迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

文字の大きさ
143 / 221

143. ピアンタで入れ違い

しおりを挟む
 店に入ると親方とケルスさんにおどろかれた。

「こんにちは! 親方、ケルスさん、元気にしてた? 久しぶりですねー!!」

「パール!! おまえ、遅い! もう少しはやく戻ってきたら、間に合ったんだぞ……」

 間に合った?

「パールさん。赤茶色の髪色をした、マークさんという人を知っていますか?」

「赤茶色……えっ、マーク? わたしの伯父さんだけど……」

「その人たちが一週間いや、六日前だったかな? パールさんのことを尋ねにここへ、すごい血相でやってきたんですよ」

 うわーっ! これは、やばい! 
 マークごめんねぇ~、心配かけたんだ……

「やっぱり、パールが言っていた伯父さんなんだな。よかった……そうだと思ってパールのことを話したが、心配でな……」

「迷惑かけてごめんなさい。ぜったいそれはマークだよ!」

「すごく心配して泣いていたから、安心できるヤツを付けてラメール王国へ送り出したと言っておいた……」

「さっきアストに着いて、宿屋から『薬師メリッサ』を紹介されて、そこからここを聞いたと言ってましたよ」

 はあーっ、どうしよう……
 メリッサお姉さんにも迷惑かけたな……

「詳しく聞きたがっていたが、迷い人のことはうかつに言えんだろ? 知らないと突っぱねることしかできないからな……すぐラメール王国へ、ガントリーに会いに行くと言っていたぞ」

「あーっ! これは、ぜったいに怒られる……」

「あれだけ心配させたんだ、怒られておけ!」

 ケルスさんまで、うなずいている。
 くーっ! つらい……

 親方に頼んでいたモノがだいぶできているようで、バンブのお皿やコップ。
 食器セットにあの水筒も、また出来上がていた。

 前よりもすごいかも……
 キレイ……

 カニハの木の皮を付けた水筒とコップには、一ヶ所だけ木の皮に五枚の花びらの模様が入っていた。
 カニハの花だそうだ……

 持ったときに本人だけが見えるように工夫してある。
 
「なんだかわたしだけがわかる、隠れた満足感があっていいね!」
 
「そうだろうよっ! はっはっは!!」

 ベッドもまずは二つできているようで、奥の部屋に並べて置いてあった。
 シンプルな型のようで実は木の部分に、花や葉の模様が掘ってあってすごくオシャレだ!

「親方ステキだね! こんなに短時間で、二台も……
 大変だったでしょ?」

「大丈夫だぞ、やりがいがあって金も入る! それに、マットを注文してくれただろ、オレの知り合いの店に頼んだから品質は保証付きだ。店の者もよろこんでおったぞ。良いもんが、思いっきり作れるからなっ! あと二台は、もう少し時間をくれ」

「ぜんぜん急いでないから、ゆっくりでいいよ!」

 どうも、次の二台はこれより少し豪華な、おとな向けのベッドになるらしい。
 
 お金が足りているか聞くと大丈夫だというから、リンゴのジャムにベリーのジャムそれにヤハッシのハチミツとブドウの果実を煮詰めた糖蜜にあのワイン。 
 そこにキノコの女王タマゴ大の金を籐のカゴの奥にひっそり、全部詰めたお土産セットをひとつ渡しておいた。

ケルスさんがヤハッシのハチミツを見つけてよろこんでいた。
 さすがだな、知っているんだ。

 それからはメルの洞窟の検問所近くに伯父さんたちがこれから営む宿屋と、自分のちょっと隠れた家を買ったことを伝えて、冒険でたぶん留守がちだけどラメール王国にきたら遊びに来てねと伝えておく。
 親方はおまえがこっちへ遊びにこいと笑っていた。
 ケルスさんがメリッサお姉さんも心配していたと教えてくれたので、一度寄ってみると告げて認識されにくくなる帽子を取り出す。

「またこいよ! あと一ヵ月ぐらいでベッドもできているからな!」

「うん、またくるよ! なにかラメールで欲しいものがあったら教えてね!」

「ああ、わかった。ありがとうよ! これだけ土産をもらったら、もう十分だ」

 親方に一ヶ月後ぐらいしたらまた寄ると告げて、メリッサお姉さんの店へ帽子を被って向かう。

 
 キラン キラン

 懐かしい音色にハーブと薬草の香り……

 この音色もなんだか懐かしい。
 室内のハーブと薬草の香りも、これがメリッサお姉さんのお店なんだとしみじみ思ってしまった……

 帽子をぬぐと同時に、メリッサお姉さんが奥からやってきた。

「いらしゃい……パール!? あなたどうして!」

 すぐに前のときのように店を閉めてカギをし、窓にも布を掛け、椅子に座るよう勧められる。

 奥からハーブティーを持ってきて出してくれた。

「あ~っ、おいしい! この味だよ……」

「ふ、ふ、ふっ、よかったわ。疲れがとれるし、落ち着くでしょ」

 一口飲むと、さあ話してと、目をキラキラさせて今までのことを尋ねられる。

 これは、いろいろ聞かれるな……
 長くなりそうだ……

 ハーブティーを、もう一口。
 口に含んで、喉をうるおす。

 今までのことを順番に話しだすと……

 なんだかここは、ほっこりするなぁ……

 親方たちの知り合いでガントという人に、ラメール王国まで連れて行ってもらったこと。
 モナルダのところで、錬金薬師を目指すため、メリッサお姉さんの住んでいた部屋を借りて住んでいること。
 メルの洞窟の検問所近くに伯父さんたちが営む、宿屋と自分が住むちょっと隠れた家を、ライから買ったことを話して聞かせた。

 メリッサお姉さんは、まず変わったところに興味を持つ。
 モナルダたちを呼び捨てで呼んでいることにふれ、自分も同じように呼んで欲しいという。
 メリッサお姉さんもわたしに、呼び捨てで呼ばれたいと言うので、もういいかと承諾した。
 
 あとはやっぱり、マークたちのこと。
 マークたちがここに、慌ててきたそうだ。
 わたしが無事で元気なことと、ラメール王国へ出発するために、細工師の親方の店へ行ったとだけ伝えたらしい。
 シーナも一緒にきたようだけど、妊娠していたと教えてくれる。
 安定期に入ったから、少し早めに王都アストへやってきたそうだ。
 もう少ししたらまた馬車がつらくなるだろうからその前にきたと、シーナが話していたと教えてくれる。

「マーク……初めての子どもで、うれしいだろうな……」

「すぐにラメールへ向かうと言っていたわよ」

 メリッサにはお礼を伝えて、親方と同じお土産セットと、モナルダから預かっていた荷物を渡しメリッサからもモナルダに渡す荷物を預かる。
 それからこの前コウジュのお兄さん、エントさんに使った上級ポーションを一本補充しておく。
 
 しばらくしたら、たぶん一ヶ月後ぐらいでまたピアンタにくるからと伝え、そのときはお店に寄ると約束して『薬師メリッサ』を出てきた。
 
 マークたちと入れ違いになったんだな……


 さあ、急いで帰らなきゃ!
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

処理中です...