129 / 221
129. カベルネのわがまま
しおりを挟む
今日も昨日と同じメンバーで岩を片付けていく。
今日の家は山が近いせいか密集して建っているので、移動時間が短くサクサク作業できる。
ここらへんの家には、少しゴツゴツしてザラっとした丸い石が多く、粉っぽいモノ? が持つと手につく。
だから食べ物、料理のオモシにも使えないと、その家のおばあさんが愚痴っていた。
まとめて積み上げてあったので全部片付ける。
「このへんの石は、ガントの顔の大きさぐらいのモノが多いね! 」
ガントがおれの顔はこんなに大きいか? と笑いながら言ったあと、こそっと近寄ってきて、でも金の塊はこのぐらいが良いと言って笑わせてくれた。
ソードもガントの顔の大きさはこれぐらいあると、笑いながら告げたあと……
「そうですね。これぐらいの大きさだと、持とうと思うと持ててしまい、量があるとお年寄りには少し腰にきますね」
「そうなんじゃ! はじめは良いが、段々と地味にくるんじゃよ」
「じゃあ、ここらへんの石も片付けてしまいましょうか?」
「おーっ! よろしく頼むよ」
庭の端のほうによけてある石と家の横にある石も、すべて片付けてあげるとすごくよろこんでもらえた。
どの家も同じような感じで簡単な作業ばかり。
昼食を食べて午後からの作業もサクサク進み、今日の夜の宴会までだいぶ時間に余裕ができてしまう。
カベルネが神妙な顔をしてやってくる。
「パール。これはオレのわがままなんだけど……昔からどうしても中がみたい洞窟があるんだ……その入り口に大きな岩があって、少しの隙間からチラッと中がみえて……」
「カベルネっ! おまえ、三、四歳の頃に岩の間に挟まれて大泣きして村中の人たちに大迷惑をかけた、あの洞窟のことを言っているのか?」
「……父さん。ああ、そうだよ」
「あそこの洞窟近辺はあのことがあってから、子どもの立ち入りが禁止になったはずだが……おまえ、あんなにみんなに迷惑をかけておいて、まだ行っていたのかっ!」
うわー、カベルネのお父さんが怒ってるよ。
よっぽどみんなに迷惑かけたんだな……
「違うって、行ってないよ……でも、忘れてもいない……中が、どうしても気になるんだ……」
冒険者としても年齢的にも、カベルネの気持ちがちょっとわかる。
時間にまだ余裕があるから、まあいいか……
「いいよ! カベルネ。その岩を一度どけて、中を見てみよう。危なそうなら、もっと隙間がないぐらいに置き直すよ。そうしたら、カベルネみたいな子どもがまたでてきても挟まれないし安心でしょ?」
「ホントか! 行ってくれるのか! パールありがとう!」
よほどうれしかったのか、わたしに飛びつこうとして、ギリギリで踏みとどまっていた。
バリアがあるからね。
家族のみんなもその言葉で納得したようだ。
挟まれたときはホントにみんな心配したんだな……
場所もここから近いみたい……
んっ?
あれっ、もしかしてカベルネは最初からこれが目的なのかも……
わたしが気づいたぐらいだから、他のみんなも気づいたようで……
ライはフッと微笑み、ソードは苦虫を噛み潰したような顔をしてライの横を歩いている。
ガントも両手を頭の上に置いて、がっはっはぁ! っと笑っていた。
カベルネのお父さんはカベルネの頭を、ベチッと叩いているし。
叩かれて痛いはずのカベルネは、ニコニコ自分の頭を撫でて笑っていた。
これは、確信犯だな……
さすがだよ、カベルネ。
そこは山の端、木の影にひっそりとあった。
「おまえ、よくこんな細いところに挟まれたな?」
ガントがその岩の隙間を見て感心している。
「ここにこんな場所があったのか……」
ライも何度も集落に来ていたのに知らなかったと言っていた。
ソードが穴を覗いて、空気は流れているようですねと確認している。
ドア三枚分ぐらいのまあまあ大きい岩だけど、もうサクッと取り除く。
「おーっ!」
カベルネが興奮していて、今度は村長のガメイおじいさんにペチッと叩かれていた。
思ってた以上に中は広い。
まずはガントが中に入って様子を見てくることになる。
すぐに戻ってきて、中の様子を教えてくれた。
「中はしばらくいくと地下に続いている。うまい具合にもう一段、下に降りれる場所があるから、今から少し降りてみる」
そう告げると、もう隠すのをやめたのか魔法袋を取り出して灯りの魔道具? を出す。
それにもカベルネが反応していた。
「わたしもガントと一緒にいきたい!」
すかさず自分の気持ちを伝えたけど……
「パールがいくなら、オレだっていくっ!」
カベルネが言いだして、だれもいけなくなる。
わたしはカベルネと違って、冒険者なのに……
「パール。ガントが安全を確かめたら、みんなで降りてみましょう」
ソードに説得され諦めて待つことにする。
待っている間、お父さんがカベルネに少しお小言をいいだしたあたりで、ガントが戻ってきた。
なにか手に持っている?
ちょっと興奮しているような?
目がいつもより開いて力が入っているような顔をして、真っ直ぐライのところへいくと、手の中のモノを渡してなにか話していた。
それからお小言をいわれていたカベルネのところに走ってきて、ギュッとカベルネを抱きしめ……
「おまえ、カベルネすごいぞ! すごい発見だよ! ここは宝の山だ! 水晶の山だったんだ!」
カベルネを抱いたまま、グルグルまわって大笑いしている。
ライをよく見ると、手にはキレイな水晶の塊が握られていた。
「「「水晶!?」」」
みんなでガントの言葉を聞き返す。
なんでも、一段下に降りたあと同じような間隔の、もう一段下があったようで。
報告に戻るのもめんどうだからまとめて報告することにして、安全を灯りで確認してからまたもう一段下に飛び降りて探索したそうだ。
そこはなにもないガランとした家二軒分ぐらいの広さのところで、念のため灯りを当ててグルっとあたりをみて帰ろうと思ったとき、ピカッと光っている突起物を見つけたという。
証拠に持って帰ろうと剣の鞘で砕いていたら、まわりの土が崩れて……
「カベルネ! すごい発見だ! 中はすごいことになっているぞ! おまえ、すごいなー!」
カベルネ一家とわたしは、おどろきすぎて言葉がでない……
ただライの手には、キレイな透明の水晶が握られているからホントだとわかるけど……
横にきたカベルネが、小さくひと言。
「やっぱり、夢のとおりなんだ……」
んっ、夢?
カベルネくん? 夢とおっしゃいましたか?
どういうこと……
「なんだって? カベルネ、いま夢と言ったか?」
ガメイおじいさんがカベルネの小さな声を拾う。
カベルネは正夢でも見たのかな?
金の国、次は水晶の山 ……
あーーっ、はやく中を見てみたい!
どっちが、キレイかな~?
今日の家は山が近いせいか密集して建っているので、移動時間が短くサクサク作業できる。
ここらへんの家には、少しゴツゴツしてザラっとした丸い石が多く、粉っぽいモノ? が持つと手につく。
だから食べ物、料理のオモシにも使えないと、その家のおばあさんが愚痴っていた。
まとめて積み上げてあったので全部片付ける。
「このへんの石は、ガントの顔の大きさぐらいのモノが多いね! 」
ガントがおれの顔はこんなに大きいか? と笑いながら言ったあと、こそっと近寄ってきて、でも金の塊はこのぐらいが良いと言って笑わせてくれた。
ソードもガントの顔の大きさはこれぐらいあると、笑いながら告げたあと……
「そうですね。これぐらいの大きさだと、持とうと思うと持ててしまい、量があるとお年寄りには少し腰にきますね」
「そうなんじゃ! はじめは良いが、段々と地味にくるんじゃよ」
「じゃあ、ここらへんの石も片付けてしまいましょうか?」
「おーっ! よろしく頼むよ」
庭の端のほうによけてある石と家の横にある石も、すべて片付けてあげるとすごくよろこんでもらえた。
どの家も同じような感じで簡単な作業ばかり。
昼食を食べて午後からの作業もサクサク進み、今日の夜の宴会までだいぶ時間に余裕ができてしまう。
カベルネが神妙な顔をしてやってくる。
「パール。これはオレのわがままなんだけど……昔からどうしても中がみたい洞窟があるんだ……その入り口に大きな岩があって、少しの隙間からチラッと中がみえて……」
「カベルネっ! おまえ、三、四歳の頃に岩の間に挟まれて大泣きして村中の人たちに大迷惑をかけた、あの洞窟のことを言っているのか?」
「……父さん。ああ、そうだよ」
「あそこの洞窟近辺はあのことがあってから、子どもの立ち入りが禁止になったはずだが……おまえ、あんなにみんなに迷惑をかけておいて、まだ行っていたのかっ!」
うわー、カベルネのお父さんが怒ってるよ。
よっぽどみんなに迷惑かけたんだな……
「違うって、行ってないよ……でも、忘れてもいない……中が、どうしても気になるんだ……」
冒険者としても年齢的にも、カベルネの気持ちがちょっとわかる。
時間にまだ余裕があるから、まあいいか……
「いいよ! カベルネ。その岩を一度どけて、中を見てみよう。危なそうなら、もっと隙間がないぐらいに置き直すよ。そうしたら、カベルネみたいな子どもがまたでてきても挟まれないし安心でしょ?」
「ホントか! 行ってくれるのか! パールありがとう!」
よほどうれしかったのか、わたしに飛びつこうとして、ギリギリで踏みとどまっていた。
バリアがあるからね。
家族のみんなもその言葉で納得したようだ。
挟まれたときはホントにみんな心配したんだな……
場所もここから近いみたい……
んっ?
あれっ、もしかしてカベルネは最初からこれが目的なのかも……
わたしが気づいたぐらいだから、他のみんなも気づいたようで……
ライはフッと微笑み、ソードは苦虫を噛み潰したような顔をしてライの横を歩いている。
ガントも両手を頭の上に置いて、がっはっはぁ! っと笑っていた。
カベルネのお父さんはカベルネの頭を、ベチッと叩いているし。
叩かれて痛いはずのカベルネは、ニコニコ自分の頭を撫でて笑っていた。
これは、確信犯だな……
さすがだよ、カベルネ。
そこは山の端、木の影にひっそりとあった。
「おまえ、よくこんな細いところに挟まれたな?」
ガントがその岩の隙間を見て感心している。
「ここにこんな場所があったのか……」
ライも何度も集落に来ていたのに知らなかったと言っていた。
ソードが穴を覗いて、空気は流れているようですねと確認している。
ドア三枚分ぐらいのまあまあ大きい岩だけど、もうサクッと取り除く。
「おーっ!」
カベルネが興奮していて、今度は村長のガメイおじいさんにペチッと叩かれていた。
思ってた以上に中は広い。
まずはガントが中に入って様子を見てくることになる。
すぐに戻ってきて、中の様子を教えてくれた。
「中はしばらくいくと地下に続いている。うまい具合にもう一段、下に降りれる場所があるから、今から少し降りてみる」
そう告げると、もう隠すのをやめたのか魔法袋を取り出して灯りの魔道具? を出す。
それにもカベルネが反応していた。
「わたしもガントと一緒にいきたい!」
すかさず自分の気持ちを伝えたけど……
「パールがいくなら、オレだっていくっ!」
カベルネが言いだして、だれもいけなくなる。
わたしはカベルネと違って、冒険者なのに……
「パール。ガントが安全を確かめたら、みんなで降りてみましょう」
ソードに説得され諦めて待つことにする。
待っている間、お父さんがカベルネに少しお小言をいいだしたあたりで、ガントが戻ってきた。
なにか手に持っている?
ちょっと興奮しているような?
目がいつもより開いて力が入っているような顔をして、真っ直ぐライのところへいくと、手の中のモノを渡してなにか話していた。
それからお小言をいわれていたカベルネのところに走ってきて、ギュッとカベルネを抱きしめ……
「おまえ、カベルネすごいぞ! すごい発見だよ! ここは宝の山だ! 水晶の山だったんだ!」
カベルネを抱いたまま、グルグルまわって大笑いしている。
ライをよく見ると、手にはキレイな水晶の塊が握られていた。
「「「水晶!?」」」
みんなでガントの言葉を聞き返す。
なんでも、一段下に降りたあと同じような間隔の、もう一段下があったようで。
報告に戻るのもめんどうだからまとめて報告することにして、安全を灯りで確認してからまたもう一段下に飛び降りて探索したそうだ。
そこはなにもないガランとした家二軒分ぐらいの広さのところで、念のため灯りを当ててグルっとあたりをみて帰ろうと思ったとき、ピカッと光っている突起物を見つけたという。
証拠に持って帰ろうと剣の鞘で砕いていたら、まわりの土が崩れて……
「カベルネ! すごい発見だ! 中はすごいことになっているぞ! おまえ、すごいなー!」
カベルネ一家とわたしは、おどろきすぎて言葉がでない……
ただライの手には、キレイな透明の水晶が握られているからホントだとわかるけど……
横にきたカベルネが、小さくひと言。
「やっぱり、夢のとおりなんだ……」
んっ、夢?
カベルネくん? 夢とおっしゃいましたか?
どういうこと……
「なんだって? カベルネ、いま夢と言ったか?」
ガメイおじいさんがカベルネの小さな声を拾う。
カベルネは正夢でも見たのかな?
金の国、次は水晶の山 ……
あーーっ、はやく中を見てみたい!
どっちが、キレイかな~?
53
あなたにおすすめの小説
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム
前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した
記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた
村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く
ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた
そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた
私は捨てられたので村をすてる
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる