話すときさ! 今日はいろんな種族が揃っていて、ちょうどいいからね」
 
 ちょっと待ってほしい。
 ソードはエルフとドワーフのハーフなのか?
 あーっ、顔がキレイなはずだよ……

 まだ放心状態のカベルネをほって、ペクメズおばあさんは説明しだす。

 ここの国境沿いの集落は、どちらかというとドワーフ族よりだという。
 でも純粋なドワーフはもうあまりいないそうで、人族やエルフ族それからハーフの人と結婚している人が大半らしい。
 どちらかといえば背の低いドワーフ族やエルフ族でも人族の血が入るとぐんと背が高くなって種族もみんなわかりにくくなるようだった。
 もしかして、だからソードも背が高いのかな?

 ただ、エルフ族だけは純粋なエルフ族を一族で代々守っているところがあるそうだ。
 それは純粋にエルフ族に誇りを持っているだけではなく、寿命が関係していると教えてくれた。

 待って、国境沿いの集落っていった?
 コウジュもなの……

 えっ、じゃあガントも?
 みんなドワーフ族が入っているの?
 人族じゃなかったの?
 知らないことだらけでアワアワしてしまう。

 ここらへんから復活したカベルネは、ペクメズおばあさんの寿命の話に反応して。

「そういえば、ひい爺ちゃん。サンジョ爺ちゃんの奥さんはもう死んでいないよな? ひい爺ちゃんは元気なのに、ひい婆ちゃんが死んでいるのは寿命の違いなのか?」

「ああ、そうだ。ワシの母親は人族だったから寿命が短い。九十八歳で死んでしまった。父さん、サンジョ爺ちゃんはそれから、四百三十五年間ひとりだ」

 サンジョお爺さんの子ども、村長のガメイおじいさんが教えてくれた。

「うわーっ、それはサンジョ爺ちゃん……つらいよな……」

「んっ、なんともないぞ。ヴェーゼはワシの心の中にずっといる。子も残してくれた。カベルネ、おまえの目はヴェーゼに……そっくりじゃ。結婚してからの八十一年。知り合ってからだと、八十二年の間がワシのすべて。宝なんじゃ。ワシらはいつでも二人でひとつじゃ」

「そうだった……母さんはそう……よく父さんとのことを二人でひとつだと言っていたな……思い出したぞ……」

 ガメイおじいさんが自分の父親サンジョお爺さんの話を、少し目尻を光らせ懐かしむように聞いていた。

「人族の寿命は長くても百年。ドワーフは純粋なドワーフで八百年。エルフも純粋なエルフで千年だよ。ハーフになると短いほうの寿命が影響して、どうしても二百年ぐらいは下がってしまう。人族が入るとテキメンだ。エルフ族なんかはへたをしたら、子が先に寿命がきてしまうこともあるんだよ」
 
 ペクメズおばあさんが、しんみり話す。

「だからって相手を慎重に考えて選べと言われてもな……出会ってしまったらしょうがないだろ?」

 カベルネが、サンジョお爺さんをみて告げる。

「そうだ。だから十歳からいろいろな集落を一年ずつまわって、われらの誇れる仕事と結婚相手を早めに見つけてくるのさ」

 おっと、お父さんがカベルネに大切なことを伝えているぞ。

「その通り。この小さな集落同士の結婚では血が濃くなりすぎて限界がある。それにこれからカベルネがまわる集落の仕事は全部特殊だからね。口の硬さと結束が大切なんだよ。その素晴らしい仕事を若いうちに集落ごとに見てまわって、自分のやりたい仕事を探す。ついでに結婚相手も探せたら最高じゃないか」

 ペクメズおばあさんもカベルネに説明している。

「じゃあ、十歳からメルロ兄ちゃんがまわってたのもそうなのか? 兄ちゃん?」

「そこまでは……知らなかった……ただ、ここを入れて五ヶ所の職場と集落を見て、覚えてまわることで頭がいっぱいで……ボクは長男だから、他の仕事をみてまわって自分たちの集落の素晴らしさを再発見して終わったかな?」

「「「おーーっ!!」」」

 メルロお兄さんの模範的な答えでちょっと盛り上がる。

 すごい話になってきたけどこれ、わたしが聞いても良いのだろうか?
 居心地が少しよくないように感じたのをペクメズおばあさんが察知したのか、迷い人に触れてきた。

「パールさん。迷い人は『歴史の証人』と言われているんですよ。迷い人はエルフ族より長生きでしょ? だからあなたはこれから、エルフ族にもドワーフ族にも大切な友として扱われます」

 そうなんだ……

「そうなのか? じゃあパールは、オレより長生きなのか?」

「たぶんね」

「そうじゃ、パール殿。カベルネの嫁にきますかな? 歳も近いし、気も合っているみたいじゃしな」

「「「それはない!!」」」

 えっ? ガメイおじいさんの言葉にカベルネと二人で声が重なったのはわかるけど、ライがなぜ?

 カベルネもライをみている。

「カベルネ、きみはコウジュと仲がよかっただろ?
だからパールとは、それはないね……」

 ソードが急にカベルネとコウジュのことを話しだして、カベルネの顔がみるみる赤くなる。

 ほーっ、そうなのか?

「ソードさん、なにを急に言うんですか! そんなことないですよー」

「そうか。カベルネにはもう、おったのか……ホッホッホーッ!」

 サンジョお爺さんの言葉で、みんながニンマリ笑顔になる。

 カベルネは恥ずかしいのか、もう寝ると言って部屋をでていった。

 そろそろお開きかな?

 わたしもお酒を飲まないので、庭の馬車へ戻らせてもらう。
 明日は七時から始まるそうだ。
 五時半にこの場所で朝食をいただくことになった。
 みんなに挨拶をして早々に馬車へ戻り、すぐ自分の部屋のテントの中へ。

 お風呂に入ってベッドに潜ると、サンジョお爺さんの顔が浮かんできた。

 四百三十五年間もひとりでいるのか……
 わたしも人族の人と結婚したら、そうなるんだな……

 あのサンジョお爺さんがヴェーゼお婆さんの話をしていた時の幸せに満ち溢れた顔と、ガメイおじいさんのなんとも言えないやさしい目が懐かしそうにカベルネを見つめ、少し微笑みを浮かべていた穏やかな顔を思いだす。

 そして人族の寿命をまっとうし、みんなに愛された幸せなヴェーゼお婆さんを思うと……

 それも悪くないなと、わたしまで幸せな気持ちになって結局、種族なんて関係ないんだとつぶやいて夢の中へと入っていく……


 遠くのほうでチェリーが、最後は愛ですよと言っていた。

 

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