迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

文字の大きさ
150 / 221

150. パールパーク

しおりを挟む
 ベッドに入るとシーナが聞いてきた。

「ねぇ、パール。あなた、ライさんやソードさんそれにガントさんのことをどう思っているの?」

「あの三人のこと? やっぱり気になるよね。絶対三人ともお貴族様だと思うんだよ。でもね、聞きそびれちゃってて、いまさら聞けないでいるんだけど……」
 
「えっと、そうではなく……そうね、まだ十歳だもの……それで大丈夫よ」

「なに? あの三人は貴族様でしょ? 違うの?」

「どうみても、高貴な人たちでしょ? でも威張ってないし、気さくで良い人たちよね。わたしたちも、様付け無しで『さん』付けで呼んいいのかホント悩んじゃうわよ」

「うん。そうなんだよ、悩むよね。わたしなんて『さん』も無しだよ! それにみんな優しいし、よくしてくれるんだ」

「そう……。今はそれでいいと思うわ……どう優しいか、だれのことを探してしまうか……ゆっくり考えていきましょう」

「優しいだけじゃなく、だれを探してしまうか?」

 んーっ、考えたことがなかったな?
 それは必要なことなのか聞くと、重要なことだと教えてくれる。
 あの三人だけじゃなく、自分が一番目で探してしまう人を探す……か。

「ゆっくりあと数年かけて、じっくり考えてみて。自分をたまには振り返ってみるのも良いことなのよ。少し心に留めておくだけで、ぜんぜん違うもの。遠回りしないですむように……」

 なんだか謎解きのような会話だけど、これって一応女の子トークだよね?

 なんだかいろいろ楽しいな……ウフッ。


  ♢♢♢

  
 食堂のメニュー作りは、けっこう大変なようだ。
 足りていない器具や調味料を買いながらラメールの人たちの好みの偵察を兼ねて、トムさんとトーマスは何度も王都ゴタの港まで足を運ぶ。
 なのでモナルダたちにトムさんたちがわたしの部屋へ泊まる許可を先にもらってきて、二人にはゴタへ行ったときモナルダのところへ泊まってくるよう勧めてみる。
 お風呂もあるしね!

 最初は二人口を揃えて、女の子の部屋だからと遠慮してきたので。

「何も置いていないから、屋根のある公園と一緒だよ」

 そう伝えると二人おどろいて、目を見合わせ笑っていた。
 それからは泊まってくれるようになる。

 今ではホントに部屋にわたしの私物がなにもないとわかって、気兼ねせず泊まれるようだ。
 部屋を『パールパーク』と名付けて、泊まっていると二人が笑って教えてくれた。

 パールパーク? ちょっと笑える。

 二人が留守のあいだ、マークがシーナのそばにいるので、わたしが朝から宿屋へ行ってお手伝い。
 妊婦さんは大変だからね!
 夜はマークがいるから安心だし、おじゃましてもいけないのでライの家へ戻っている。
 
 出産にはライもモナルダも、家へおいでと勧めてくれていたようだけど、シーナが新しい自分の家で出産したいとメルの町の産婆さんを見つけて頼んでいた。

 まだ数ヶ月先だから、トムさんも安心して動き回っているのかな?
 シーナは布をいっぱい買ってシーツを作ったり、からだを拭くための大きめな布を用意したり案外忙しそうに動き回っている。
 生まれてくる赤ちゃんの服も作っているみたい。
 そんなに忙しくして大丈夫なんだろうか?
 
 わたしもそろそろ自分の家に住もうかな? っとライたちに言ってみたけど、わたし付きの侍女プラムとシルエラが寂しがるからもう少しここにと告げられて、なかなか出ていけないでいる。
 難しいな。

 それにやっぱり、二人がいてくれると楽だしね。
 特にお風呂……
 プロが洗うと髪の毛の輝きが違う、すごい!
 からだが小さなわたしのためにストレッチ入りのマッサージを勉強してくれたようで、あと三年間はこんな感じだと言っていた。
 このマッサージで、背も伸びるみたい。
 楽しみだよ!


 ライたちとは朝と夜の食事を一緒にとるようにして、お昼はマークとできるだけシーナたちの宿屋で食べるようにしている。

 今日はこの前のホワイトのクロコイリエをトムさんが特別メニューにしたそうなので、その試食を頼まれて食堂へやってきた。
 あの顔からは想像もつかないクセのないタンパクなお肉。
 料理のバリエーションが多いと聞いておどろく。
 今回はバターがたっぷりのソテーだった。
 横についているポテトが、そのバターをたっぷり吸ってとってもおいしい!

 トムさんたちはモナルダの家に泊まるようになり、グレコマたちと仲良くなって特別な大きな氷の箱。
 アイスボックスの存在を知る。
 あの二人はグレコマにいっぱい頼み込んだらしく、最近やっと作ってもらえたようだ。
 その代わりわたしの錬金釜は後になってしまって、まだもらえていない。
 シーナの出産が済んだころ、また材料を揃えなおして、それから教えてもらえることになった。

「すまんな、パール」 

 謝ってるけどトムさんの顔、ニタニタしていてうれしそう。
 料理人なら誰でも欲しいモノだし、わたしが急いでないのはみんな知っているからね。

 手に入りにくい重要なアイスボックスの魔石を、わたしが持っているとグレコマはわかっているので、すぐ作れたみたい。
 グレコマには教えられたサイズを何も言わずにサッと予備で二つ進呈する。
 それをみてモナルダが、苦笑いしていた。

 トムさんいわく高かったけど、すごく安く手に入れられたそうだ。
 家の代金もわたしが受け取らなかったので、こっちに思いっきり投資ができたとよろこんでくれたし。
 よかった……
 
 みんなが着々と準備を進めて、イキイキしている。
 
 赤ちゃんが生まれてきたらマークも忙しくなる、二人で行動するのもあと少し。
 今のあいだにしておきたいことや必要なモノがないかマークとシーナに聞いてみたけど、笑って別にないという。

 トムさんがその話に乗ってきた。

「マーク。それなら子どもが生まれたら難しくなる前に、パールとメルの洞窟へ泊まりで思う存分、三週間ほど潜ってきたらどうだ?」

「もーっ! お父さんはまたマークたちに、クロコイリエのようなお肉をいっぱい取ってきてほしいだけでしょうー!」

 トムさんの言葉に、すぐシーナが反応する。

 わたしたちがクロコイリエのお肉を持って帰ってきたことで、わたしのマジックバックが時間停止だとわかったようだ。
 みんなにはナイショだと伝えてある。
  
「おまえもあのお肉はおいしいわねって、喜んでいただろ?」

 妊婦さんの口にも合ったようだ。

「……まあ、子どもが生まれたら当分泊まりの冒険はできないわね……行くなら今よ」

「シーナ、いいのか? しばらく帰ってこれないぞ?」

「お父さんたちもいるし、なんならライさんたちも。あと少し離れているけどモナルダ薬師もいるから、ぜんぜん平気よ!」

「そうだぞ! いまがチャンスだ! 行ってこい!」

「ありがとう! お義父さん! シーナ!」

 わたしには聞かないのかな?
 あっという間に話が決まっていく……
 冒険者登録もしたことだし。
 細かいことは、まあいいかっ!

 でもこれで……

 また、マークと冒険できるっ!

 
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

処理中です...